薬剤師を優先接種対象に~山本会長、コロナワクチンで要望
日本薬剤師会の山本信夫会長(画像)は16日の定例会見で、新型コロナウイルスワクチンの優先接種に薬剤師を対象に加えるよう厚生労働省に要望したことを明らかにした。4日に政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が示した中間案では、優先接種の対象に薬剤師が記載されておらず、「感染リスクが医療機関と同様であるのに、(薬局と)医療機関とで差があるのは納得できない」と不満を示した。年末に予定される取りまとめに今回の主張を反映させたい考え。
山本氏は、10日に開催された「新型コロナウイルス対応に関する医療関係団体及び厚生労働省による協議会」で薬剤師や薬局の現状を説明。その中で、ワクチンの優先接種対象に病院・診療所、保険薬局の薬剤師、患者の対応を行う従業員を含めるよう要請した。
新型コロナウイルス感染症対策分科会が示した中間案では、優先接種の対象として「新型コロナウイルス感染症患者に直接医療を提供する施設の医療従事者」とされている。山本氏は、「直接医療を提供する施設の医療従事者という意味ではわれわれも該当するが、読み方によってはそう読めないこともある」と述べ、優先接種の対象外となることを危惧した。
今後、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行が予測される中、「医療機関と同様に感染リスクがあるにも関わらず、別にされているのは納得できない。医療従事者を対象としているのであれば薬剤師も含まれることが読めるように書いてほしい」と要望した。
また山本氏は、新型コロナウイルス感染症の影響で薬局経営が厳しい状況にあることから、協議会では医療機関のみならず、薬局に対する財政支援を要請したことも報告。「医療提供体制を維持するためには、医療機関と薬局の両方がないといけない。社会インフラとして薬局が責任を果たしていくために財政支援をお願いしたい」と述べた。
<この記事を読んだ方におすすめ>
コロナ禍でうごめく政治的思惑【ワクチンはいつ?】
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
秋分の日を過ぎ、今後は新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行が懸念される中、日本薬剤師会の山本会長が新型コロナウイルスワクチンの優先接種に薬剤師を対象に加えるよう厚労省に要望したことを明らかにしました。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が9月4日に示した中間案では、優先接種の対象は「新型コロナウイルス感染症患者に直接医療を提供する施設の医療従事者」と曖昧な表記で、明確には「薬剤師」と記載されていませんでした。山本会長は「感染リスクが医療機関と同様であるのに、(薬局と)医療機関とで差があるのは納得できない」と不満を示しています。