創薬・臨床試験

条件付き早期承認制度、運用方法で合意‐2項目追加で対象を拡大

薬+読 編集部からのコメント

2017年6月1日、厚生労働省は「薬事に関する官民政策対話」を開催しました。製薬業界と薬事行政の方向性やあり方について議論され、革新的医薬品を対象とする「条件付き早期承認制度」の運用方法が明示されるなどしたということです。

薬事に関する官民政策対話

 

厚生労働省は1日、製薬業界と薬事行政の方向性やあり方について議論する局長級の「薬事に関する官民政策対話」を開催した。厚労省は、既に創設に合意していた革新的医薬品を対象とする「条件付き早期承認制度」の運用方法を明示。優先審査の対象範囲を拡大することや、一定の有効性・安全性が見込まれるものの、患者数が少なく、治験の実施が困難な疾患を対象とした医薬品などを対象とする考えを示した。厚労省は、今秋以降に関係省令を改正する通知を発出する予定。


 

今年1月の初会合では、高い医療ニーズと有用性が期待される革新的医薬品を対象に、一定の条件下で承認を認める「条件付き早期承認制度」を導入することで合意していた。

 

同制度は、既に再生医療等製品に導入されており、「適応疾患の重篤性」、既存の治療法や予防法、診断法がないといった「医療上の有用性」の2項目に当てはまる医薬品を優先審査の対象としている。

 

医薬品に対する「条件付き早期承認制度」では、新たに▽検証的臨床試験の実施が困難であるか、実施可能であっても患者数が少なく実施に相当の期間を要すると判断されるもの▽検証的臨床試験以外の臨床試験等の成績により、一定の有効性・安全性が示されると判断されるもの――の2項目を追加することで合意した。

 

四つの項目全てに当てはまる医薬品を優先審査の対象とすることとした。対象を拡大することで、患者数が少ない疾患などに対する医薬品を早期に上市することを見込む。厚労省は、夏頃までに具体的内容をまとめ、今秋以降に関係省令を改正する通知を発出する考えだ。

 

また、同制度の承認条件となる製造後販売調査について、有効性・安全性を検証する臨床試験にかかる膨大なコストを考慮し、医療情報データベース(MID-NET)などから収集した臨床現場のデータを活用することを確認した。

 

ただ、現在はデータベースを活用した調査結果を審査申請の資料として提出することが認められていないため、今秋をメドに調査の信頼性基準を定めた省令を改正し、申請資料として使用可能にすることとした。

 

一方で、先発品の臨床試験の成績を後発品の添付文書にも記載できるようにすることを検討していることを明らかにした。

 

これは、厚労省が進めている医療用医薬品の添付文書記載要領の見直しの一環。知的財産権などの問題から、現在は先発品の臨床成績を後発品の添付文書に記すことができない。

 

ただ、日本ジェネリック製薬協会が「後発品普及率80%の時代にふさわしい形にするため、先発品と同様に臨床試験の情報を提供すべき」と要望していたことなどを踏まえ、厚労省は、先発・後発品の両業界団体と調整した上で、後発品の添付文書記載要領改訂に関するパブリックコメントを近日中に募る考えを示した。

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出典:薬事日報

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