薬剤師会

患者と薬剤師の認識に格差‐薬効や体調の把握、患者は「不十分」

薬+読 編集部からのコメント

城西大学薬学部薬剤作用解析学の小林大介教授らが行った調査で、薬局薬剤師自身は「実践できている」と自認している業務でも、患者の実感としては実践できておらず、両者の認識には差があるという結果が明らかになりました。特に患者と意識の乖離が大きいのは「薬の効果の把握」「体調変化の把握」「有害作用から患者を守る意識」の3点と伝えられています。

薬局薬剤師自身は実践できていると自認している業務でも、患者の実感としては実践できておらず、両者の認識には差がある――。城西大学薬学部薬剤作用解析学教授の小林大介氏らの調査で、そんな実態が明らかになった。調査対象とした12項目のうち特に、▽薬の効果の把握▽体調変化の把握▽有害作用から患者を守る意識――の3項目で差が大きく、それを埋める努力が必要としている。


 

小林氏らは、米国で実施された先行研究を参考に、薬局薬剤師の業務に関する12項目の質問事項を作成。患者1000人、薬局薬剤師862人を対象にアンケート調査を実施し、12項目の業務の実践状況を5段階で評価してもらった。定期的に薬局で調剤、服薬指導を受けている患者や、薬局で服薬指導をしている薬剤師など、適正回答者として抽出した患者529人、薬剤師338人の回答を対象に、両者の差を解析した。

 

5段階評価のうち評価の高い「5」や「4」を回答した割合を合計し、比較した。その結果、全項目で両者の認識には差があり、患者の評価に比べて、薬局薬剤師が実践できていると自認している割合は高かった。

 

特に「薬の効果を薬剤師が把握しているか」と聞いた質問では、「5」や「4」を回答した薬剤師は80.2%だったのに対して、患者は37.8%にとどまっていた。「薬による体調の変化を薬剤師が把握しているか」と聞いた質問では、薬剤師側の80.2%に対して患者は28.4%、「薬の有害作用から守る意識が薬剤師にあるか」と聞いた質問でも、薬剤師側の82.8%に対して患者は42.2%の回答率にとどまり、差は大きかった。

 

ほかにも、▽患者が話しやすくなるように薬剤師が心がけている▽医師よりも薬剤師の方が薬の専門家であると思う▽薬剤師は患者の訴えを理解して的確に答えてくれる▽患者の生活習慣を把握している――などの項目で、薬剤師の自己評価が患者の評価を上回っていた。

 

さらに小林氏らは、薬物治療の専門家として薬剤師の評価を高める要素として「医師より薬剤師に薬の相談をしようと思うか」「医師よりも薬剤師の方が薬の専門家であると思うか」の2項目の向上に相関する要素を12項目の中から探索した。その結果、「患者が薬剤師をかかりつけ薬剤師と思う意識」「健康食品やサプリメントの使用について把握する」「患者が話しやすくなるように心がけること」が重要な要素として浮かび上がった。これらを高める努力が必要としている。

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出典:薬事日報

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