抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」、ロシュと世界市場を開拓‐手代木社長
塩野義製薬の手代木功社長は、10月29日に開催した決算説明会で「抗インフルエンザ薬『ゾフルーザ』のメリット訴求により、日本を含めた世界のインフルエンザ市場をスイスのロシュと連携して3000億円に拡大したい」との目標を掲げた。「ハイリスク試験でインフルエンザB型が圧倒的に強い」「1回投与」「早いウイルス減少効果」などのメリットを打ち出し、最大化を図る考えだ。
手代木氏は、今年度の中間決算について、「英ヴィーブによる抗HIV薬、ロシュからのゾフルーザのロイヤリティ収入が増加したものの、高脂血症治療剤『クレストール』、降圧剤『イルベタンファミリー』のジェネリック医薬品発売の影響が出て、国内での売上高は苦戦した」との見方を示すも、「比較的堅調であった」と総括した。
ゾフルーザの売上高は、中間期で7億円、通期130億円を見込んでいる。手代木氏は、「インフルエンザの流行は、4月に入って急速に収束したが、ゾフルーザの国内マーケットシェアは65~70%を目指したい」と述べた一方、米国事業については「今年の冬の流行に間に合うように、10月24日に前倒しで承認された」と紹介。
その理由として、「ゾフルーザの安全性は他の抗インフルエンザ薬に比べて際立っている」と指摘。さらに、「有効性は、他のタミフル、リレンザなどのノイラミニダーゼ阻害薬と同程度でも1回投与、B型に強い、ウイルス減少効果に優れている」などの利点を挙げた。「提携先のロシュでは、欧米を中心に1000億円以上の売上高を目指す」との事業方針を掲げているとした上で、「売上1000億円は、タミフルも達成していない」と補足した。
世界のインフルエンザ薬市場は、1000~1500億円程度で、そのうち国内市場は500億円を占める。欧米では、インフルエンザに罹患すると、「自宅で静養する」のが通常で、積極的な薬物治療が施されていないため、潜在的な市場を狙える。
ゾフルーザのターゲットとして、「特に小児や高齢者において積極的な治療をすれば、呼吸器感染症などの重篤な合併症を抑制できことなどの訴求が重要となる」と述べ、「診断キットの普及も含めて、ロシュと共に世界のインフルエンザ市場を3000億円に拡大したい」と語った。
手代木氏は、ポスト抗HIV薬、抗インフルエンザ薬にも言及し、「抗HIV薬のドルテグラビルファミリーは、ここ数年間で減少に転じることはないものの2028年からジェネリック医薬品が上市される」との見通しを語り、「優先8プロジェクトに投資して20年前後に、抗HIV薬、ゾフルーザに次ぐいくつかのプロジェクトをなるべく早く見極めたい」と述べた。
さらに、同プロジェクト以外にも、「ロート製薬との細胞治療のコラボレーション」「精神神経系を中心としたデジタルメディスン」「中分子ペプチド創薬」「核酸のアジュバント」などの候補を挙げた。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
塩野義製薬の手代木功社長は決算説明会で、抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」について、「ロシュと共にの市場を3000億円に拡大したい」「国内はシェア65~70%を目指す」と発言しました。