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オプジーボ、緊急的に特例再算定‐引き下げ幅は最大で25%か

薬+読 編集部からのコメント

2016年10月5日(水)、厚生労働省は抗がん剤「オプジーボ」などの高額な薬剤に対する「薬価上の緊急的対応」の方策を示しました。対応を講じる薬剤の対象範囲は「効能追加等が行われてから市場拡大再算定の対象となる期間が2年を超えることになる薬剤」。事実上、オプジーボのみが対象になるようですが、薬価の引き下げ幅は最大で25%になると見込まれています。

厚生労働省は、5日の中央社会保険医療協議会・薬価専門部会に、抗癌剤「オプジーボ」に代表される高額薬剤に対する「薬価上の緊急的対応」の方策を示した。通常、薬価改定を行わない17年度に「緊急的」に実施することを念頭に、対象となる薬剤は「2015年10月から16年3月までに効能追加などがなされた薬剤」のうち、「16年度販売額が1000億円超、かつ当初予測の10倍以上」とし、16年度薬価制度改革で導入した市場拡大再算定(特例)の要件を活用。薬価調査は行わず、算定式における販売額は、企業の自主公表額を最大限活用する。


 

厚労省は、緊急的な対応を講じる薬剤の対象範囲について、「効能追加等が行われてから市場拡大再算定の対象となる期間が2年を超えることになる薬剤」とし、薬価調査の実施月の翌月に当たる15年10月から16年3月までに効能追加等が行われた薬剤を対象とする考えを示した。

 

また、16年度の販売額が市場拡大再算定(特例)の適用要件である「1000億円超」で、市場予測からの拡大率が「当初予測の10倍以上」となる薬剤を「市場拡大の程度が極めて突出した薬剤」に位置づける考えを示した。

 

現行のルールにはない「緊急的」な対応で、薬価調査は実施しないことから、これらの条件に合致するかどうかの判断は、各企業による予想販売額に基づかざるを得ない。

 

そのため、厚労省が条件に該当する薬剤をリストアップし、各企業に基準への該当性を回答するよう協力を求めると共に、特例再算定の算定式における販売額についても企業の自主公表額(16年度予想販売額等)を最大限活用するとした。

 

厚労省は、これらの条件に該当するのは「事実上、オプジーボしかないのでは」との見通しを示している。

 

小野薬品では、オプジーボの16年度市場予測規模を仕切価ベースで1260億円と見込んでいる。これは、特例拡大再算定の「1000億円超で1500億円以下、予想販売額の1.5倍以上」の要件に該当し、この場合、薬価が最大で25%引き下げられることになる。

 

これまで、診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)は、期中の薬価改定に慎重な姿勢を示していたが、この日の会合では、「緊急的な対応」として、オプジーボの薬価を引き下げることに反対しなかった。

 

支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、予想販売額が企業の自己申告となることについて、「あまりにもアバウト」とし、申告額と実際の販売額が大きく乖離してしまう可能性があることに懸念を示した。

 

この日の部会では、医療機関での適切な使用を促すため、厚労省がオプジーボや、高コレステロール血症治療薬「レパーサ」を対象に作成を進めている「最適使用推進ガイドライン」に基づいて留意事項通知を発出し、医療保険上の取り扱いを明確化することも確認した。

 

今後、最適使用推進GLをベースとして、▽GLの実効性確保▽経済性・医薬品の特性を踏まえた保険適用のあり方▽実臨床における医師の判断――などを踏まえ、厚労省が留意事項通知の内容を検討。近く中医協総会で議論し、発出することとなった。

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出典:薬事日報

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