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【国内製薬大手20年3月期中間決算】国内好調で業績上方修正~武田はシャイアー連結効果

薬+読 編集部からのコメント

武田薬品、アステラス製薬、第一三共、エーザイと国内製薬大手4社の2020年3月期中間決算が出揃いました。アイルランドのシャイアー連結子会社化により、大幅に増収を達成している武田薬品は、海外売上比率が80%を突破していますが、シャイアーの前年同期業績を考慮した売上高で見ると、実質横ばいとなります。主力品の特許切れに直面しているアステラス製薬、そして第一三共はともに国内医療事業の好調に支えられて増収確保。エーザイも特殊要因を除き増収となり、推移は好調。大手4社とも業績を上方修正し、引き続き伸長する見通しとなっております。

国内製薬大手4社の2020年3月期中間決算が出揃った。武田薬品は、アイルランドのシャイアー連結子会社化により大幅増収を達成し、海外売上比率が80%を突破した。主力品の特許切れに直面するアステラス製薬、第一三共も国内医薬事業の好調に支えられ増収を確保。エーザイも特殊要因を除き増収となり、好調に推移した。通期予想は、国内製品群の好調などを背景に、4社とも業績を上方修正。引き続き伸長する見通しだ。

武田は、シャイアー製品が連結対象に加わり、前年同期比89%増の1兆6602億円となった。シャイアーの前年同期の業績を考慮した売上高で見ると、実質横ばいとなった。

 

主力製品は、潰瘍性大腸炎治療薬「エンティビオ」が31%増、抗癌剤「ニンラーロ」が30%増、うつ病治療薬「トリンテリックス」が28%増と二桁の伸びを示し、シャイアー製品も遺伝性血管性浮腫治療薬「タクザイロ」が5.5倍増と急伸したほか、注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療薬「バイバンス/ビバンセ」が5.4%増と貢献した。地域別では米国売上が全体の50%に迫り、海外売上比率は82%と飛躍的に伸びた。

 

アステラスは、過活動膀胱治療薬「ベシケア」などの特許切れによる落ち込みやKMバイオロジクス製品の提携契約終了といった減収要因があったものの、抗癌剤「エンザルタミド」が力強く成長し、0.5%増の微増収を確保した。

 

特にエンザルタミドは全地域で拡大し、19%増の二桁成長となり、通期売上予想を約200億円上方修正した。日本事業も新製品の骨粗鬆症治療薬「イベニティ」などが貢献し、1.5%増と増収を確保した。

 

第一三共は、降圧剤「オルメサルタン」の特許切れに直面していたものの、5%台の落ち込みにとどめ、主力の抗凝固剤「エドキサバン」が36%増と好調に推移してカバー。全体で7.3%の増収を確保した。製品構成の若返りにより、巻き返しつつある。

 

国内医薬事業も、抗潰瘍薬「ネキシウム」やアルツハイマー病治療薬「メマリー」が貢献し、7%増。米国では子会社「第一三共インク」の落ち込みを、貧血治療薬の販売子会社「アメリカンリージェント」がカバーし、増収を達成。中国も22%増と拡大した。

 

一方、エーザイは、前年同期に計上した抗癌剤「レンビマ」の米メルクからのマイルストン収入の反動が大きく3.5%減となったが、これら特殊要因を除き増収を確保。レンビマは米国と中国で大きく拡大し、売上が倍増した。

 

利益面では、武田がシャイアーの買収費用などで各利益とも大幅減益となったが、実質ベースのコア営業利益では統合による経費効率化で大幅増益となった。アステラスと第一三共は二桁増益となった一方、エーザイは前年同期にレンビマのマイルストン収入を計上した影響で減益となった。

 

通期予想では、武田が各利益を期初予想から上方修正。アステラスも減収営業増益、コアベースでは減収減益を予想するものの、国内新製品群の好調で上方修正した。第一三共も増収営業増益、エーザイが3期連続の増収増益を計画し、好調を維持するもようだ。

 

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出典:薬事日報

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