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医療

岐阜県可児市に6年制薬学部新設~地域医療に貢献する人材育成

薬+読 編集部からのコメント

岐阜県で唯一の医療総合大学である岐阜医療科学大学では今春、可児市内のキャンパスに薬学部(6年制、定員100人)を新設しました。初年度の入学者数は79人と定員割れでのスタートとなりましたが、東海地区の薬剤師不足は続いており、需要はあると見込んでいます。岐阜県内の薬学部設置は2校目で、私立大では初となります。大学周辺地域には、ポルトガル語を話す工場勤務の外国人が多数住んでいるという地域のニーズに合わせ、外国語教育ではポルトガル語が必修科目に加えられています。薬学部長の永瀬久光氏は「東海地区の薬学部の数は人口に比べて少ない。まだ需要はあるだろう」と前向きに見通しを語っています。

岐阜医療科学大学は今春、可児市のキャンパスに薬学部(6年制、定員100人)を新設した。新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて入学式は中止し、今月14日からオンラインでの授業を開始した。初年度の入学者数は79人と定員割れでのスタートにはなったが、東海地区の薬剤師不足は続いており、需要はあると見込んでいる。看護学部などを有する医療総合大学の強みを生かしたチーム医療教育を展開し、地域医療に貢献できる薬剤師の育成に力を入れる考えだ。


岐阜医療科学大は、岐阜県で唯一の医療総合大学。看護師を養成する看護学部、放射線技師と臨床検査技師を養成する保健科学部があるほか、助産師を育成する専攻科がある。医療総合大学として教育・研究体制をさらに拡充するため、柱として薬学部の設置に踏み切った。

 

岐阜県内の薬学部設置は2校目で、私立大では初めてとなる。薬学部長の永瀬久光氏は「地域にはまだ薬剤師の需要がある。今後、在宅医療のニーズはますます高まると見られる。地域医療に特化した薬剤師、地域包括ケアシステムに対応できる薬剤師を養成したい」と語る。

 

看護学部が取り組んできた地域医療教育を参考に、薬学部でも4年次後期に在宅・地域診療薬学演習を実施。地域に根差した活動を行っている薬局に薬学生が出向き、学びを深める。薬学部の教員だけでなく看護学部の教員からも地域医療の実際について講義を受け、地域における薬剤師の役割を深く考えてもらう計画だ。

 

外国語教育ではポルトガル語を必修科目に加えた。永瀬氏は「大学の周辺地域には、ポルトガル語を話す工場勤務の外国人が多数住んでいる。地域に根差した医療を実践できる人材を育成するという意味で外国語教育を設定した」と話す。

 

医療総合大学の強みを生かした多職種連携教育にも力を入れる。6年次のチーム医療演習では4学科の最終学年の学生が小人数のグループに分かれ、具体的な症例の課題や治療について意見を交わし、チーム医療の実践力を高める。その他、臨床検査医学総論や放射線検査医学総論、フィジカルアセスメント論など他学部の教員から講義を受ける機会は多い。

 

2、3年次に設けた必修科目「コミュニケーション・ワークショップ演習」は地域性を反映したものである。可児市と関係の深い劇団文学座と連携して演劇の手法を活用したワークショップを行い、コミュニケーション能力を高める。

 

山岡一清学長は、「薬剤師職能の発揮には患者との対話が重要になる。可児市が不登校の生徒に演劇の手法でワークショップを行ったところ、休学率が大幅に低下した。可児市長からの提案を受け、手法を取り入れることになった」と語る。

 

9月認可響き定員割れ‐東海地区の需要に期待

薬学部がある可児キャンパスは、名城大学都市情報学部の跡地や校舎を利用して2019年4月に開設した。看護学部などを関市のキャンパスから移転。薬学部も19年度からスタートする計画だったが、看護学部の入学者数が定員の1.2倍以上に達した影響で新設許可を得られる見込みがなくなり、文部科学省への申請を一旦取り下げた。昨春に再度申請し、9月中旬に許可を得て今春に新設した。

 

薬学部新設が1年遅れたことは大学経営に大きな痛手となったが、開始までの期間内にカリキュラムを練り直すことができた。当初計画では2年目から赴任する予定だった教員が初年度から揃い、手厚い教育を展開できるのも利点という。

 

教員数は現在33人。研究の主軸を担う微生物、薬理、生化学、生薬、有機化学の5分野のほか各分野の教員を揃え、最終的に36人に達する予定だ。岐阜薬科大学で勤務した教員が全体の約3割を占めている。

 

初年度は志願者の確保に苦戦した。例年8月下旬に得られる文科省の新設認可が、昨年は9月中旬にずれ込んだ影響で、指定校推薦の志願者を十分に獲得できなかった。山岡氏(写真右)は「9月中旬から高校を回り始めた時には、薬学部の指定校推薦を志望する学生はもう残っていなかった。行く先が決まっている学生がほとんどだった」と振り返る。

 

結果的に初年度入学者数は79人と定員割れになったが、チーム医療教育を展開できる医療総合大学の強みをアピールし、挽回を図る考え。永瀬氏(写真左)は「定員は公立大学並みに少ない。きめ細かな教育を行うことで就職に耐え得る人材を送り出せる」と期待をかける。

 

医薬分業率の伸びが上限に近づき、薬剤師の需要は低下するとして薬学部新設には厳しい見方もある。永瀬氏は「都会志向もあって、関東や関西では薬剤師の供給は過剰だが、東海地区ではまだ薬剤師の需要はある。関東では募集しないが、東海地区で働くのであれば薬剤師を採用するという薬局チェーンは少なくない」と指摘。「東海地区の薬学部の数は人口に比べて少ない。まだ需要はあるだろう」と見通しを語っている。

 

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出典:薬事日報

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