医療費

市場価格との乖離率8%~薬価調査の速報結果報告

薬+読 編集部からのコメント

厚労省で12月2日、医療用医薬品の現行薬価と市場取引価格の開きを示す平均乖離率が、今年9月取引分で約8%だったとの薬価本調査(※9月取引分を対象に販売サイドから11月4日までに報告があった取引価格を集計)の速報値を、中央社会保険医療協議会薬価専門部会に報告しました。独禁法違反の疑いで公正取引委員会の立入検査を受けた医薬品卸大手4社による地域医療機能推進機構への販売データについては除外されています。その結果、昨年調査と平均乖離率は変化なく、2018年の消費増税に対応した中間年調査に比べると薬価の開きは0.8ポイント拡大しています。また、後発品数量シェアは約78.3%となり、20年9月までに目標としていた80%には届きませんでした。

後発品シェアは78.3%

厚生労働省は2日、医療用医薬品の現行薬価と市場取引価格の開きを示す平均乖離率が、今年9月取引分で約8%だったとの薬価本調査の速報値を、中央社会保険医療協議会薬価専門部会に報告した。新型コロナウイルス感染症による影響で医薬品卸、医療機関・薬局の調査対象を縮小して実施した調査だが、昨年調査と平均乖離率は変わらず、2018年の消費増税に対応した中間年調査に比べると薬価の開きは0.8ポイント拡大した。後発品数量シェアは約78.3%となり、20年9月までに目標としていた80%には届かなかった。

今回の調査は、今年9月取引分を対象に販売サイドから11月4日までに報告があった取引価格を集計。新型コロナウイルス感染症の対応で医薬品卸の流通体制が例年と異なることや疲弊した医療現場の負担増を考慮し、調査対象となる販売側の医薬品卸は全体の3分の2(67%)、購入側の医療機関・薬局は前回調査の半分に設定して実施した。

 

独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会の立入検査を受けた医薬品卸大手4社による地域医療機能推進機構への販売データについては除外している。

 

市場規模の大きい主な薬効群別の乖離率を取引金額上位で見ると、内用薬は「高脂血症用剤」が13.8%で最大の乖離率となり、「その他のアレルギー用薬」が13.6%、「血圧降下剤」が12.1%、「消化性潰瘍用剤」が11.7%で続き、内用薬全体で9.2%となった。

 

注射薬については「その他のホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)」が7.9%、「他に分類されない代謝性医薬品」が6.7%、「その他の腫瘍用薬」が5.3%、「その他の生物学的製剤」が3.3%、「血液製剤類」が3.0%となり、注射薬全体で5.9%となった。

 

外用薬は「鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤」が8.6%、「眼科用剤」が8.4%、「その他の呼吸器官用薬」が7.6%となり、外用薬全体で7.9%となった。

 

後発品の数量シェアは約78.3%となり、19年の約76.7%から1.6ポイント上昇した。

 

「来年度改定は可能」‐支払側委員が主張

この日の部会では、薬価調査の結果を踏まえ、来年度の中間年薬価改定について議論。支払側の委員は例年の薬価調査結果とほぼ同様の結果が得られたことから、来年の中間年改定は可能と主張したのに対し、診療側や医薬品卸は、新型コロナウイルス感染症の影響で十分な価格交渉が行えなかったことや、医療機関の医療提供体制が逼迫している状況から慎重な対応を求めた。

 

吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、「外形的な結果を見ると、平均乖離率や妥結率など例年並みの水準で特段コロナの影響は見当たらない。従来通りの薬価改定は可能ではないか」と述べた。

 

医薬品卸代表の村井泰介専門委員(バイタルケーエスケー・ホールディングス社長)は、「今回の薬価調査結果は例年の調査結果と矛盾はないが、カテゴリーごとの価格水準を決めるところから単品単価に落とし込むところまでの交渉で十分に時間が取れておらず、従来とは薬価交渉のプロセスが全く違っていた」と説明。

 

今村聡委員(日本医師会副会長)も、医薬品卸との価格交渉について、「医療機関は患者の対応に追われ、交渉らしい交渉を行えずに昨年と同じ価格となった事例も出ている。外形的な結果だけを見て例年通りの交渉が行えたと結論づけるのはミスリードではないか」と反論した。

 

今後の中医協の議論で薬価交渉プロセスを含め調査結果を検討し、薬価改定の実施や対象範囲を決定する方針。

 

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出典:薬事日報

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