経口避妊薬、術前中止せず‐「禁忌」知らず手術延期
日本医療機能評価機構は、添付文書上は手術前4週以内の患者に「禁忌」と記載がある経口避妊剤を中止しなかったため、手術が延期になった事例を17日付の「医療安全情報」で紹介し、関係者に注意喚起した。
添付文書上、手術時に「禁忌」と記載があることや患者がその薬を内服していることを医療者が把握しておらず、手術が延期になった事例は2件。具体的に見ると、半年前に外来で初診を担当した医師は、患者が低用量ピル「アンジュ錠」を内服していることを問診票で確認していたが、担当を交代した別の医師へ伝えていなかった。
その後、交代した医師は「アンジュ錠」が手術前4週以内は禁忌であると知っていたものの、患者が内服していることを把握していなかったため、外来で中止の指示をしなかった。入院後、患者の申し出により「アンジュ錠」を内服していることが判明。手術が延期になったというもの。
また、別の事例では、患者は外科外来を受診して約1カ月後に手術予定となった。その時に、「トリキュラー錠」を内服していることを医師に伝えたが、医師は「手術前4週以内は禁忌」であることに気づかず、「トリキュラー錠」の中止の指示をしなかった。
その後、看護師が入院6日前に入院オリエンテーションを行った時、患者が「トリキュラー錠」を内服していることを知ったが、手術前に中止が必要な薬という知識がなかったため、入院後に「トリキュラー錠」が中止されていないことに薬剤師が気づき、手術が延期になった。
こうした事例が発生した医療機関に対し、同機構は手術が決定した外来診察日に患者の内服薬の鑑別を薬剤師が行い、医師に情報提供するよう促し、術前チェックリストの中に内服禁忌薬を明示し、確認を徹底するよう注意喚起した。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
日本医療機能評価機構は手術前4週以内の患者に「禁忌」と記載がある経口避妊剤を中止しなかったため、手術が延期になった事例を17日付の「医療安全情報」で紹介しました。同機構はこうした事例の発生した医療機関に対し、患者の内服薬の鑑別を薬剤師が行い、医師への情報提供や確認を徹底するよう注意喚起しています。