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「トルツ」は1筒14.6万円‐35品目を18日付で薬価収載

薬+読 編集部からのコメント

厚生労働省が2016年11月18日(金)付で新薬23成分35品目を薬価基準に収載します。8月時点での薬価で80mg1mL1筒が24万5873円だった乾癬治療薬「トルツ皮下注」は為替レートの影響を踏まえて再申請が行われ、80mg1mL1筒、80mg1mL1キットともに14万6244円となりました。約10万円低い薬価になったと伝えられています。

異例の再申請、10万円低く

 

厚生労働省は18日付で、新薬23成分35品目を薬価基準に収載する。内訳は、内用薬が15成分19品目、注射薬が6成分13品目、外用薬が1成分1品目、歯科用薬剤が1成分2品目。留意事項通知で事実上の処方制限がかけられ、収載希望を取り下げていた日本イーライリリーの「トルツ皮下注」は、外国平均価格調整に用いる為替レートの変動を機に再申請が行われ、再類似薬並みの薬価となった。9日の中央社会保険医療協議会総会で了承された(表参照


 

エビリファイ錠1mg(大塚製薬):アリピプラゾールを有効成分とする小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性用薬。同社の「エビリファイ錠6mg」を比較薬として、規格間調整で算定した。同剤は、小児の効能・効果が明示的に含まれていることから、5%の小児加算を適用した。薬価は、1mg1錠が31.30円。予測市場規模は、ピーク時の7年目で患者数5700人、販売額5400万円。未承認薬等検討会議の開発要請品目。

 

ミカトリオ配合錠(日本ベーリンガーインゲルハイム):有効成分のテルミサルタン、アムロジピン酸塩、ヒドロクロロチアジドを配合した高血圧治療用配合剤。同社の「ミカルディス錠80mg」などを比較薬とし、新医療用配合剤の特例を適用。ただ、ミカルディス錠80mgの単剤薬価を下回ったため、ミカルディス錠80mgの薬価と同額とした。

 

薬価は、1錠174.80円。予測市場規模は、ピーク時の5年目で患者数3万8000人。販売額22億円。

 

ジャクスタピッドカプセル5mg、同10mg、同20mg(アエゲリオン・ファーマシューティカルズ):ロミタピドメシル酸塩を有効成分とするホモ接合体家族性高コレステロール血症治療薬。原価計算方式で算定した。同剤は、新規作用機序を持ち、既存薬で効果不十分な患者でもLDLコレステロールの低下効果が期待でき、希少疾病用医薬品にも指定されていることから、平均営業利益率のプラス20%を適用した。

 

薬価は、5mg1カプセルが7万9684.80円、10mg1カプセルが9万1128円、20mg1カプセルが10万3739.80円。予測市場規模は、ピーク時の10年目に患者数177人、販売額51億円。

 

ウプトラビ錠0.2mg、同0.4mg(日本新薬):セレキシパグを有効成分とする肺動脈性肺高血圧症治療薬。アクテリオン・ファーマシューティカルズ・ジャパンの「オプスミット錠10mg」を比較薬とし、類似薬効比較方式Iにより、アデムパス錠2.5mgと同1.0mgの規格間比を用い算定した。

 

薬価は、0.2mg1錠が1407.90円、0.4mg1錠が2815.80円。予測市場規模は、ピーク時の8年目に患者数3000人、販売額102億円。

 

ゼンタコートカプセル3mg(ゼリア新薬):ブデソニドを有効成分とする軽症から中等症の活動期クローン病治療薬。原価計算方式で算定。外国平均価格調整により引き下げた。薬価は、3mg1カプセルが256.90円。予測市場規模は、ピーク時の10年目に1万5000人、販売額11億円。未承認薬等検討会議の開発要請品目。

 

リアルダ錠1200mg(持田製薬):メサラジンを有効成分とする潰瘍性大腸炎治療薬。ゼリア新薬の「アサコール錠400mg」を比較薬とし、類似薬効比較方式Iで算定。外国平均価格調整により引き下げた。薬価は、1錠212円。予測市場規模は、ピーク時の6年目に患者数4万8000人、販売額56億円。

 

ブリリンタ錠60mg、同90mg(アストラゼネカ):チカグレロルを有効成分とする急性冠症候群治療薬。過去10年間の薬理作用類似薬の平均1日薬価を用い、類似薬効比較方式IIにより、エフィエント錠3.75mgと同5mgの規格間比を用いて算定した。

 

