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アビガンとフサン併用療法、9割でコロナ症状が軽快

薬+読 編集部からのコメント

東大医学部附属病院は、抗凝固薬のフサンと、抗インフルエンザ薬・アビガンの併用療法について、新型コロナ陽性でICUに入院している患者さんを対象に、人道的使用による観察研究を行った結果、11例中10例で臨床症状の軽快が見られたことを発表しました。すでに5月から両薬の併用効果を観察する特定臨床研究が東大病院など国内6施設で開始されており、5月末時点では8施設で行われています。軽快した患者さんは、人工呼吸器使用が7例、そのうち3例がECMOを必要としていましたが、平均16日で人工呼吸器が不要に。患者さんの年齢は中央値で68歳でした。今回の研究結果から、新型コロナウイルス抑制に対して両薬が異なる作用機序を発揮すると共に、フサンの抗凝固作用が有効である可能性が考えられました。

東京大学医学部附属病院は、抗凝固薬「ナファモスタットメシル酸塩」(先発品名:フサン)と抗インフルエンザ薬「ファビピラビル」(製品名:アビガン)の併用療法について、新型コロナウイルス陽性でICUに入院している患者を対象に、人道的使用による観察研究を行った結果、11例中10例で臨床症状の軽快が見られたと発表した。

 

同院は、ナファモスタットとファビピラビルの併用療法を、ICUで管理が必要となった新型コロナウイルス感染症の重症患者11例に実施し、経過観察を行った。11例のうち8例が人工呼吸器を必要とし、このうち3例でECMOを使用した。ナファモスタットは、0.2mg/kg体重/時で点滴静注・中央値14日間投与、ファビピラビルは初日3600mg/日、2日目からは1600mg/日で中央値14日間投与した。その結果、ナファモスタットとファビピラビル併用療法を行った患者11例のうち10例で臨床症状の軽快が見られたことが分かった。軽快した患者は、人工呼吸器使用が7例、そのうち3例がECMOを必要としていたが、平均16日で人工呼吸器が不要となった。患者の年齢は中央値で68歳だった。

 

今回の研究結果から、新型コロナウイルス抑制に対してナファモスタットとファビピラビルが異なる作用機序を発揮すると共に、ナファモスタットの抗凝固作用が有効である可能性が考えられた。

 

ファビピラビルの単独効果は、現時点で国内臨床研究の結果が報告されていないが、ナファモスタット単独の効果と、ナファモスタットとファビピラビルの併用効果の二つが考えられ、今後の臨床研究を必要とする結果となった。

 

既に5月から、ナファモスタットとファビピラビルの併用効果を観察する特定臨床研究が東大病院など国内6施設で開始されており、5月末時点では8施設で行われている。

 

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出典:薬事日報

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