添付文書改訂‐オランザピンに薬剤性過敏症
厚生労働省は、日本イーライリリーの抗精神病薬「オランザピン」(製品名:ジプレキサ)に重大な副作用として、薬剤性過敏症症候群の副作用が報告されたことから、添付文書の「使用上の注意」を改めるよう製造販売業者に指示した。
オランザピンについては、使用上の注意の「重大な副作用」の項に「薬剤性過敏症症候群」を追記し、初期症状として発熱が見られ、さらに肝機能障害やリンパ節腫脹などが現れることがあるため、十分な観察を行い、異常時には投与を中止し、適切な処置を行うよう注意喚起した。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)の報告によると、直近3年間で薬剤性過敏症症候群に関連する国内症例2件のうち、転帰死亡例が1件確認された。今回、欧米で同症候群への措置が取られたほか、医薬品の安全性や効能・効果等の情報を記載した文書(CCDS)を改訂したことなどから、専門家の意見を踏まえた上で添付文書の改訂が適切と判断。「重大な副作用」の項に「薬剤性過敏症症候群」を追記するよう指示した。
また、第一三共の抗菌薬「シタフロキサシン」(製品名:グレースビット)について、副作用として血小板減少関連の2症例、精神症状関連の1症例が報告されたことから、重大な副作用の項に「血小板減少」と「錯乱、せん妄、幻覚等の精神症状」を追記するよう注意喚起した。
そのほか、三和化学研究所の利尿薬「アゾセミド」(製品名:ダイアート)の重大な副作用の項に「無顆粒球症、白血球減少」を追記。ノバルティスファーマの抗癌剤「イマチニブ」(製品名:グリベック)と「ニロチニブ」(製品名:タシグナ)、ブリストル・マイヤーズスクイブの抗癌剤「ダサチニブ」(製品名:スプリセル)の3成分については、「重要な基本的注意」の項にB型肝炎ウイルスの再活性化に関する注意喚起を追記すると共に、重大な副作用の「感染症」の項にはB型肝炎ウイルスの再活性化が現れることを追記するよう指示した。類薬であるファイザーの抗癌剤「ボスチニブ」(製品名:ボシュリフ)に関しても、「重要な基本的注意」の項にB型肝炎ウイルスの再活性化に関する注意喚起を追記することとした。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
厚生労働省は抗精神病薬「オランザピン」(製品名:ジプレキサ)の添付文書の「重大な副作用」の項に「薬剤性過敏症症候群」を追記するよう指示しました。そのほか、抗菌薬「シタフロキサシン」(製品名:グレースビット)の重大な副作用の項には「血小板減少」と「錯乱、せん妄、幻覚等の精神症状」を追記、他3成分についても注意喚起の追記を指示しています。
2016/08/10 17:23 記事中、オランザピンの重大な副作用の項に「急性腎不全」を追記とあるのは「薬剤性過敏症症候群」、オランザピンの製品名で(ジプレキサ、ザイディス)とあるのは(ジプレキサ)の誤りでした。お詫びして訂正致します。