- 1.副業とは
- 2.薬剤師は副業できる?
- 3.副業で得られるメリットって何?
- 3-1.スキル・経験値が上がる
- 3-2.モチベーションアップ・マンネリ防止
- 3-3.収入アップ
- 4.薬剤師におすすめ副業5選
- 副業① ライター業や翻訳業
- 副業② ブログやサイトの運営
- 副業③ イラストレーター
- 副業④ ドラッグストアや薬局で兼業する
- 副業⑤ ユーチューバー
- 資産運用で副収入を得ることも
- 5.本業にバレないように副業はできる?
- 5-1.現金手渡しならバレないのでは?
- 5-2.住民税の給与引き落としをやめたらバレないのでは?
- 5-3.確定申告をしなければバレないのでは?
- 6.薬剤師が副業を始める前に覚えておきたいこと
- 6-1.就業時間が長時間化することによる負担を考慮する
- 6-2.雇用保険の適用条件などを把握する
- 6-3.扶養の範囲で働けるか
- 6-4.情報漏洩などに気を付ける
- 7.副業をする目的を明確にしよう
1. 副業とは
働き方改革の推進に向け、厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公開しています。ここで指す「副業」とは、一般的に本業以外で収入が発生する就労のことですが、法的に明確な定義はありません。同ガイドラインでは、副業・兼業の現状を示したうえで、「副業・兼業は、労働者と企業それぞれにメリットと留意すべき点がある」としています。
また、厚生労働省が示している「モデル就業規則(令和3年4月版)」では、第14章副業・兼業の項において「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」という内容が追加されています。
上記をふまえると、副業を考える場合は、所属先企業の職務規程に「副業に関する条件が示されているかどうか」を確認することから始めるべきでしょう。副業を不可とする就業規則があるにもかかわらず無断で副業を始めてしまうと、何らかの処罰の対象になる可能性があります。
2.薬剤師は副業できる?
働き方改革の推進によって、副業・兼業が促進されたこともあり、副業が禁止されている企業は少ないかもしれません。ほとんどの企業で薬剤師の副業は認められているのではないでしょうか。しかし、企業によっては自社のノウハウが漏洩することなどを恐れて制限をかけている場合があります。薬剤師の副業が可能かどうかは、まず現在勤めている企業の就業規則で確認しましょう。
職務規定は所属先企業によって異なりますが、ここでは基本的に副業・兼業が禁止されている可能性の高いケースを見てみましょう。
<基本的に副業・兼業が禁止されている例>
・公務員
国立病院や役所に所属する薬剤師や地方自治体の保健所に所属する薬剤師は、公務員にあたります。基本的に公務員は副業が禁止されています。
・管理薬剤師
管理薬剤師は、医薬品医療機器等法によって基本的に副業・兼業が禁止されています。ただし、薬局の管理やその他薬事に関する業務とされており、薬事に関わらない業務であれば副業が可能です。たとえば、インテリアや子育てなど薬事に関わらないテーマを執筆するライターとして副業するのであれば問題ないでしょう。
また、薬剤師不足が深刻な地域においては、調剤薬局や病院などの業務をサポートすることが目的となる場合、都道府県知事の許可を受けることで薬剤師業務を副業にできるとされています(医薬品、医療機器の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律より)。
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3.副業で得られるメリットって何?
