第45回 林真一郎 先生
地域住民にとって最も身近な医療従事者である薬剤師には、セルフメディケーションを推し進め、地域の人たちの疾患予防・健康増進の手助けをすることが求められています。
今回は患者さんや地域住民の健康維持・疾患予防に役立つ植物療法の普及に尽力している林真一郎先生に、植物療法についてうかがいました。全5回のシリーズです。
原稿/高垣育(薬剤師・ライター)
最近多く寄せられる相談の一つに、“介護をしている人の不眠”があります。日中は介護のため動き回って疲れているはずなのに、介護についての不安で脳が興奮してしまい、眠れない……。不眠のせいで疲れが蓄積され、介護そのものがだんだんつらくなってくるという悪循環に陥ってしまいます。
良質な睡眠をとって身体を休めて疲労を回復させ、次の日からまた前向きな気持ちで介護を続けられるようにしたい。そんな方におすすめなのは、鎮静作用を有するラベンダーやオレンジスイートのエッセンシャルオイルによる入浴です。
ラベンダーはシソ科の植物で、清楚な芳香を放つ青い花をつけます。エッセンシャルオイルはこの花を蒸留して得ることができ、鎮静作用を有します。オレンジスイートは柑橘系のあたたかく甘い香りで、ラベンダーと同様に、リラックス作用があります。
入浴のときには、これらのエッセンシャルオイルを浴槽に4~6滴垂らしましょう。
そのほか、これらのエッセンシャルオイルを用いたマッサージも睡眠の質を高めるためには有用です。
マッサージオイルは、エッセンシャルオイルの濃度が1%になるように、キャリアオイルと呼ぶ植物油で希釈して作ります。
キャリアオイルには、スイートアーモンドオイル、ホホバオイル、椿油などの種類があり、エッセンシャルオイルを販売しているショップなどで入手が可能です。
エッセンシャルオイルは、瓶から垂らした1滴が0.05mLなので、マッサージオイルを10mL作りたい場合には、キャリアオイル10mLに対して、エッセンシャルオイルを2滴垂らして作ります。
マッサージオイルができあがったら、香りを楽しみながら、足や手などを気持ちいいと感じる強さでマッサージすると良いでしょう。
もちろん、これらの植物療法は介護疲れからくる不眠以外にも活用できます。
なお、全身をマッサージするのに必要なマッサージオイルは10mLほどといわれていますが、少し多めに作って保存しておくと便利です。その際には遮光瓶に入れて冷暗所に保管し、できれば1ヵ月以内には使い切るようにしましょう。
※オレンジスイートのエッセンシャルオイルを使うときには紫外線による皮膚炎に注意してください。
風邪や花粉症が流行する時期には、ユーカリのエッセンシャルオイルがおすすめです。ユーカリはフトモモ科の植物で爽快感のある香りを有し、気管支炎や花粉症のカタル症状、風邪の頭痛などに蒸気吸入で用いられます。
吸入といっても特別な器具は不要です。洗面器やボウルなどお湯を張れる容器と、エッセンシャルオイルを用意してください。
まず、洗面器などの容器に熱湯を張ります。そこにユーカリのエッセンシャルオイルを1滴垂らします。すると、ユーカリの香りのする湯気が立ちのぼってくるので、この蒸気を深呼吸するように吸い込みます。鼻や口から吸い込んだ精油の成分が鼻腔や肺胞から毛細血管に入り、そこから血流にのって全身に運ばれ、ユーカリが有する抗菌作用などを発揮すると考えられています。とても簡単な方法なので、不調を感じたときにすぐに試すことができますし、くしゃみや鼻づまりに対して即効性を示してくれます。医薬品のように用法・用量は厳密に決められていないので、症状を感じたときに使うと良いでしょう。ただし、2歳以下のお子さんへの使用は、やけどをするなどのトラブルが起こる可能性があることや、身体機能が十分に発達していない点などを考慮して避けるようにしましょう。
もし移動中の症状がつらいときは、ハンカチにユーカリのエッセンシャルオイルを1滴垂らして吸い込むようにするのもおすすめです。エッセンシャルオイルの瓶はとても小さいので、鞄やポケットなどに入れて持ち運んでも邪魔になりません。
