CRCが日誌を無断入力~ノイエスで不適切行為
エムスリーグループのSMO「ノイエス」が支援している臨床試験で、同社社員の治験コーディネーター(CRC)が被験者の電子日誌を無断で入力していたことが分かった。同社は3日に厚生労働省に報告。対象となる臨床試験や医療機関、CRCが不適切行為に及んだ経緯などは明らかにしていない。現在、原因究明を進めている段階にあるという。
臨床試験中の状態を入力するために、被験者に貸与していた電子日誌について不適切行為が発覚した。来院期間終了後も問題が生じた場合には、患者から電子日誌で申告してもらう手順となっていたが、同社のCRCは来院期間終了のタイミングで電子日誌を回収していた。
その際、被験者に対して問題があれば連絡してほしい旨を伝えた上で、連絡がない場合は問題がないものと判断し、被験者に代わりログインやチェックインを行っていた。一部の被験者では当初から電子日誌を貸与せずに被験者の状態確認を十分に行わず、CRCが被験者として被験者の状態を入力していたという。
また、臨床試験中に規定された来院時の採血時間や服薬時間について、治験実施計画書からの逸脱を免れようとして、CRCが本来実施された時間とは、異なる時間を検査伝票とワークシートに記載していた。
エムスリーグループは9月にノイエス、イスモ、アルメックのSMO3社をノイエスに統合。不適切行為を行ったのは旧ノイエス所属のCRCという。
ノイエスは藤本圭一社長名で、「関係者に大変な迷惑と心配をかけ、深くお詫び申し上げる。今回の事態を厳粛に受け止め、原因究明を図ると共に、速やかな再発防止の実施により、早期の信頼回復に全力を尽くす」との声明を発表。治験データの信頼性にも影響を及ぼす不適切行為であるため、厚労省を中心に調査を行うとしている。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
CRC(治験コーディネーター)が被験者の電子日誌を無断で入力していたことが、エムスリーグループのSMO「ノイエス」が支援している臨床試験で判明しました。入力にあたっていたのは同社社員のCRCです。同社のCRCは被験者の来院期間終了のタイミングで電子日誌を回収。被験者の代わりにログインやチェックインを行い、一部の被験者については当初から電子日誌の貸与すら行わず、状態確認も十分に行わないまま、CRCが被験者として被験者の状態を入力をしていたそうです。