


Q187 OTC医薬品について薬剤師からアドバイスするときのポイントは?

Q187 OTC医薬品について薬剤師からアドバイスするときのポイントは?




患者さんの思い込みや勘違いはすぐに否定せず、真剣に話を聞きましょう

今回の相談では、指名買いの患者さんに、悩んでいる症状についてヒアリングしている点はとてもいいと思います。しかし、ヒアリングする前に、まず患者さんが購入したいと思っているOTC医薬品について丁寧に説明すれば、患者さんの希望に沿ってコミュニケーションを始めることができるように思います。
「この人は自分の話をちゃんと聞いてくれそうだ」という安心感と信頼感があれば、「その後の話を聞いてみよう」という気持ちになりやすいでしょう。説明するときは、「ご希望の製品はこちらです」と実際にパッケージを見せながら、記載されている成分や効能効果を一緒に確認しつつ説明すると、より納得感が増します。
そのうえで改めて、「今日はどのような症状でお困りですか?」とヒアリングします。患者さんが一番困っている症状だけでなく、ほかにどのような症状があるのかも丁寧に聞きましょう。
ここで、患者さんが訴える症状と希望するOTC医薬品が合っていない場合、唐突に「こちらの方が症状に合っているのでおすすめです」と別製品をすすめてしまうと、患者さんは自分の考えを否定されたように感じ、薬剤師の話を聞く気持ちになれなくなってしまうかもしれません。
患者さんの話に謝った思い込みや勘違いなどがあったとしても、まずは否定せずに話を聞きましょう。たとえば、「今お話を伺ったところでは、○○の症状があるようです。○○を改善するには、××の成分が効果的ですので、××が入っている製品の方がいいかもしれません」などと、相手を否定せずに追加の情報を提供するといいでしょう。

今回の相談では、患者さんが「違う薬はいらない」とおっしゃっているとのことなので、これまでの経験で、同じ症状が出たときに効果があったのかもしれませんし、長年使ってきて安心感があるのかもしれません。指名買いの背景までヒアリングできれば、追加情報についても丁寧かつ具体的な説明が可能になります。
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共感を寄せながら話を聞いて、信頼関係を築く努力をしましょう
ただ話を聞くだけでなく、うなずきと相づちを入れながら真剣に聴く姿勢を見せましょう。患者さんが「つらい」「痛い」などと言ったときには、「おつらいのですね」「痛いですよね」のように感情の言葉を復唱すると、より一層共感を示すことができます。
併用薬や生活習慣を確認しながら患者さんの考えを引き出し、親身になって受けとめる姿勢を繰り返し示すことで、信頼が少しずつ深まります。「この人の話は信頼できそうだ」と感じてもらえるように、患者さんの考え方を尊重しつつ、傾聴と共感を積み重ねていきましょう。
正しい情報提供はもちろん大切ですが、ちょっとした雑談からも患者さんの心を開くことは可能です。患者さんの気持ちや考えを尊重する姿勢を見せてニーズを引き出し、適切な薬選びと提案につなげてほしいと思います。



株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/


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