このように植物療法は、普段私たちが薬局やドラッグストアの店頭で相談されることの多い訴えにも、広く活用することができます。
最近多く寄せられる相談の一つに、“介護をしている人の不眠”があります。日中は介護のため動き回って疲れているはずなのに、介護についての不安で脳が興奮してしまい、眠れない……。不眠のせいで疲れが蓄積され、介護そのものがだんだんつらくなってくるという悪循環に陥ってしまいます。
良質な睡眠をとって身体を休めて疲労を回復させ、次の日からまた前向きな気持ちで介護を続けられるようにしたい。そんな方におすすめなのは、鎮静作用を有するラベンダーやオレンジスイートのエッセンシャルオイルによる入浴です。
ラベンダーはシソ科の植物で、清楚な芳香を放つ青い花をつけます。エッセンシャルオイルはこの花を蒸留して得ることができ、鎮静作用を有します。オレンジスイートは柑橘系のあたたかく甘い香りで、ラベンダーと同様に、リラックス作用があります。
入浴のときには、これらのエッセンシャルオイルを浴槽に4~6滴垂らしましょう。
そのほか、これらのエッセンシャルオイルを用いたマッサージも睡眠の質を高めるためには有用です。
マッサージオイルは、エッセンシャルオイルの濃度が1%になるように、キャリアオイルと呼ぶ植物油で希釈して作ります。
キャリアオイルには、スイートアーモンドオイル、ホホバオイル、椿油などの種類があり、エッセンシャルオイルを販売しているショップなどで入手が可能です。
エッセンシャルオイルは、瓶から垂らした1滴が0.05mLなので、マッサージオイルを10mL作りたい場合には、キャリアオイル10mLに対して、エッセンシャルオイルを2滴垂らして作ります。
マッサージオイルができあがったら、香りを楽しみながら、足や手などを気持ちいいと感じる強さでマッサージすると良いでしょう。
もちろん、これらの植物療法は介護疲れからくる不眠以外にも活用できます。
なお、全身をマッサージするのに必要なマッサージオイルは10mLほどといわれていますが、少し多めに作って保存しておくと便利です。その際には遮光瓶に入れて冷暗所に保管し、できれば1ヵ月以内には使い切るようにしましょう。
※オレンジスイートのエッセンシャルオイルを使うときには紫外線による皮膚炎に注意してください。
風邪や花粉症が流行する時期には、ユーカリのエッセンシャルオイルがおすすめです。ユーカリはフトモモ科の植物で爽快感のある香りを有し、気管支炎や花粉症のカタル症状、風邪の頭痛などに蒸気吸入で用いられます。
吸入といっても特別な器具は不要です。洗面器やボウルなどお湯を張れる容器と、エッセンシャルオイルを用意してください。
まず、洗面器などの容器に熱湯を張ります。そこにユーカリのエッセンシャルオイルを1滴垂らします。すると、ユーカリの香りのする湯気が立ちのぼってくるので、この蒸気を深呼吸するように吸い込みます。鼻や口から吸い込んだ精油の成分が鼻腔や肺胞から毛細血管に入り、そこから血流にのって全身に運ばれ、ユーカリが有する抗菌作用などを発揮すると考えられています。とても簡単な方法なので、不調を感じたときにすぐに試すことができますし、くしゃみや鼻づまりに対して即効性を示してくれます。医薬品のように用法・用量は厳密に決められていないので、症状を感じたときに使うと良いでしょう。ただし、2歳以下のお子さんへの使用は、やけどをするなどのトラブルが起こる可能性があることや、身体機能が十分に発達していない点などを考慮して避けるようにしましょう。
もし移動中の症状がつらいときは、ハンカチにユーカリのエッセンシャルオイルを1滴垂らして吸い込むようにするのもおすすめです。エッセンシャルオイルの瓶はとても小さいので、鞄やポケットなどに入れて持ち運んでも邪魔になりません。
このように植物療法は、普段私たちが薬局やドラッグストアの店頭で相談されることの多い訴えにも、広く活用することができます。
東邦大学薬学部薬学科卒業。1985年グリーンフラスコ株式会社設立。医師・鍼灸マッサージ師・助産師・薬剤師などとネットワークを作り、情報交換を行いながらホリスティック医学としてのアロマテラピーやハーブ療法の普及に取り組んでいる。