副業を始める動機は人それぞれです。「収入を増やしたい」「スキルアップしたい」「違う環境で経験を積みたい」など、目的に合わせて副業を考えるのではないでしょうか。なかには、「副業できる機会があったから」という理由で始めるケースもあるかもしれません。まずは、副業で得られるメリットにはどのようなものがあるのかを考えてみましょう。
3-1.スキル・経験値が上がる
本業と異なる環境で仕事をすると、さまざまな能力をもつ人との出会いが増え、スキルや経験値アップにつながります。結果として、長期的なキャリア形成につながるでしょう。経験値の高い人と出会うことで、技術を習得する機会を得られたり、人脈を作ることができたりすれば、将来の働き方を考えるうえでヒントが得られることもあります。
3-2.モチベーションアップ・マンネリ防止
新しい環境での仕事は、働くことへのモチベーション向上にもつながります。場合によっては、本業にも良い影響を与えてくれるでしょう。異なる環境を経験することで、従来の働き方を見直し改善するきっかけにもなります。
3-3.収入アップ
複数の職場で働けば、その分、収入アップが期待できます。生活に収入面での余裕が出ると同時に、将来設計がしやすくなるでしょう。たとえば、「将来は独立をして薬局を開業したい」「さらなる勉強のために大学院への進学を考えている」といった場合には、資金を獲得する方法として副業は有効な手段といえます。
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4.薬剤師におすすめ副業5選
では、具体的にどのような副業があるのでしょうか。薬剤師におすすめの副業を紹介します。
副業① ライター業や翻訳業
ライター業や翻訳業は、在宅中のすき間時間でできる仕事であり、薬剤師の副業にぴったりです。パソコンとインターネット環境さえあれば仕事ができるため、初期投資がほとんど必要ないところも大きな魅力です。文章を書くのが得意な人や調べるのが好きな人にはライター業が、英語が得意な人には翻訳業が向いているでしょう。
仕事を得るには、メディアやクラウドソーシングの募集に応募する方法が一般的です。さまざまな職業や情報、医療系以外の人と接する機会が増えるため、知見が広がります。好奇心旺盛な人や知識欲の高い人には、収入以外のメリットを感じやすいでしょう。
また、ライター業や翻訳業は業務委託となるケースがほとんどのため、契約書や支払証明書、請求書などの書類を自身で扱うことになります。原稿料から源泉徴収税を差し引いた金額が、原稿料として振り込まれることから、税制度や確定申告などの知識が高まる点も特徴といえます。
ただし、ライター業や翻訳業には納期がつきものです。納期が守れない状況が続くと、その後の依頼が減る可能性があります。納期や執筆量の調整など、自己管理を徹底する必要があります。
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副業② ブログやサイトの運営
副業としてブログやサイトを運営し、アフィリエイトによって収入を得る方法があります。アフィリエイトは、クリック報酬型広告や成果報酬型広告などを自身のブログやサイトに貼り付け、条件に合った場合に成果として収入が発生します。
ブログやサイト運営は、ライター業や翻訳業と異なり、1記事ごとに収入が得られるという確約はありません。記事を書き続けて収益化するのが一般的であり、時間をかけて収入につなげる取り組みとなるでしょう。ブログやサイト運営で知名度があがると、セミナー講師や書籍出版の依頼が入る可能性もあります。あらたな副業へとつながる可能性があるのが、ブログやサイト運営の魅力です。
副業③ イラストレーター
絵を描くのが得意であれば、イラストレーターとして副業するのもよいでしょう。<>イラストレーターの仕事は、漫画や絵本、アニメ、キャラクターデザインなどの作画のほか、グッズデザイン制作、似顔絵作成など多岐にわたります。収入得る方法も、個人でイラストを販売したり、企業などから依頼されたりとさまざまです。薬剤師の視点を生かして、医療系のイラストを描くなど、特別な分野で活動するのもよいでしょう。
ただし、イラストレーターを副業とするには、ある程度の知名度が必要です。普段からブログやサイトなどでイラストを公開する、SNSなどで発信するといった活動も欠かせません。
副業④ ドラッグストアや薬局で兼業する
薬剤師免許を生かして副業をしたいのであれば、本業と並行して、ドラッグストアや薬局などのパートやアルバイトとして働く方法があります。24時間営業のドラッグストアや薬局は、夜間帯が人手不足となりやすいため、夜間に働ける薬剤師が重宝されます。
