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学修習慣が国試合格に影響か‐京都薬科大学が傾向を分析

薬+読 編集部からのコメント

京都薬科大学薬学教育研究センターの細井信造教授、開章宏講師らの研究グループが、薬学生の学修習慣が国家試験の合否に関連しているのでは、という調査の結果を明らかにしました。それによると、2年次の評定平均が80点以上の学生は全て国試に合格している反面、60点未満の学生の国試合格率は30.0%。全体に、入学前に学修習慣が身についている学生の方が入学後の成績が良く、国試の合格率も高い傾向があるようです。

細井氏(右)、開氏

 

大学入学前や入学後の学修習慣が大学の各年次の成績に影響し、ひいてはその影響は薬剤師国家試験の合否にまで及ぶのではないか――。京都薬科大学薬学教育研究センターの細井信造教授、開章宏講師らの研究グループが実施した解析によって、そんな傾向が明らかになった。京都薬大のある年度における学生を対象に調べると、入学前に学修習慣が身に付いている学生の方が、入学後の成績は良かった。さらに各年次の専門必修講義科目の成績が良い学生は、国試の合格率が高かったという。


 

細井氏らの研究グループは、薬学教育6年制のある年度における学生を国試合格群と不合格・卒業留年群に区分した。2年次、3年次、4~6年次の専門必修講義科目の評定平均と国試合否・卒業留年との相関に焦点を当てて分析すると、国試合格群の評定平均はどの年次においても不合格・卒業留年群より高く、学業成績が良い学生は国試合格率も高いことが明らかになった(

 

図

 

さらに2年次に焦点を当てて詳しく分析すると、2年次の評定平均が80点以上の学生は全て国試に合格しており、75点以上80点未満の学生の国試合格率も94.1%と高かった。一方、60点以上65点未満の学生の国試合格率は51.7%、60点未満の学生の国試合格率は30.0%と低かった。低学年の段階で既に、学業成績が将来の国試の合否につながっていることが明らかになったという。

 

それでは、学業成績の良し悪しや国試の合否は一体、何によってもたらされるのだろうか。ひとつの要因として研究グループが注目したのが日頃の学修習慣だ。

 

京都薬大は以前、4年次にCBT対策として年間8回、自主練習問題を学生に渡して取り組ませていた。その取り組み率が高い学生ほど国家試験合格率は高く、日頃の学修習慣が国試合格に相関することが示された。

 

研究グループはさらに入学前の学修習慣と入学後の学業成績の相関を調べた。京都薬大は推薦入試合格者に対して入学までの約3カ月間に計4回課題を授与。課題提出締切日の1週間前に、課題に着手しているかどうかを確認し、まだなら取り組むよう促している。

 

調べてみると、締切の1週間前に物理、数学、生物の3科目全ての課題に取り組んでいた学生は、大学入学後1年次から4~6年次までにわたり、専門必修講義科目の評定平均が常に学年平均より高かった。4年次のCBT体験受験の得点、6年次の実力試験の得点も高かった。

 

一方、1週間前になっても課題に取り組んでいなかった学生は、取り組み開始が遅れた回数が多いほど入学後の評定平均は低かった。4回の提出期限を全て守った学生でも、締切1週間前を過ぎてから取り組み始めた学生の入学後の評定平均は、1週間前に取り組んでいた学生より低く、差があった。

 

この結果から開氏は「高校生の時にどれだけ学修習慣が身に付いているかが、6年次の実力試験の得点にまで影響している。今後さらなる解析を行う予定であるが、おそらく国試の合否にも相関していると思う」と語る。

 

細井氏も「低学年次に、いかに学修習慣をしっかり身に付けさせるかが大事になる」と強調する。ただ、高学年で学修習慣がしっかりと身に付いてない学生であっても「リカバーはできる。この結果をネガティブに捉えるのではなく、現時点でどのように計画的に勉強を進めるのかを主体的に考えるきっかけにしてほしい」と話している。

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出典:薬事日報

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