糖尿病治療配合剤など登場‐新薬等6件を了承
薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は4日、武田薬品の2型糖尿病治療薬「イニシンク配合錠」など6件を審議し、了承した。
▽リグロス歯科用液キット600μg、同1200μg(科研製薬):有効成分のトラフェルミン(遺伝子組み換え)を含有し、歯周炎による歯槽骨の欠損を効能・効果とする新投与経路医薬品。
同剤は、表皮形成などを促す作用を持つヒト塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)製剤で、歯周病が進行した部位の歯茎を切開し、歯根面に付着している歯垢や歯石を直視下で除去する「フラップ手術」時に歯槽骨欠損部に塗布して用いる。歯周組織欠損部に存在する未分化間葉系幹細胞の増殖を促進し、歯周組織の再生を促すとされている。
原薬を含有する凍結乾燥品および添付溶解液が充填されたガラス製カートリッジを装填した調液・投与用ユニット、貼薬針を組み合わせた単回使用のコンビネーション製品。
再審査期間は6年。海外での承認はない。
▽ゼンタコートカプセル3mg(ゼリア新薬):有効成分のブデソニドを含有し、軽度から中等度の活動期クローン病を効能・効果とする新投与経路医薬品。
同剤は、ステロイドのカプセル剤で、小腸や結腸近位部で薬剤が放出されるよう設計された腸溶性徐放製剤。9mgを1日1回朝に経口投与する。厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で開発要請された。
再審査期間は6年。海外では、欧米など35カ国以上で承認されている。
▽シグニフォーLAR筋注用キット20mg、同40mg、同60mg(ノバルティスファーマ):新有効成分のパシレオチドパモ酸塩を含有し、先端巨大症・下垂体性巨人症(外科的処置で効果が不十分または施行が困難な場合)における成長ホルモン、IGF-I(ソマトメジン-C)分泌過剰状態および諸症状の改善を効能・効果とする。
同剤は、ヒトソマトスタチン受容体への結合を介して内因性ソマトスタチンと同様に成長ホルモン分泌を抑制する。バイアル製剤、専用分散液およびバイアルアダプターからなるコンビネーション製品。用法・用量は、40mgを4週ごとに3カ月間、臀部筋肉内に注射。その後は病態に応じて20mg、40mg、60mgを4週ごとに投与する。
再審査期間は8年。海外では欧米など40カ国で承認されている。
▽イニシンク配合錠(武田薬品):有効成分のアログリプチン安息香酸塩とメトホルミン塩酸塩を含有し、2型糖尿病(ただし、アログリプチン安息香酸塩およびメトホルミン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される場合に限る)を効能・効果とする。
DPP-4阻害剤とビグアナイド系薬剤の配合剤。DPP-4阻害剤のアログリプチン25mgとメトホルミン500mgを含有する。1日1回1錠を食直前または食後に経口投与する。類薬にエクメット配合錠がある。
再審査期間は4年。海外では、欧米を含む世界45カ国で承認されている。
▽アルチバ静注用2mg、同5mg(ヤンセンファーマ):有効成分のレミフェンタニル塩酸塩を含有し、小児の全身麻酔の維持における鎮痛の効能・効果を追加する。
同剤はμオピオイド受容体作動薬で、フェンタニルクエン酸塩と比較して鎮痛作用の発現・消失が速やかな超短時間作用型のオピオイド。非特異的エステラーゼにより速やかに代謝されるため、全身麻酔の維持時の調節性に優れている。また、消失半減期が超短時間であるため、小児の全身麻酔の「維持」のみに用いる。未承認薬・適応外薬検討会議開発要請品目。
再審査期間は4年。海外では欧米など20以上の国または地域で承認されている。
▽オビドレル皮下注シリンジ250μg(メルクセローノ):新有効成分のコリオゴナドトロピンアルファ(遺伝子組み換え)を含有し、視床下部下垂体機能障害に伴う無排卵または希発排卵における排卵誘発および黄体化、生殖補助医療における卵胞成熟および黄体化を効能・効果とする。
同剤は、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)製剤。国内ではこれまで、ヒト尿由来絨毛性性腺刺激ホルモン(u-hCG)製剤が無排卵症などの効能・効果で30年以上使用されていたが、ヒト尿を用いることなく、遺伝子組み換えによって製造できるため、より安定的に供給できるようになった。
再審査期間は8年。海外では欧米を含む101カ国で承認されている。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は新薬など6件を審議し、了承しました。厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で開発要請された「ゼンタコートカプセル」や、武田薬品の2型糖尿病治療薬「イニシンク配合錠」などが了承されています。