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【厚労省・鎌田医薬局長】ノバルティス製品指定せず~先駆薬、再発防止策が条件

薬+読 編集部からのコメント

9月1日に改正医薬品医療機器等法の関連省令が施行されたことで、試行的に運用されていた先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度が法制化されました。厚労省医薬・生活衛生局の鎌田局長は9月4日に専門紙と共同会見し、先駆け審査指定制度対象品目で3月に承認されたノバルティスファーマの脊髄性筋萎縮症(SMA)治療剤「ゾルゲンスマ点滴静注」の審査手続きにおける同社の姿勢を問題視。「一企業の問題と考えたいが、きちんとしなければ制度に対する信用がなくなり、制度化した意義を損なうことを製薬企業に理解してほしい」と述べた上で、十分な再発防止策を実施しない限り、ノバルティスの製品を「先駆的医薬品」に指定しない考えを示しました。

厚生労働省医薬・生活衛生局の鎌田光明局長は4日、専門紙と共同会見し、先駆け審査指定制度対象品目で3月に承認されたノバルティスファーマの脊髄性筋萎縮症(SMA)治療剤「ゾルゲンスマ点滴静注」の審査手続きにおける同社の姿勢を問題視。十分な再発防止策を実施しない限り、ノバルティスの製品を「先駆的医薬品」に指定しない考えを示した。

 

■SMA薬手続き問題視

改正医薬品医療機器等法の関連省令が1日に施行されたことで、試行的に運用されていた先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度が法制化された。鎌田氏は、「製薬企業とどう調整してきたかが認められたから制度化されたという点が大事。制度的安定が企業の予見性を高め、開発インセンティブになることに今回の制度改正の意義がある」と強調した。

 

一方、試行的運用の段階では、ノバルティスの「ゾルゲンスマ」をめぐって、必須である医薬品医療機器総合機構(PMDA)の相談制度を活用せず、有効性・安全性等の課題整理ができていなかったなど、同社の審査手続きに複数の問題があったことが指摘されている。

 

鎌田氏は「制度を運用する中で出てきた課題なので、正面から受け止める」としつつ、「一企業の問題と考えたいが、きちんとしなければ制度に対する信用がなくなり、制度化した意義を損なうことを製薬企業に理解してほしい」と述べた上で、ノバルティスに対して、十分な再発防止策が講じられない限り、先駆的医薬品の要件を満たしても同社の製品を指定しない考えを示した。

 

一方、鎌田氏は、直面する課題の一つに「新型コロナウイルス感染症の治療薬、ワクチン、医療機器、体外診断薬を迅速に審査して国民に届けること」を挙げた。特にワクチンの審査については「健康局と連携して有効性と安全性を確認しつつ、いかに迅速に承認するかを課題として取り組みたい」との考えを示した。

 

新型コロナウイルス感染症治療薬として、米ギリアド・サイエンシズの「ベクルリー点滴静注」を特例承認するなど、実際の承認審査を踏まえた課題として、鎌田氏は「緊急時に治療薬、ワクチンを迅速に開発してもらう環境づくり、支援が大事だ。製薬企業には、承認条件または市販後の措置をきちんと実施してもらう」とした。

 

2019年度販売情報提供活動監視事業の結果にも言及。製薬企業が「エビデンスのない説明を行った」違反が多数を占めたことに対して「エビデンスのない説明を行った疑いが増加していることが問題で、モラルとしてどうなのか。製薬企業には事業が行われている理由を考えてもらいたい」と述べた。

 

薬剤師の養成や今後のあり方に関する検討もスタートしたが、鎌田氏は「薬学部が6年制の目的を果たしているか、社会的課題に薬学教育が対応しているかなどの観点から点検が必要」との認識を示した。

 

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出典:薬事日報

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