同時接種の一般化提言‐委員から賛同意見相次ぐ
厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会は4月27日、委員や参考人から予防接種に関する取り組み状況について意見聴取を行った。中野貴司委員(川崎医科大学小児科教授)は、国内におけるワクチン同時接種について、医師が必要と認めなくてもより一般的な医療行為として行えるよう現行ルールを変更すべきと提言。他の委員からも同時接種の一般化に賛同する意見が相次いだ。
現在、定期接種実施要領や各ワクチンの添付文書では、異なるワクチンの同時接種について「医師が必要と認めた場合に実施できる」とされている。中野委員は、複数のワクチンを接種しても有効性に影響がないことや、有害事象や副反応の頻度が上がらず、同時接種するワクチンの本数にも原則的に制限がないことなどの現状を指摘した。
その上で、接種率の向上や子供を早期に疾病から守れること、保護者と医療従事者の時間的、経済的な負担を軽減できることなどの同時接種のメリットを挙げ、「同時接種をより一般的な医療行為として行う必要がある」とした。
また、異なるワクチンを接種する場合の接種間隔については、現在はインフルエンザや破傷風など不活化ワクチンの接種後は中6日以上の間隔を、麻しんや風しんなどの生ワクチンの接種後はウイルス同士の干渉を防ぐため、中27日以上の間隔を空けてから次のワクチンを打つように定められている。
中野委員は、米国では非経口生ワクチン同士、生ワクチン同士の接種を除いて同時接種できることなどを踏まえ、「注射生ワクチン同士は27日以上の間隔を空け、それ以外のワクチン接種では特に接種間隔を設けない」とのルールに変更するよう求めた。
これに対し、宮崎千明委員(福岡市立心身障がい福祉センター長)は「もう少し接種しやすくなればいい」と同調。多屋馨子委員(国立感染症研究所感染症疫学センター第三室長)も「ワクチンの種類が増え、一つひとつ接種するのが不可能な状況になってきた。同時接種が当たり前の時期になったのではないか」と述べるなど、ルール改正に前向きな意見が相次いだ。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会の川崎医科大学小児科教授・中野貴司委員は接種率の向上や時間的、経済的な負担を軽減できることなど同時接種のメリットを挙げ、現行ルールを変更すべきと提言しました。