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ほぼ半数企業がAI導入‐創薬部門で多く活用、人材やデータ不足が課題に

薬+読 編集部からのコメント

製薬企業34社に人工知能(AI)の導入調査によると、ほぼ半数の16社が導入済。
創薬部門が最も導入されており、次いで営業・マーケティング、臨床開発の順でした。
ただし、AI研究開発の人材や必要なデータ不足が課題に…。
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製薬協委員会が調査

 

製薬企業34社を対象に人工知能(AI)の導入状況を聞いたところ、ほぼ半数となる16社でAIを導入していたことが、日本製薬工業協会医薬品評価委員会データサイエンス部会の調査で分かった。導入済み企業では、AIの導入支援をする全社組織や勉強会、プロジェクトの設置など、AIに関連した活動が全社展開されている傾向にあり、部門ごとで見ると創薬部門で多く導入されていた。未導入企業でも、「導入を決定」「導入を検討中」「今後、検討を予定」が半数以上を占めるなど関心が高く、今後業界内でAI導入・活用が加速する可能性が出ている。ただ、成果の創出に向けては、AIの研究開発を行う人材やAIの構築に必要なデータが不足しているとの課題が浮き彫りになっているようだ。

 


同部会では、国内製薬企業におけるAIの導入状況や課題を把握するため、昨年9月6日から10月12日の期間で、国内製薬企業65社を対象にアンケート調査を実施し、外資系5社を含む34社108部門から回答を得た。

 

AIの取り組み状況を聞いたところ、全社的な状況、部門ごとの状況のいずれかで「導入済み」と回答したのが延べ16社に上ることが分かった。全社的なAIに関する取り組みについては、「各部門に任せている」が最も多かったが、「全社的に導入に積極的である(勉強会、プロジェクトなどがある)」や「各部門のAIの導入支援をする全社組織がある」「各部門の取り組みが全社で共有されている」を含めると、全社展開が進んでいる傾向が見られた。

 

一方、AI未導入と回答した16社のうち、「導入が決まっている」が1社、「導入を検討中」が2社、「今後、検討予定」が6社となり、「導入を検討していない」と答えた7社に対し、導入に前向きな姿勢を示す企業が多かった。

 

部門ごとの活用状況を見ると、創薬部門が最も導入されており、次いで営業・マーケティング、臨床開発の順となった。反対に「導入を検討していない」と回答した割合では、営業・マーケティングがトップで、安全性情報管理や製造販売後調査、生産・品質保証が続いた。

 

AIの導入に関する課題については、「社内にAIについて企画立案できる人材がいない」が最も多かった。AIに精通した人材不足が多く挙げられる中、創薬部門では「既に人材を確保できており、課題はない」が20%に上った。

 

一方、AIの構築や評価に使用するデータについては、「分からない(把握していない)」「必要なデータが社内外にあるが、充足しているか分からない」と戸惑いが見られ、既に導入済み、導入を決定しているか検討中の企業では、「必要なデータが社内外にあるが、散在していたり、品質が低いなど利用が困難」が最も多く、「必要なデータが社内に確保できており、課題はない」はわずか7%にとどまった。

 

同部会では、今回の調査結果から、AI研究開発に関心がある企業が増え、AIの活用が過渡期にあるとした上で、「AIにかかる人材の育成や確保に課題を抱えるだけではなく、AIの利用のアイデアはあっても、競合他社や利用が認められていないデータが必要であるなど、1企業や1部門で解決できない課題がある」と指摘する。

 

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出典:薬事日報

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