実際にあった! 薬剤師あるある体験談 公開日:2025.02.21 実際にあった! 薬剤師あるある体験談

 

医療に欠かせない職種でありながら、どこか影が薄いと言われてしまうこともある、薬剤師という哀しき存在……。「あるある話」を通して、もっと知ってください。私たち薬剤師のこと!

 

薬について、親族や友人から相談されるけど…【薬剤師のあるあるシーン #6】

 

急に聞かれると答えられないことも多い

イラスト/浅水シマ

 

急に聞かれると答えられないことも多い

 

お薬手帳が普及したこともあり、患者さんは薬を受け取る際に薬剤師から医薬品の詳細な説明や服薬指導を受けると思います。私たち薬剤師は、必要なことを漏れなく、分かりやすくお伝えできるよう、細心の注意を払って臨んでいます。患者さんは皆、真面目に聞いてくれているように見えますが、果たしてどうなのでしょうか。
 
親戚の集まりに出向くと、しばしば「この薬を飲んでいるのだけど……」と、お薬相談を持ちかけられることがあります。ただ、薬剤師だからといって、すべての薬を知っているわけではありません。職場で取り扱っているもの、見たことがあって分かるものはいいけれど、そうでないものも多々あります。職場にいれば調べることもできますが、親戚の集まりでスマホとにらめっこしていては、和んだ雰囲気を壊してしまいそうですものね。
 
「薬局で説明してもらわなかった? お薬手帳には何て書いてあるの?」
 
私に相談したおばさんは、そのときはお薬手帳を持っておらず、薬剤師の話も急いでいてよく聞いていなかったというようなことを、ごにょごにょ言いました。
 
「だめですよ、おばさん。薬剤師の説明はよく聞かないと」
 
お薬相談にはなっていないけれど、ちょっとした患者教育はしておきました。
 
薬剤師の友人も、「この薬と風邪薬って一緒に飲んでも大丈夫?」などと、メッセンジャーアプリ経由で知り合いから突然に相談されるとこぼしていました。だけど、答えたくても資料が手元にないので、結局は「念のため、薬局で相談してね」と返信してしまうそうです。
 
やむを得ないことかもしれませんが、もしかしたら、私たちは職場以外では専門家として通用していない? そんなことを考えて、ちょっと不安になってしまうのでした。

藤野紗衣さんのプロフィール画像
執筆/藤野紗衣(ふじの さえ)

東北大学薬学部卒業後、ドラッグストアや精神科病院、一般病院に勤務。現在はライターとして医療系編集プロダクション・ナレッジリングのメンバー。専門知識を一般の方に分かりやすく伝える、薬剤師をはじめ働く人を支えることを念頭に、医療関連のコラムや解説記事、取材記事の制作に携わっている。
ウェブサイト:https://www.knowledge-ring.jp/