職場内に理解者を増やして協力態勢を築きましょう
新規の提案は、いきなり提案すると反対される可能性が高くなりますが、ひと工夫して取り組みを実現させたいものです。おすすめしたいのは、あらかじめ職場内で協力体制を築いておくこと、つまり、いわゆる「根回し」を徹底することです。いかに理解者・協力者を事前に増やすかが提案をスムーズに受け入れてもらうためのポイントになります。
「根回し」と聞いて、古臭いイメージを思い浮かべたり馴染みがなかったりする人もいると思いますが、ビジネス用語の「ネゴシエーション」と言い換えてもいいでしょう。職場内に協力者を増やし、提案がスムーズに受け入れられる下地を作るための交渉です。受け入れられる態勢を整えてから実際の提案をおこなうことで、「そんな話、聞いてない」「できっこない」などと頭ごなしに否定されとん挫する事態を避けられるメリットがあります。
薬局に限ったことではありませんが、仕事は一人ではできません。相談者さんが提案したいイベントもまたしかり。薬局スタッフの力を借りないと、相談者さん一人では決してなし得ないことですよね。だからこそ、事前に根回しをして、協力者を確保し、職場内に協力体制を築く努力が欠かせません。
相手の立場や気持ちに十分配慮して、熱意を持って説明しましょう
新しい企画を思いつき、提案したいと思ったら、急がず焦らず受け入れ態勢を整えることから始めましょう。ここでは、協力者を増やすための具体的な流れを考えてみます。
1.職場での反応を分析する
新しい業務を始めるとき、「仕事が増える」「さらに忙しくなる」などと反対する人が出るのは当然のこと。そこで、あらかじめ想定される職場での反応を分析して、どのようなアプローチをすれば興味を持ってもらえるか、検討しましょう。「こんな説明をしたら、〇〇と反論されるかも?」「このような反応が返ってくるかも?」などと予測して、他薬局での事例や実践後のメリットなどを紹介する準備をしておくと、いざ反対されても落ち着いて説明することができます。
2.職場内の人脈を活用する
上司が反対しそうな場合、上司が信頼している人の協力を得るのも有効。人脈を有効活用して、より多くの協力者を得られるよう努力しましょう。味方だと思っていた人からいきなり反対された、ということがないように、事前にできるだけ多くの人に話をして理解を得ることが大切です。
3.立場や感情を尊重する
事前に説明する際は、相手の立場や気持ちに十分配慮しましょう。どんなに素晴らしい提案であっても、誰かの立場やメンツを傷つけるような要素があれば、すんなりOKとはいかないもの。相手の気持ちを思いやり、時間をかけてゆっくり説明していく方が近道という場合もあります。
4.あらゆる機会を利用して、丁寧に説明する
業務時間内に説明するだけでは、相手の心を動かすのは難しいかもしれません。休憩時間や、業務時間外のちょっとした隙間時間も利用して自分の考えを伝え、一人ひとりの考えを引き出し、協力を求めていく積み重ねが欠かせません。
5.熱意を持ち続ける
たとえ反対者が続出しても、あきらめずに熱意を持ち続けてほしいと思います。提案者の意欲や頑張りが、周囲の気持ちを動かすこともあるのです。
新規の提案を通すのは一筋縄ではいかない難しさがありますが、実現したときの達成感や喜びは格別です。薬局内に「やってみよう」「面白そう」と思ってくれる仲間が増えるように、協力体制作りを地道に繰り返して頑張ってください。応援しています。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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