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長期収載品と境界がなくなる‐GE薬協 澤井会長、1価格帯への集約に懸念

薬+読 編集部からのコメント

この5年でジェネリック医薬品はこの5年でシェア40%から70%へ拡大。目標である80%シェア達成を目前としていますが、日本ジェネリック製薬協会の澤井光郎会長は、「先発医薬品とジェネリック医薬品の価格の境界がなくなる」として薬価制度改革について懸念を示しました。また、新たにバイオシミラー委員会が設立されました。

安定供給対応の制度を要望

 

澤井会長

5月に就任した日本ジェネリック製薬協会の澤井光郎会長は、本紙のインタビューに対し、2020年9月に設定されたジェネリック医薬品(GE薬)数量シェア80%達成が当面の目標としながらも、「“80%後”を見据え、環境が変化しても患者さんにGE薬を安定的に届けられるようにしたい」との抱負を述べた。GE薬収載後10年が経過した長期収載品の薬価を引き下げる新ルール「G1」「G2」が新設されたことで、「G1と位置づけられた薬剤は、6年が経過するとGE薬と同じ薬価に揃えられることになり、長期収載品とGE薬の境界がなくなる」とし、患者視点でGE薬を選択していくための取り組みを、産官が連携して推進していくべきと主張した。また、3価格帯から1価格帯への集約や毎年薬価改定といった薬価制度改革の方向性は、「安定供給に大きな影響を与える」とし、柔軟な対応を求める考えだ。


この5年間でGE薬数量シェアが約40%から約70%に急拡大し、20年9月の80%達成も視界に入った。それでも澤井氏は、「80%の達成は楽観視できない」と慎重な考えを示している。

 

G1、G2という新たな価格算定ルールの導入により、「G1と位置づけられた長期収載品を使用する患者さんが、6年が経過した段階でGE薬と同じ薬価になるのであれば、そのまま長期収載品を使い続けるという考えも出てくる可能性がある。また、長期収載品が撤退しなければ、GE薬に切り替わった薬剤が、長期収載品へと戻ってしまうこともあり得るため、簡単に80%に到達するとは思っていない」と説明した。こうしたGE薬を取り巻く環境変化を踏まえ、17年に制定した「ジェネリック医薬品産業ビジョン」の改訂作業にも着手を始めるとしている。

 

GE薬の安定供給に大きな支障を来す可能性があるのが、GE薬の薬価制度をめぐる議論の方向性だ。次期薬価制度改革では、同一組成・剤形区分・規格のGE薬に関して、3価格帯から1価格帯に集約する議論が進んでいる。1価格帯が導入されると、低価格で販売しているGE薬メーカーの医薬品薬価が上がり、適正価格で販売する企業の薬価が下がるといった、市場の実勢価格を反映しない現在の価格制度の問題点がより大きくなることから、GE薬協では急激な1価格帯の移行には懸念を示している。

 

澤井氏は、「将来のGE薬の安定供給を考えると、1価格帯制度は様々な切り口で影響を与える」と述べ、3価格帯からいったん2価格帯へ集約する激変緩和の措置など柔軟な対応を求める意向を明らかにした。初収載薬価については、既に十分低い水準にあるとして現行の水準の維持を訴えた。

 

GE薬80%達成後に、業界団体であるGE薬協が果たすべき役割については、長期収載品が撤退した場合には、GE薬メーカーが医薬品の安全性管理に責任を持つ産業構造になるため、「長期収載品が撤退し、GE薬に移行する段階で、医薬品情報の管理について必要な役割を担う」という姿を描いているが、具体的には、円滑な情報提供、情報収集ができるよう検討を進めたいとの考えを示した。

 

一方、新たな動きとして、協会内で4月に「バイオシミラー委員会」を設立した。10社程度のGE薬協会員社が中心となり、他団体と提携しながら活動していく。バイオシミラーの品質・安全性・有効性に関するガイドラインやQ&Aについて、業界側の意見を出していく方向だ。

 

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出典:薬事日報

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