薬剤師会

後発品使用促進策の影響・14年度調査結果‐厚生労働省

薬+読 編集部からのコメント

厚生労働省が後発品使用促進策の影響に関する2014年度の調査結果を公表しました。それによると、患者が後発品に最も望むことは「効果が先発品と同じであること」だそうです。そういえば昨年の花粉症シーズン、薬+読の編集スタッフも後発品が身体に合わなくてつらい思いをしました……。

一般名処方が7割に増加‐“銘柄変更不可”の対応が課題

厚生労働省は後発品の使用促進策の影響に関する2014年度調査の結果速報をまとめ、中央社会保険医療協議会に報告した。今回の調査では、一般名処方の割合が前回(13年度)調査の10・6%から18・1%に増加。このうち後発品を調剤した割合も前回の59・6%から70・8%に上がり、後発品の使用が増えている状況が明らかとなった。一方、後発品の銘柄を指定して処方された医薬品のうち「変更不可」とされた割合が44・8%と、前回調査の22・8%から倍近く増加。銘柄変更不可の後発品が処方されたことにより、調剤を行う上で「問題があった」と回答した薬局が46・1%に上るなど、新たな課題も浮き彫りとなった。

 

算定が2区分に‐厳しくなった要件体制加算

調査は、14年10月21日から12月3日にかけて実施。全国の保険薬局690施設、一般診療所932施設、病院574施設、医師863人、患者992人から得た回答を分析した。

14年度の調剤報酬改定で、後発品調剤体制加算は▽全医薬品に占める後発品の割合が22%以上(5点)▽30%以上(15点)▽35%以上(19点)――の3区分から、「後発品のある先発品と後発品の合計に占める後発品の割合」という新指標を用いて▽55%以上(18点)▽65%以上(22点)――の2区分に変更され、算定要件が厳しくなった。

薬局の後発品調剤体制加算の算定状況は、新指標で数量シェア55%以上の「加算1」(18点)が28・4%、数量シェア65%以上の「加算2」(22点)が29・9%と全体の58・3%が算定していた。

前回調査は、加算1を算定した薬局が20・1%、加算2が19・3%、加算3が34・9%で、全体の74・3%が算定しており、算定率が下がった形となった。この点からも、加算のハードルがやや高くなっていることがうかがえた。

後発品の調剤割合は、新指標で「65%以上~70%未満」が15・8%と最も多く、次いで「55%以上~60%未満」が14・6%、「60%以上~65%未満」が13・6%、「80%以上~85%未満」も2・6%あった。全体の平均では57・2%で、後発品の調剤体制が整いつつある状況がみてとれる。

 

品質への疑問が医師に根強く残る

1週間の取り扱い処方箋に記載された医薬品で一般名処方の割合は18・1%と前回調査の10・6%から7・5ポイント上昇し、そのうち70・8%で後発品が調剤されていた。前回調査の59・6%から11・2ポイントの増加となり、後発品の使用が進んでいることがうかがえる。

一般名処方の処方箋を持参した患者のうち、後発品を調剤しなかった理由は、「患者が後発品を希望しなかったから」が58・8%と最も多かった。

ただ、後発品名で処方された医薬品で「変更不可」となっている割合が44・8%と、前回調査の22・8%から大幅に増加。後発品の銘柄指定を行う医師が増えていることが分かった。

変更不可の後発品が処方されることについて、46・1%の薬局が「問題があった」と回答。その理由として、「備蓄がなく、取り寄せるために患者を待たせることになった」と答えた薬局が58・8%、「備蓄がなく、後ほど患者宅へ届けることになった」が46・6%と、後発品の銘柄指定によって薬局が難しい対応を迫られた状況が浮き彫りとなった。

薬剤師が後発品の使用を進める上で医師に望むこととしては、「後発品の銘柄指定を行わないこと」が70・4%、「患者が後発品の使用を希望している場合、処方箋に変更不可の署名を行わないこと」が61・2%だった。

調査では、診療所と病院、それぞれの医師に変更不可の後発品を処方した理由をたずねている。「特定の銘柄以外の後発品の品質に疑問がある」と答えた診療所医師が22・3%、病院医師が18・6%で最も多く、「患者から希望があったから」(17・8%、20・9%)、「特定の銘柄以外の後発品に関する情報提供が不足している」(13・9%、10・6%)と続いた。

調査結果が報告された中医協総会では、日本薬剤師会の安部好弘常務理事が、それぞれの薬局で「後発品の備蓄を増強して対応している」としたものの、それでも在庫がなかった場合、近隣の薬局に問い合わせるなどして入手を試みているしている状況を説明し、対応の難しさを強調した。

後発品の望ましい価格体系については、薬局薬剤師の62・6%が一つの価格帯に統一することを求めており、現行の3価格帯が望ましいと考えているのは9・4%にとどまった。

さらに、望ましい価格水準は平均で先発品薬価の52・7%が適切な水準と考えていた。現行制度では、初後発品の薬価は先発品の60%となっているが、薬局薬剤師は、先発品のおよそ半額が望ましいと考えていることも分かった。

一方、医師に対する調査では、「後発品を積極的に処方する」と回答したのが、診療所医師で35・7%、病院医師で46・2%、「薬の種類によって、後発品を積極的に処方する」が診療所医師32・0%、病院医師24・7%だった。

先発品を銘柄指定する理由については、「患者からの希望」が診療所医師50・6%、病院医師58・5%、「後発品の品質(効果や副作用を含む)に疑問がある」が診療所医師49・7%、病院医師50・8%で、患者の声が医師の処方に影響していることもうかがえた。

 

薬剤師の働き掛けが重要

患者への調査では、「少しでも安くなるのであれば使用したい」が全体の59・7%を占めた。「いくら安くなっても使用したくない」が11・1%で、その理由は「後発品の効き目や副作用に不安があるから」が62・4%、「使いなれたものがいいから」が40・4%だった。

先発品から後発品に変更したきっかけとしては「薬剤師からの説明」が67・2%で大半を占め、後発品への変更可能な処方箋を持参した患者に対する説明義務や調剤の努力義務が一定程度、果たされている状況がみてとれた。「医師からの説明」は8・4%だった。

安倍氏は、「過去には薬剤師が後発品推進のボトルネックになっているといわれたが、一定の貢献をしていることが明らかになった。今後もさらに努力していきたい」と述べた。一方で、後発品に変更不可の処方が増えていることに触れ、「分析をお願いしたい」とした。

患者が後発品を使用する上で最も重視することとしては、「効果が先発品と同じであること」が49・3%で最も多く、「窓口で支払う薬代が安くなること」が12・0%、「副作用の不安が少ないこと」が9・2%と続いた。

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出典:薬事日報

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