対応方法について管理薬剤師とよく話し合いましょう
在庫切れや不足薬が生じた時に一番大切なのは、すばやく状況を説明して患者さんの希望や都合を聞くこと。対応の仕方次第で、患者さんの薬局への信頼度が増したり、ファンになっていただけたりするかもしれないので、丁寧な対応をしたいところですね。
薬局のルールがある場合は、それに従うのがふさわしい対応でしょう。とはいえ、不足薬のお詫びの方法や詫び状について細部まで決めている薬局は案外少ないかもしれません。患者さんの命を預かる医療者としてすばやく連携がとれるよう、あらかじめ管理薬剤師や上司とよく話し合っておきましょう。
実は私自身、相談者さんと同じように「お詫びの言葉を添えたい」と申し出て上司から否定された経験があります。その時私が相当腑に落ちない顔をしていたらしく、上司が「好きにしていい」と言うので、不足薬に手書きで一筆添えました。
私は運よくOKをもらえましたが、上司に「絶対にダメ」と言われたら従うしかありません。患者さんにすばやく説明するためにも、管理薬剤師がなぜ必要ないと考えるのか、相談者さんはどうして一筆添えたいと思うのか、などをしっかり話し合ってほしいと思います。
お詫びも信頼関係を築くためのコミュニケーションと考えて
今回の相談は、約束の時間に訪問したにもかかわらず不在だった場合や患者さんのご希望で「ポストに入れてほしい」と言われた場合など、やむを得ない事情の際の対応であることを忘れないでほしいと思います。不在の際の対応について薬局のルールが決まっていないのであれば、せめて書面でお詫びを伝えてほしい、と私は思います。
薬を受け取る患者さんの気持ちを考えれば、一筆入っていて納得する人こそあれ、不快に感じる人はいないように感じます。
一筆添える場合、ビジネス文書のお詫び状でももちろんいいのですが、頭語で始まり結語で終わる形式はいかにも事務的な印象を与えます。そこで、処方せん受付時にすでにお詫びを直接伝えていることをふまえて、一筆箋を使って手書きでお詫びのひと言を添えてもいいでしょう。患者さんに誠意が伝わりやすく、信頼関係を築くきっかけになります。いずれの場合も、お詫び状には以下3点を忘れずに記載しましょう。
・薬局の不手際を認め、迷惑をかけたことをお詫びする
・対処方法を述べる(不足分を郵送する等)
・同じ失敗をしないよう対策を講じるなど、反省と努力の旨を述べる
薬の不足によって迷惑をかけたり不安な気持ちにさせたりしたことは事実ですから、お詫びするのは当然のマナーだと思います。お詫びも患者さんとの信頼関係を築くための大切なコミュニケーションと捉えて、患者さんの立場になって考える姿勢が欠かせません。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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