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血液製剤の指針全面改定‐約12年ぶりに大幅見直し

薬+読 編集部からのコメント

厚生労働省は2016年度中にも、血液製剤の使用指針を改定するという予定を明らかにしました。現在、出血量が多い子宮筋腫の手術などで自己血輸血を推奨することや、アルブミン製剤の使用指針の変更などを盛り込んだ改定案を検討中ということです。

厚生労働省は26日、「血液製剤の使用指針」の全面改定案を、薬事食品衛生審議会血液事業部会の適正使用調査会に示した。日本輸血・細胞治療学会が赤血球製剤や血小板製剤など、各血液製剤の使用ガイドラインを策定している動きに合わせたもので、2005年以来の大幅な改定となる。改定案では、出血量が多い子宮筋腫の手術などで、より安全性の高い自己血輸血を推奨するなど新しい項目を設置するほか、アルブミン製剤の使用指針の変更などを盛り込んだ。今年度中にも改定する予定。

 

改定案では、各血液製剤の適正使用に関する要約部分を削除し、これまで指針で定義してきた治療開始のトリガー、目標値の設定の仕方などについて、同学会による科学的根拠に基づく輸血ガイドライン(仮称)に準拠させた。また、使用指針の推奨度について、「強く推奨する」と「弱く推奨する(提案する)」の2通りで提示。これらにそれぞれアウトカム全般のエビデンスを強い順にA~Dの4段階で示した。

 

具体的な章立てについては、赤血球液の適正使用に関して「慢性貧血に対する適応」や「急性出血に対する適応」「重症または敗血症患者の貧血」に新たな項目を設置した。そのうち、慢性貧血に対する適応では、鉄欠乏症やビタミンB12欠乏性などの貧血患者には、生命の維持に支障を来す恐れがある場合以外は赤血球輸血を推奨しないことなどを盛り込んだ。

 

「疾患別の自己血貯血の適応」も新たな項目として盛り込み、出血量の多い子宮筋腫の手術や産科手術、開心術などの心臓血管外科手術においては、他人の血を輸血する同種血輸血よりも、より安全性が高い自己血輸血を推奨した。

 

また、「新生児・小児に対する輸血療法」では、流産や小頭症、肝炎などを引き起こすサイトメガロウイルス(CMV)抗体陰性血の適応疾患に関する項目を新たに記載。母体が抗体陰性または陰性が確認されていない場合に行う胎児輸血、また同様の母体から生まれた子どもに生後28日未満の間に行う輸血は、可能であればCMV抗体陰性血の使用を推奨した。CMV抗体陰性の造血幹細胞移植受血者、臓器移植を受ける患者、CMV抗体陰性エイズ・HIV陽性者に対しても、可能であればCMV抗体陰性血の使用を推奨するとした。

 

血液製剤の使用指針は、感染症の副作用や合併症の危険性など、血液製剤が持つ危険性を回避することや、血液の国内自給率向上には血液製剤の適正使用を促す必要があることから、1999年に策定された。05年の大幅な改定後も一部改正が重ねられてきたが、同学会が各血液製剤の使用ガイドラインの策定を進めていることに合わせ、指針の見直しを行うことにした。今後、調査会で改定案を検討し、今年度内をメドに指針を改定する方針。

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出典:薬事日報

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