インタビュー 公開日:2025.10.10 インタビュー

 

薬剤師・薬局の仕事は、一般の利用者の立場からは分かりにくい部分も多いかもしれません。薬剤師・薬局に関する素朴な疑問について、薬剤師さんに詳しく解説してもらいました!

 

薬剤師に「学歴」は関係ある?

 

職場にもよりますが、キャリアアップ時には実務経験や研鑽を積む姿勢が重視される傾向にあります

私の経験や見聞きした範囲だと、「職場によっては、ある程度学歴は関係がある」と言えます。学歴が比較的重視されると感じるのは、製薬会社などの研究職やMRです。

 

新薬開発の最前線など、高度な専門知識や研究能力が求められる分野では、大学院修了者も多く(むしろ前提?)、研究実績なども含めて総合的に評価されるため、結果的に学歴が重視される傾向にあると考えられます。

 

また、大学病院のような大学関連医療機関も、出身大学が影響することがあるように感じています。大学関連機関では臨床研究を継続的に行っていることが多く、研究職的な側面を併せ持つからかもしれません。

 

私自身はこれまでドラッグストアや精神科病院、一般病院で薬剤師として勤務してきましたが、その中で学歴がキャリアに影響したと感じたことはありませんでした。採用面接で出身大学について詳しく問われた記憶はほとんどありませんし、働き始めてから同僚の学歴を気にするような雰囲気もありませんでした。

 

そもそも薬剤師という職業は、生涯にわたって知識や技能の向上に努めること(生涯研鑽)が前提となる職業です。医療は日進月歩で、新しい医薬品や治療法が次々と登場します。そのため、卒業した大学で何を学んだかという過去の実績以上に、常に新しい知識を学び、実践に生かしていく姿勢が厳しく問われているようです。勉強会や研修会に参加したり、学会で発表したりと、薬剤師は皆それぞれの方法で自己研鑽に励んでいます。

 

特に、専門薬剤師や認定薬剤師といった資格は、出身大学に関係なく、高い専門性を持つことの証明となります。こうした自身の努力で得た客観的な評価は、転職や昇進の際に学歴以上に有利に働くことも少なくありません。そうした地道な努力の積み重ねこそが、薬剤師としての信頼と評価につながるのです。

 

学歴そのものがキャリアに直結する場面は限られていますが、「同じ大学出身者同士のつながり」は重要な役割を果たしているようです。それは年齢が近いとより顕著で、新しい情報を交換したり、困った時に相談に乗ってもらったりしているのを見聞きした経験があります。忘れているだけかもしれませんが、私自身のそういった経験はなかったような気がしていますが……。

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執筆/藤野紗衣(ふじの さえ)

東北大学薬学部卒業後、ドラッグストアや精神科病院、一般病院に勤務。現在はライターとして医療系編集プロダクション・ナレッジリングのメンバー。専門知識を一般の方に分かりやすく伝える、薬剤師をはじめ働く人を支えることを念頭に、医療関連のコラムや解説記事、取材記事の制作に携わっている。
ウェブサイト:https://www.knowledge-ring.jp/