薬価は、60mg1錠が100.70円、90mg1錠が141.40円。予測市場規模は、ピーク時の10年目に患者数3万2000人、販売額18億円。

 

イニシンク配合錠(武田薬品):有効成分のアログリプチン安息香酸塩とメトホルミン塩酸塩を配合した2型糖尿病治療用配合剤。同社の「ネシーナ錠25mg」と大日本住友製薬の「メトグルコ錠250mg」を比較薬とし、新医療用配合剤の特例を適用。ただ、ネシーナ錠25mgの薬価を下回ったため、ネシーナ錠25mgの薬価と同額とした。

 

薬価は、1錠174.20円。予測市場規模は、ピーク時の10年目に患者数22万人、販売額137億円。

 

カーバグル分散錠200mg(ポーラファルマ):カルグルミン酸を有効成分とする高アンモニア血症治療薬。原価計算方式で算定した。同剤は、新規作用機序を持ち、致死的なアンモニア血症で血中アンモニア濃度の低下を示し、希少疾病用医薬品にも指定されていることから、平均営業利益率のプラス30%を適用した。薬価は、200mg1錠が1万6295.10円。予測市場規模は、ピーク時の10年目に患者数20人、販売額1億5000万円。未承認薬等検討会議の開発要請品目。

 

アイクルシグ錠15mg(大塚製薬):ポナチニブ塩酸塩を有効成分とする抵抗性の慢性骨髄性白血病と再発・難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病治療薬。

 

過去6年間の薬理作用類似薬の最低1日薬価を用い、類似薬効比較方式IIで算定した。薬価は、15mg1錠が6318.30円。予測市場規模は、ピーク時の10年目に患者数780人、販売額29億円。

 

デザレックス錠5mg(MSD):デスロラタジンを有効成分とするアレルギー疾患治療薬。ロラタジンの活性代謝物であることから、ラセミ体が存在する新薬の薬価算定の特例を適用した。薬価は、5mg1錠が69.40円。予測市場規模は、ピーク時の4年目に患者数298万人、販売額119億円。

 

ビラノア錠20mg(大鵬薬品):ビラスチンを有効成分とするアレルギー疾患治療薬。過去10年間の薬理作用類似薬の平均1日薬価を用い、類似薬効比較方式IIで算定。外国平均価格調整により引き下げた。薬価は、20mg1錠が79.70円。予測市場規模は、ピーク時の6年目に患者数294万人、販売額195億円。

 

リフキシマ錠200mg(あすか製薬):リファキシミンを有効成分とする肝性脳症における高アンモニア血症治療薬。原価計算方式で算定し、平均営業利益率を適用した。薬価は、200mg1錠が201.90円。予測市場規模は、ピーク時の2年目に患者数1万2000人、販売額12億円。

 

グラジナ錠50mg(MSD):グラゾプレビル水和物を有効成分とするジェノタイプ1のC型慢性肝炎治療薬。アッヴィの「ヴィキラックス配合錠」を比較薬として、類似薬効比較方式Iで算定。同社の「エレルサ錠50mg」(一般名:エルバスビル)との併用が前提となるため、グラゾプレビルとエルバスビルの1日薬価比を比較薬の1日薬価に適用し、同剤とエレルサ錠50mgの薬価を算出した。

 

薬価は、50mg1錠が9607.30円。予測市場規模は、ピーク時の2年目に患者数9100人、販売額147億円。

 

エレルサ錠50mg(MSD):グラジナ錠50mgと併用するジェノタイプ1のC型慢性肝炎治療薬。ヴィキラックス配合錠を比較薬とし、類似薬効比較方式Iで算定した。薬価は、50mg1錠が2万6900.50円。予測市場規模は、ピーク時の2年目に患者数9100人、販売額206億円。

 

シグニフォーLAR筋注用キット20mg、同40mg、同60mg(ノバルティスファーマ):パシレオチドパモ酸塩を有効成分とする先端巨大症・下垂体性巨人症治療薬。同社の「サンドスタチンLAR筋注用30mg」を比較薬とし、類似薬効比較方式Iにより、サンドスタチンLAR筋注用30mgと同20mgの規格間比を用い算定した。

 

外国平均価格調整により引き上げたほか、同剤は薬物治療歴のない先端巨大症患者に対して奏効率で有意差が示されていることから、5%の有用性加算IIを適用した。

 

