職場の雰囲気やコミュニケーションは、薬局の文化そのものです
今回のご相談は、薬局の雰囲気や慣習になかなか馴染めないところから始まっているようですね。
職場のコミュニケーションは、薬局の文化そのもの。長年かけて少しずつ作り上げられてきたものです。その環境に長くいる人であれば何も感じないことでも、外から入った人には良くも悪くも新鮮に映るため、場合によっては違和感を覚えることがあります。
「業務が回ればコミュニケーションは必要ないか?」と聞かれたら、「そんなことはない」と答えたいところです。しかし、そこで働いているスタッフ…例えば、効率的に仕事を終わらせてプライベートを重視したい人…にとっては心地よく働きやすい環境なのかもしれず、一概には言えない難しさがあります。
新しい薬局での仕事に早く慣れて、少しずつ対話の機会を増やしましょう
コミュニケーションの機会が増えると、仕事の場では言いづらい悩みを打ち明けたり、普段あまり話す機会がない人と話をすることができたりして、お互いの理解を深めることにつながります。それにより、働きやすくなる、やりがいが高まる、などの効果が期待できます。
雑談やごはんに行くなどのコミュニュケーションを嫌がる人は、過去にいい思い出がない、面白くなかった、という経験から嫌だと思い込んでいるケースが多いように思います。いきなりごはんに誘うのはハードルが高いかもしれませんが、休憩時間にちょっと話しかけてみて、趣味や休日の過ごし方についてたずねてみる。終業後、最寄り駅まで一緒に歩きませんかと誘ってみるなど、少しずつ対話の機会を増やしてみましょう。
対話自体が少ない職場であれば、「交流ノート」を設置するのもひとつの方法です。スタッフが誰でも見たり書いたりできるノートを一冊用意して、「机の上を片付けてくれてありがとうございます」「今日は混雑して忙しかったけどチームプレーで乗り切れて充実感がありました」など気づいたことや感じたことをなんでも自由に書き込めるようにします。
交流ノートを設置したら、相談者さんから積極的に、スタッフに対する感謝の気持ちや業務中に気づいたいいところを書いてみましょう。最初はけげんに思うスタッフも、何が書かれているのか興味を持つようになって、ひと言ふた言反応が返ってくるようになればしめたもの。職場のコミュニケーションを活発にするきっかけになるかもしれません。
職場で新しいことを始めると、最初は抵抗されたり拒否されたり、疎まれることもあるかもしれません。しかし、相談者さんがしっかり仕事をして薬局のメンバーとして認められる働きをすれば、時間とともに職場に馴染み、話を聴いてもらえるようになるでしょう。気づいたら、いつのまにか職場内の対話が増えて雰囲気が変わっていた…というのが理想ですね。
まずは、新しい薬局での仕事に早く慣れて、戦力として信頼される薬剤師になることを目指しましょう。意見するのはそれからでも遅くないと思います。チェーン展開している薬局でよく行われている異動では、個々の薬剤師の能力向上とともに、各薬局に新しい風を入れて職場を活性化させる相乗効果も期待されているはずです。焦らず気長に、でも根気強く、患者さんと薬剤師の双方に心地よい薬局づくりを目指してほしいと願っています。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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