また、求人のなかには週1日からの勤務が可能な職場もあり、無理なく働ける環境を探せるでしょう。ただし、十分な休息が取れないと体調を崩したり、本業に影響を及ぼしたりする可能性があります。自身の体力やメンタルを考慮して無理のない範囲で行うことが大切です。
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副業⑤ ユーチューバー
ユーチューバーとして活動し、収益を得る方法もあります。発信力も高まるため、本業に生かされたり、新たな副業につながったりするかもしれません。ただし、事前にカメラや照明、動画編集ソフトを購入するための資金が必要です。また、ユーチューバーとして収益化機能を利用するためには、最低でもまず登録者数を1,000人以上にする必要があるため(Youtubeヘルプページより)、コツコツ時間をかけて取り組む必要があります。
資産運用で副収入を得ることも
金融庁は、今すぐ使わないお金は「投資」を利用して少しずつお金を増やしていくことを推奨しています。副収入を得るのが目的である場合は、副業にこだわらず資産運用を行うという選択肢もあります。「投資」の種類はさまざまで、株式投資、投資信託、不動産投資、暗号資産、金(きん)などがあり、自身の得意分野や興味のあるものを検討してみてはいかがでしょうか。
ただし、資産運用は必ずしも収益になるとは限らず、当然リスクもあります。資産運用に慣れていない方は、まずは情報収集から始めたり、低リスクの投資からスタートさせたりすることをおすすめします。
副業のやり方にはさまざまな方法があり、それぞれにメリットもあります。その一方で時間的・体力的なストレスなどによる本業への影響は避けられません。どんな副業であればメリットを感じられるか、無理なく本業と両立ができるのかを確認しながら、自分に合った副業方法を探しましょう。
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5.本業にバレないように副業はできる?
就業規則によって副業ができないとわかっていても、こっそり副業を行いたいと考える人がいるかもしれません。また、副業が認められている場合でも本業の勤務先にバレたくない人もいるでしょう。
就業規則で禁止されている場合には、副業をしてはいけません。住民税の納付書が本業の会社に届くため、こっそり副業をすることは難しいと考えられます。副業をしていると、副業の収入が給与にプラスされて住民税が計算されることになり、社員の住民税をチェックしている会社には見つかってしまいます。では、住民税の問題をクリアすればよいのかというと、そうはいきません。それでもなんとか見つからないように副業をしたいときに考えがちな疑問について見てみましょう。
5-1.現金手渡しならバレないのでは?
副業先の会社は、給与支払報告書を作成し、市区町村に提出しなければなりません(地方税法317条6より)。増えた収入は結局住民税に反映されるため、本業の勤務先に届く住民税の納付書をチェックされると、やはりバレてしまいます。
5-2.住民税の給与引き落としをやめたらバレないのでは?
住民税を特別徴収(給料から引き落とし)ではなく普通徴収(自身で支払う)にすればバレないと考える人もいるかもしれません。しかし、会社員は基本的に特別徴収で納税することが多く、わざわざ普通徴収を選ぶ時点で会社側から副業の疑いをかけられてしまう可能性があるでしょう。また、地方自治体によっては特別徴収から普通徴収に切り替えができないことがあります。
5-3.確定申告をしなければバレないのでは?
年間所得が20万円以下の場合、確定申告を行う義務はありません。そのため、確定申告をするほどの副収入がなければバレないと考える人もいるでしょう。確かに、確定申告をしなければ見つかりにくくなりますが、その分、副業の収入は年間20万以下に抑えなければならず、大きな年収アップは見込めません。もし、20万円以上の副収入を隠して確定申告を怠れば、後になってその分の税徴収が指摘される可能性もあります。
また、医療費控除やふるさと納税の適用を受けるために確定申告をする人は、副業の年間所得が20万円以下でも申告しなければならないルールになっています(国税庁より)。副業がバレるのを恐れて副収入額を抑えたり、本来できる節税を行わなかったりすると、副業のメリットを感じにくくなるかもしれません。
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6.薬剤師が副業を始める前に覚えておきたいこと
副業を始める前に、知っておきたいことや考えておきたいことがあります。
6-1.就業時間が長時間化することによる負担を考慮する
副業は、本業で働いていない時間帯や休日などに働くため、友人や家族と過ごす時間や趣味の時間を削ることになります。結果、副業の種類によっては、プライベートな時間が極端に減ってしまうことが考えられます。働く時間が長くなるうえ、体を休めたり、気分転換したりする時間が減ってしまえば、心身の疲労が蓄積するかもしれません。
