医療費

「かかりつけ指導料」に70点‐診療報酬改定案を答申

薬+読 編集部からのコメント

中央社会保険医療協議会が2016年度診療小集会提案をまとめ、塩崎厚生労働省に答申書を提出しました。「かかりつけ薬剤師指導料」は70点となるほか、「病棟薬剤業務実施加算2」は80点、特別養護老人ホーム入所者に対する「薬剤服用歴管理指導料」には38点が算定できるようにするとのことです。

基準調剤加算は一本化で32点‐ICU病棟実施加算には80点

答申書を竹内副大臣(右)に手渡す田辺会長
答申書を竹内副大臣(右)に手渡す田辺会長

 

中央社会保険医療協議会は10日、2016年度の診療報酬改定案をまとめ、塩崎恭久厚生労働相に答申した。かかりつけ機能を果たす薬剤師・薬局を評価するために新設した「かかりつけ薬剤師指導料」には70点をつける。一方で、全体の処方箋受付が月4万回を超える大型薬局グループで、特定の病院からの処方箋が95%を超えた場合などに、調剤基本料がこれまでの特例点数(25点)より低くなる「調剤基本料3」(20点)を新設。かかりつけ薬剤師指導料の施設基準を届け出ない薬局は、基準調剤加算(32点)が算定できなくなるほか、かかりつけ業務を行わない薬局は調剤基本料を半分に減らすなどして、かかりつけ薬局への移行を誘導している。手術室や集中治療室などでの薬剤管理を評価する「病棟薬剤業務実施加算2」には80点をつける。


 

今回の改定は、地域包括ケアを推進する観点から、かかりつけ機能を果たさなければ、自ずと報酬が下がる仕組みとなっている。

 

新設項目の目玉の一つ「かかりつけ薬剤師指導料」は、患者にかかりつけ薬剤師になることの同意を得た上で、服薬指導等を行うことを薬学管理料として評価するというもの。患者1人に対して1人の薬剤師に限り、次の来局時以降に算定できる。薬剤師は、患者の署名付き同意書を作成・保管し、患者のお薬手帳に薬剤師名と勤務薬局名を記載する必要がある。

 

また、同加算を算定する薬剤師の要件として、▽3年以上の薬局勤務経験▽同じ薬局に週32時間以上勤務し、薬局に6カ月以上在籍▽薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得▽医療にかかる地域活動の取り組みに参画――などを挙げた。チェーン薬局などのように店舗間の異動や複数店舗勤務が多い場合は、算定が難しくなると見られる。

 

同じく新設の「かかりつけ薬剤師包括管理料」(270点)は、地域包括診療料、地域包括診療加算等の算定患者が対象。「かかりつけ薬剤師指導料」の算定要件を満たした上で、患者の服薬状況等を薬学的知見に基づき随時把握し、医師にその都度情報提供すると共に、必要に応じて減薬等の処方提案の実施が要件。

 

基準調剤加算1(12点)、同2(36点)は統合し、施設基準の要件を加算2に合わせる方向で厳格化する。

 

具体的な基準として、▽1200品目以上の医薬品を備蓄▽一定時間以上の開局(平日は1日8時間以上、土曜日または日曜日のいずれかに一定時間以上で週45時間以上)▽麻薬小売業者の免許取得▽過去1年間の在宅業務の実績▽管理薬剤師の実務経験として薬局勤務経験5年以上、当該薬局に週32時間以上の勤務、1年以上の在籍▽単独または近隣の薬局との連携で24時間調剤・在宅業務の体制を整備▽かかりつけ薬剤師指導料またはかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準の届け出▽特定の医療機関からの処方箋の集中率が90%を超える薬局は後発品の調剤割合が30%以上――などを示した。

 

現行で41点の「薬剤服用歴管理指導料」については、患者の初回来局時は「50点」に引き上げる一方、原則過去6カ月以内にお薬手帳を持参して同じ薬局を繰り返し利用した場合には「38点」に引き下げ、患者が同一の薬局に繰り返し来局するインセンティブを与える。

 

内服薬の調剤料は減算される。具体的には、「15日分以上21日分以下」を現行の71点から70点、「22日分以上30日分以下」を81点から80点、「31日分以上」を89点から87点にそれぞれ引き下げる。

 

一包化加算は、現行の「56日分以下」の7日分につき32点を維持しつつ、日数を「42日分以下」に短縮する。「57日分以上」の290点は「43日分以上」の220点に引き下げる。

 

特別養護老人ホームの入所者に対する薬剤服用歴管理指導料も新設。薬剤師が施設を訪問し、患者または薬剤管理者に対し指導を行った場合、薬剤服用歴管理指導料の38点を算定できるようにする。

 

大型門前薬局が対象となることを想定した新設の「調剤基本料3」には20点をつける。薬局グループ全体の処方箋回数が月4万回を超える法人グループに属する薬局で、特定の医療機関からの処方箋集中率が95%を超え、医療機関と不動産賃貸借取引がある場合などに対象となる。

 

調剤基本料の点数は、「同1」が41点、特例点数の「同2」は25点で維持されるが、同2の対象薬局については、これまでの「処方箋受付回数が月4000回超、集中率70%超」「月2500回超、90%超」に、「月2000回超、90%超」と「特定の医療機関からの処方箋受付回数が月4000回超」の要件も上乗せし、範囲を広げる。

 

特例点数の対象であっても、▽かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料▽重複投薬・相互作用防止加算▽在宅患者訪問薬剤管理指導料――のいずれかを算定し、かかりつけ機能を発揮している場合は、除外される。

 

調剤基本料は3区分となるが、医薬品価格の妥結率が50%以下の薬局に適用される「同4」(31点)、「同5」(19点)、「特別調剤基本料」(15点)を合わせると6区分となる。

 

後発品調剤体制加算1(数量シェア55%以上で18点)、同2(65%以上、22点)は点数を維持し、要件を「65%以上」と「75%以上」に引き上げる。

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出典:薬事日報

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