薬剤師のお悩みQ&A 更新日:2019.04.19公開日:2018.11.13 薬剤師のお悩みQ&A

第87回 木村 百合先生

何気なく店頭の商品につけているPOP。店舗のスタッフブログに書いた新商品の記事。
書き方によっては「薬機法(旧薬事法)」「景品表示法」違反になっているかもしれません。今回は、化粧品、健康食品、サプリメントなどの薬機法・景品表示法に即したコピーライティングに詳しい木村百合先生に、消費者や患者さんへの適切な商品の伝え方を教えて頂きました。

Q
化粧品の商品説明をする際に気をつけるべき表現を教えてください
ありがちなNG表現を見ながら、留意事項を確認しよう
ありがちなNG表現を見ながら、留意事項を確認しよう
化粧品の定義を確認しよう

 

薬機法における化粧品は次のように定義されています。

 

「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布、その他これらに類似する方法 で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なもの」

 

さらに、化粧品の効能の範囲は、たとえば肌の場合は下記のように定められています。

 

肌を整える 肌のキメを整える 皮膚をすこやかに保つ
肌荒れを防ぐ 肌をひきしめる 皮膚にうるおいを与える
皮膚の水分、油分を補い保つ 皮膚の柔軟性を保つ 皮膚を保護する
皮膚の乾燥を防ぐ 肌をやわらげる 肌にはりを与える
肌にツヤを与える 肌を滑らかにする

 

このように、化粧品の効能の範囲は細かく定められているので、これらから逸脱しないように留意して表現することがポイントです。

 

「美白化粧品」という表現はOK?NG?

 

それでは早速、下記の5つがOK表現かNG表現かを考えてみましょう。

 

  1. 1.シミ・ソバカスに効く美白化粧品
  2. 2.毛穴を引き締めて、お肌すべすべ
  3. 3.肌の真皮まで届く○○○
  4. 4.肌の内側からふっくら
  5. 5.アンチエイジング化粧品

 

実は、これらは5つともNG表現です。
まず、1、2、4、5には医薬品のように特定の薬理作用に基づいて期待される効能・効果と誤解されるような表現が用いられています。
例えば、下記のように表現を置き換えると良いと考えます。

 

  1. 1.シミ・ソバカスに効く美白化粧品 ⇒ 明るい透明感のある肌
  2. 2.毛穴を引き締めて、お肌すべすべ ⇒ お肌を引き締めて、キメを整える
  3. 4.肌の内側からふっくら ⇒ 肌にハリを与える
  4. 5.アンチエイジング化粧品 ⇒ うるおいを与え若々しい印象の肌へ導くエイジングケア化粧品

 

また、化粧品は「人体に対する作用が緩和なもの」とされているので、作用が及ぶのは肌の「角質」までです。しがたって、3は「真皮」とさらに肌の奥までに対する効能が示されているのでNGとなります。
置き換えの表現としては、下記のような表現が考えられます。

 

3.肌の真皮まで届く○○○⇒角質層のすみずみまで届く○○○

 

化粧品はあくまでも、美容、体の清潔・保護などの目的で体の表面に用います。その効能の範囲内で表現するように心がけるようにすると良いですね。

 

>>業種への転職を目指す薬剤師が知っておくべきこととは?

木村百合先生プロフィール
木村百合先生プロフィール
薬剤師。株式会社ミナモ代表取締役。
薬科大学卒業後、化粧品会社に入社。20年間にわたり、化粧品原料および化粧品の品質管理、薬事業務、化粧品開発、安全性試験に従事。退職後韓国系化粧品会社に入社し、品質保証マネージャー、総括製造販売責任者として、輸入化粧品の薬事・品質管理業務に携わる。同社退職後、株式会社ミナモを設立し、現在に至る。

<完全無料>転職やキャリアのご相談はマイナビ薬剤師へ