副業を始めるのであれば、現時点の生活スタイルで「副業をする時間」と「プライベートな時間」を両立できるかを充分に検討する必要があります。難しい場合は、副業をしやすいよう、環境を整えることから始める必要があるでしょう。
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6-2.雇用保険の適用条件などを把握する
雇用保険や厚生年金保険、健康保険の適用条件は、勤務先や副業・兼業によって異なります。
「副業・兼業の促進に関するガイドライン」で提示している雇用保険の適用条件は以下の2つです。
① 1週間の所定労働時間が 20 時間以上である者
② 継続して 31 日以上雇用されることが見込まれる者
副業先でも雇用保険の適用条件が満たされた場合、「生計を維持するのに必要な主たる賃金を受ける雇用関係」である本業で、雇用保険に加入することになるでしょう。
また、複数の職場で働き、トータルでは雇用保険の適用条件を満たしているが、個々では満たしていないというケースもあるでしょう。雇用保険は適用条件が合算されないため、その場合は加入することができません。ただし、「雇用保険法等の一部を改正する法律(令和2年法律第 14 号)の概要」により、2022年1月から、65歳以上であれば本人の申し出によりそれぞれの職場の労働時間を合算して雇用保険の適用する制度が試行的に始まっています。
厚生年金保険や健康保険の加入は、事業所の判断に委ねられます。基本的には本業で加入することになりますが、本業・副業ともに社会保険の加入条件を満たした場合、報酬額を合算して社会保険料が算出されることになる(「副業・兼業の促進に関するガイドライン」より)ため、所定の手続きをしなければなりません。
また、副業で収入を増やすつもりが、社会保険料の支払いが発生することで、想定していた金額よりも手元に入る収入が少なくなる可能性があることも覚えておきましょう。
6-3.扶養の範囲で働けるか
扶養の範囲内に収入を抑えながら働いている薬剤師の場合、副業で収入額が増えると扶養から外れてしまう可能性があります。配偶者が加入する健康保険によっても異なりますが、一般的に社会保険料の壁は「130万円」といわれています(協会けんぽより)。年間収入が130万円を超えると、扶養から外れてしまい、自身で国民年金と健康保険料を負担することになるため、収入額によっては手取りが減ってしまうこともあるでしょう。
また、所得税のかからない収入金額103万円以下、配偶者控除が受けられる所得金額48万円以下、配偶者特別控除が受けられる所得金額133万円以下などの要件から外れると、税制優遇を受けられなくなる可能性もあります(国税庁「家族と税」「配偶者特別控除」より)。
税金の支払いや配偶者控除などを意識して働いている薬剤師は、副業でどれくらい収入アップさせても大丈夫か、あらかじめ計算しておく必要があります。
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6-4.情報漏洩などに気を付ける
副業する際の注意点として、情報漏洩への留意があります。患者さんの情報はもちろん、企業がこれから行おうとしている戦略や計画などの情報が外部に漏れてしまうと、企業の損失につながるおそれがあり、競業避止義務違反や秘密保持義務違反として懲戒処分の対象となるケースもあります。
軽はずみな発言が情報漏洩になってしまう可能性もあるため、十分に注意する必要があります。こうした観点から、副業を許可していても、競合他社で働くことを禁止している企業も見られます。いずれにしても副業を始めたいのであれば、まず就業規則を確認し、情報漏洩に気を付けることが大切です。
7.副業をする目的を明確にしよう
働き方改革によって、多くの企業が副業を解禁しています。柔軟な働き方が可能になるからこそ、自分の意思を明確にして、キャリア形成する必要があるでしょう。副業をするなら、何を目的に、どのような環境で働きたいのかを日頃から意識しておくことが大切です。まずは今の就労環境を見直し、副業が可能かどうかを確認したうえで、自分にあった働き方を考えるところから始めてみましょう。薬剤師の経験を生かした副業先を探すのであれば、多くの情報を持つ転職エージェントに相談してみるのもおすすめです。
執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)
薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。
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