薬剤師会

年間約236億円の削減効果‐疑義照会の有用性調査

薬+読 編集部からのコメント

日本薬剤師会が「2015年度全国薬局疑義照会調査」の結果を公表しました。全国の薬剤師が疑義照会することにより、薬剤費の節減効果と、副作用回避の医療費とを合わせると236億円節減できるという試算結果が出ています。調査は疑義照会を「患者の安全を確保し、医療費抑制効果も得られる有意義な業務」と結論づけているとのことです。

日本薬剤師会は、鹿村恵明氏(東京理科大学薬学部教授)への委託事業で行った「2015年度全国薬局疑義照会調査」の結果を報告した。全国の薬剤師が疑義照会を行うことによる薬剤費の節減効果と、副作用回避の医療費とを合わせると236億円節減できるとの試算を示した。


 

調査は、薬学的疑義照会の医療経済学的な面での有用性を検証するため、全国の薬局リストの中からランダム抽出した5630薬局を対象とし、昨年7月21~27日にかけて行った。回答率は14.7%。

 

処方箋応需枚数(29万7086枚)のうち、疑義処方箋枚数は7607枚で、疑義照会を行った処方箋枚数ベースの疑義照会率は2.56%だった。

 

処方箋応需枚数を分母とした件数ベースの疑義照会率は2.74%で、そのうち形式的疑義照会を除いた薬学的疑義照会を行った割合は78.10%(6354枚)だった。薬学的疑義照会による処方変更率は74.88%(4758枚)だった。

 

鹿村氏らは、薬学的疑義照会を行う前と後の薬剤費の変化も調査。薬学的疑義照会を行った事例において、「処方の記入漏れ」を除いた疑義照会前後の薬剤費の変化(医薬品の合計金額)を薬価で計算した結果、差額の合計金額が約383万円に上った。これを薬学的疑義照会1件当たりに換算すると約643円の医療費節減となり、前回の13年度調査と比較して143円増えた。

 

1年間の処方箋枚数を8億0831万枚と仮定した上で、件数ベースの疑義照会率2.7%、薬学的疑義照会率(件数ベース)78.1%、薬学的疑義照会総件数6350件、などの数値をもとに、全国の薬局薬剤師が疑義照会を行った場合の年間薬剤費節減額を推定すると、約103億円(13年度約82億円)に上り、薬局の薬剤師が行う薬学的疑義照会は、13年度調査の結果以上に、医療費節減に貢献していることが分かった。

 

重篤な副作用の回避につながった327件の疑義照会事例をもとに、薬局薬剤師による年間の副作用回避医療費節減額を試算すると、およそ133億円に上り、潜在的な医療費節減効果として見込めることも判明。103億円の薬剤費節減と重篤な副作用回避による133億円の医療費節減を合わせると、年間236億円の医療費削減効果につながることも分かった。

 

鹿村氏らは、薬剤師の疑義照会について、「薬物療法における有害事象を回避し、患者の安全を確保すると共に、医療費抑制効果も得られる有意義な業務」と結論づけている。

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出典:薬事日報

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