服薬指導を終えたところ、スマホで検索をし始めて「△△△の薬は副作用が強いんじゃないの？大丈夫？」と聞かれました。患者さんの既往歴なども考慮に入れて服薬指導をしたつもりですが、疑われているようで嫌な気持ちになりました。

最近は、薬に関することに限らず、なんでもネットで調べてから次のアクションにつなげる人が多いように思います。副作用や効果についてもネットで簡単に調べられますから、薬剤師とすれば確かにいい気はしないかもしれません。
 
とはいえ、それが世の中の流れだとすれば、抗っても仕方が無いこと。現状を素直に受けとめ、どのように対応すればいいかを考えてみましょう。
 
まず、ネットの情報をもとに副作用や効果について質問された場合の対応について。過去回（Q106「週刊誌の記事を読んで薬を拒否する患者さん」）でもお伝えしていますが、患者さんの話を否定せずにしっかり受けとめた上で、「ネットに出てくる情報は一般的なものなので、当てはまらない人もいます」「薬のプロとして、一人ひとりの患者さんの症状や併用薬、既往歴等を踏まえた上で、個別のアドバイスをしています」などと堂々と伝えて欲しいと思います。「またネットの話しか…」と思うと表情や態度などに出てしまいかねませんから、くれぐれも気を付けましょう。

 
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また、相談者さんは、疑われているようで嫌な気持ちになったそうですが、ここは気持ちを切り替えて欲しいと思います。患者さんは悪気があるわけでは無く、普段からしているようにただ調べただけかもしれません。疑うというより「本当のところはどっちが正しいの？」と素直に疑問を感じたのかも。
 
薬剤師として自信があれば、患者さんのどんな質問に対しても落ち着いて受け答えができるはずです。今は難しいかもしれませんが、これからいろいろな患者さんの質問に答えるうちに傾向と対策が見えてきます。
 
「何事も経験」と前向きに受けとめ、「そういう疑問をお持ちなんですね」「いいご質問ですね」などと笑って返せるようになってほしいと思います。「自分よりネットを信頼するのか」などと不安に思う前に、「ネットは患者さんの既往歴や服薬状況を知らないけど、薬剤師は分かっている」という事実に自信をもってください。

 

ネットで調べることに慣れている患者さんは、来局のたびに同じような質問をするかもしれません。そのような患者さんには、ネット上に書かれている薬の情報との向き合い方についてアドバイスしてみましょう。
 
ネット上には、薬の一般的な情報しか書かれていません。薬の作用は、服用時の体調や食事の嗜好、アルコール摂取や運動の有無といった生活習慣に大きく左右されます。また患者さんの職業や勤務形態等は服薬状況に影響を及ぼします。このような薬効に関係する事柄は、ネット上には決して出てこないことを伝え、「ネットの情報はあくまでも参考にとどめて、不安や疑問、気になることがあれば、いつでも薬剤師に相談してください」などと説明しましょう。
 
ひととおり説明が終わったら、再度「わからないことがあれば、いつでも気軽に相談してください」とプラスアルファの言葉で患者さんに寄り添う姿勢をしっかりアピールしましょう。

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薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日　同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling！」: https://smilegrdn.exblog.jp/