薬剤師のお悩みQ&A 更新日:2019.04.19公開日:2018.09.18 薬剤師のお悩みQ&A

第85回 木村 百合先生

何気なく店頭の商品につけているPOP。店舗のスタッフブログに書いた新商品の記事。
書き方によっては「薬機法(旧薬事法)」「景品表示法」違反になっているかもしれません。今回は、化粧品、健康食品、サプリメントなどの薬機法・景品表示法に即したコピーライティングに詳しい木村百合先生に、消費者や患者さんへの適切な商品の伝え方を教えて頂きました。

Q
どうして、薬機法や景品表示法に沿った商品説明が必要なのですか
薬の適正使用のための服薬指導と同じようなもの。消費者に適切な商品情報を。
薬の適正使用のための服薬指導と同じようなもの。消費者に適切な商品情報を。
患者さんの目に触れる商品説明は「薬機法」に注意

 

薬局やドラッグストアには、患者さんの目に触れる商品説明がたくさんあります。
ときには、薬局のスタッフたちで手作りしたり、ウェブサイトを更新していることもあるかもしれません。スタッフたちにとっては、こうした手作りのPOPを掲示したり、お知らせのリーフレットを作って配布することに「広告」の意図はないかもしれません。
ところが、たとえ意図的でないにしても、化粧品などの商品の「効能・効果または性能」をスタッフが保証したものと誤解されるおそれがある文言を記載し、誇大広告にあたるような表現をした場合には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、通称薬機法の広告規制に抵触してしまう場合があります。

 

薬機法は医薬品・医療機器等の有効性・安全性を確保し、患者さん・消費者の健康を守ることを目的に、医薬品等の製造・販売から市販後の安全性を一貫して規制する法律です。
規制の範囲に含まれるのは、前述したような商品のPOP、薬局の通販サイト、自分たちで作成した商品説明のリーフレット、店内の掲示物など、商品に関わるものすべてです。
もしスタッフブログを持ちまわりで更新しているような場合、その中で商品について記事を書いたとしたら、それも規制の対象になるので、記述内容のすみずみまで気を配ることが大切です。

 

商品について表現する際に気をつけたいもう一つの法律「景品表示法」

 

薬局やドラッグストアで、商品に関することを記述するときに気をつけたい法律が、薬機法のほかにもう一つあります。それは景品表示法です。
景品表示法は「不当景品類及び不当表示防止法」の略称で、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示することを厳しく規制するとともに、消費者がより良い商品やサービスを選ぶ環境を守るために、過大な景品類の提供を防ぐなどの規制を行います。

 

この景品表示法のなかで、薬局やドラッグストアで働く薬剤師に関わってくるのが「優良誤認表示」です。これは、商品やサービスの品質、効能・効果などについて、1.実際のものよりも著しく優良であると示す、2.事実とは異なり、競争関係にある商品やサービスよりも著しく優良であると示し、消費者に誤解を与えるような表示をして、商品やサービスの適切な選択を妨げることです。

 

たとえば、最近では、DVDレンタル等を行っているTSUTAYAが提供する「動画見放題プラン」の広告表示が、この事例に相当するとして消費者庁から措置命令を受けました。同社の「動画見放題プラン」は全動画作品の中から新作・準新作を除く、約8000タイトルが見放題となるプランでしたが、広告表示の一部に、配信するすべての動画作品が見放題だと誤認するような表示があったとされ、これが優良誤認表示だと消費者庁から認定されたのです。

 

薬局においては、現在までのところ、景品表示法違反にあたる行為が見つかり、措置命令がくだされた事例はありませんが、患者さんや消費者が求める商品を適切にお届けできるよう、誤解を生じさせない正確な情報の伝え方を心がけたいものです。

 

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木村百合先生プロフィール
木村百合先生プロフィール
薬剤師。株式会社ミナモ代表取締役。
薬科大学卒業後、化粧品会社に入社。20年間にわたり、化粧品原料および化粧品の品質管理、薬事業務、化粧品開発、安全性試験に従事。退職後韓国系化粧品会社に入社し、品質保証マネージャー、総括製造販売責任者として、輸入化粧品の薬事・品質管理業務に携わる。同社退職後、株式会社ミナモを設立し、現在に至る。

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