薬価は、20mg1キット(溶解液付)が18万4876円、40mg1キット(同)が33万1728円、60mg1キット(同)が46万6987円。予測市場規模は、ピーク時の10年目に患者数128人、販売額4億1000万円。

 

プリズバインド静注液2.5g(日本ベーリンガーインゲルハイム):イダルシズマブ(遺伝子組み換え)を有効成分とする抗凝固薬ダビガトランの中和剤。原価計算方式で算定し、平均営業利益率を適用した。薬価は、2.5g50mL1瓶が19万9924円。予測市場規模は、ピーク時の5年目に患者数202人、販売額8100万円。

 

トルツ皮下注80mgシリンジ、同皮下注80mgオートインジェクター(日本イーライリリー):イキセキズマブ(遺伝子組み換え)を有効成分とする既存治療で不十分な乾癬治療薬。

 

今回、為替レートの影響を踏まえて企業側から再申請が行われ、ノバルティスファーマの「コセンティクス皮下注150mgシリンジ」を比較薬として類似薬効比較方式Iで算定した。為替レートの影響で外国平均価格調整の対象から除外された結果、薬価は80mg1mL1筒、80mg1mL1キット共に14万6244円となり、コセンティクスとほぼ同額となった。

 

8月時点の薬価は80mg1mL1筒が24万5873円であり、約10万円低い薬価となった。予測市場規模は、ピーク時の10年目で患者数6500人、販売額は182億円から108億円に下方修正された。

 

リクラスト点滴静注液5mg(旭化成ファーマ):ゾレドロン酸水和物を有効成分とする骨粗鬆症治療薬。同一成分で効能・効果が異なる既収載品「ゾメタ点滴静注4mg/100mL」が存在するため、原価計算方式で算定。新薬の薬価算定の特例を適用した。外国平均価格調整により引き上げた。

 

一方、同剤はゾメタ点滴静注と同一成分で、安全性薬理試験が実施されていないことから、革新性が低いと判断。平均営業利益率のマイナス10%を適用したが、企業側の不服意見を踏まえ、減算率をマイナス5%にとどめた。

 

薬価は、5mg100mL1瓶が3万9485円。予測市場規模は、ピーク時の6年目に患者数7万1000人、販売額28億円。

 

エムプリシティ点滴静注用300mg、同400mg(ブリストル・マイヤーズスクイブ):エロツズマブ(遺伝子組み換え)を有効成分とする再発・難治性の多発性骨髄腫治療薬。小野薬品の「カイプロリス点滴静注用40mg」を比較薬とし、類似薬効比較方式Iにより、カイプロリス点滴静注用40mgと同10mgの規格間比を用い算定した。外国平均価格調整により引き上げた。

 

薬価は、300mg1瓶が16万0696円、400mg1瓶が20万9587円。予測市場規模は、ピーク時の10年目に2700人、販売額154億円。

 

イデルビオン静注用250、同500、同1000、同2000(CSLベーリング):アルブトレペノナコグアルファ(遺伝子組み換え)を有効成分とする血液凝固第IX因子製剤。過去6年間の薬理作用類似薬の最低1日薬価を用い、類似薬効比較方式IIにより、オルプロリクス静注用3000と同2000の規格間比で算定した。

 

薬価は、250国際単位1瓶が8万7532円、500国際単位1瓶が17万3231円、1000国際単位1瓶が34万2833円、2000国際単位1瓶が67万8486円。予測市場規模は、ピーク時の10年目に患者数475人、販売額97億円。

 

ミケルナ配合点眼液(大塚製薬):有効成分のカルテオロール塩酸塩とラタノプロストを配合した緑内障・高眼圧症治療用点眼配合薬。同社の「ミケランLA点眼液2%」などを比較薬とし、新医療用配合剤の特例で算定した。薬価は、1mLが729.20円。予測市場規模は、ピーク時の7年目に患者数12万人、販売額30億円。

 

リグロス歯科用液キット600μg、同1200μg(科研製薬):トラフェルミン(遺伝子組み換え)を有効成分とする歯周炎による歯槽骨の欠損治療薬。原価計算方式で算定した。同剤は同一成分を含有する別製剤が存在し、海外で開発が計画されていないものの、歯槽骨の欠損に用いられる唯一の医薬品で、新生歯槽骨の増加効果が示されていることから、平均営業利益率のプラス10%を適用した。

 

薬価は、600μg1キットが2万0670.90円、1200μg1キットが2万7802.90円。予測市場規模は、ピーク時の10年目に患者数12万人、販売額31億円。

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出典:薬事日報

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