初の癌悪液質治療薬登場~22日付承認の新医薬品等
厚生労働省が22日に承認した新医薬品等では、世界初となるムコ多糖症II型の中枢神経症状治療薬「ヒュンタラーゼ脳室内注射液」や初の癌悪液質治療薬となる「エドルミズ錠」などが登場した。
■エドルミズ錠-小野薬品
「エドルミズ錠」(一般名:アナモレリン)はグレリン様作用薬。今回、非小細胞肺癌、胃癌、膵癌、大腸癌における癌悪液質に対する効能・効果で承認を取得した。癌悪液質に対する承認を取得した治療薬は世界で初めて。
同剤は、食欲や代謝の増進などに関わる受容体に作用し、体重や筋肉量の増加、食欲の増加など、癌悪液質の症状を改善する効果が見込まれる。
■エムガルティ皮下注-日本イーライリリー
「エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター、同シリンジ」(一般名:ガルカネズマブ)は、米イーライリリーが開発した新規作用機序を持つヒト化抗CGRPモノクロナール抗体で、片頭痛発作の発症抑制の効果・効能を取得した。
同剤は、片頭痛発作時に上昇するCGRPに選択的な結合親和性を持ち、活性を阻害することで発作の発症抑制が期待される。
■カルケンスカプセル―アストラゼネカ
「カルケンスカプセル100mg」(一般名:アカラブルチニブ)は、次世代の選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤で、再発・難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の効能・効果で承認を取得した。
■ヌーイック静注用-藤本製薬
「ヌーイック静注用250、同500、同1000、同2000、同2500、同3000、同4000」(一般名:シモクトコグアルファ)は、スイスのオクタファーマが開発した遺伝子組み換え血液凝固第VIII因子製剤。「血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制」の効能・効果で承認を取得した。
■オラデオカプセル―オーファンパシフィック
「オラデオカプセル150mg」(一般名:ベロトラルスタット塩酸塩)は、ブラジキニン産生酵素を特異的に阻害することで、遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作を抑える新規経口剤。HAEの急性発作の発症抑制を適応症に承認を取得した。
先駆け審査指定制度の対象品目に指定され、2018年に希少疾病用医薬品の指定を受けている。
■サルプレップ配合内用液-日本製薬
「サルプレップ配合内用液」は、大腸内視鏡検査時の前処置における腸管内容物の排除を目的とする腸管洗浄剤。医療現場での調剤の手間を省くと共に、患者による濃縮液の誤飲を防ぐことが期待できる。
■イグザレルト錠など―バイエル薬品
「イグザレルト錠10mg、同15mg、同細粒分包10mg、同15mg、同OD錠10mg、同15mg、同ドライシロップ小児用51.7mg、同103.4mg」(一般名:リバーロキサバン)は、選択的直接作用型第Xa因子阻害剤。今回、小児の静脈血栓塞栓症(VTE)に対する適応で追加承認を取得した。小児適応を持つ国内で唯一の新規経口凝固薬(NOAC)となる。
既存の錠剤、細粒分包、OD錠について追加承認を取得したほか、新生児や乳幼児が服用しやすい「ドライシロップ小児用」の承認を新たに取得した。
■マスーレッド錠-バイエル薬品
「マスーレッド錠」(一般名:モリデュスタット)は、1日1回の経口投与でヘモグロビン値を管理できるHIF-PH阻害薬。今回、腎性貧血の適応で承認を取得した。
同剤は、低酸素状態に適応するための生理的な反応を緩やかに活性化し、エリスロポエチンの産生を誘導して赤血球の産生を促進する。国内でHIF-PH阻害薬として承認取得したのは、同剤が5番目。
■ソグルーヤ皮下注-ノボノルディスクファーマ
「ソグルーヤ皮下注5mg、同10mg」(一般名:ソマプシタン遺伝子組み換え)は、持効型溶解インスリンや持続性GLP-1受容体作動薬に活用される蛋白質工学技術を、成長ホルモンに応用して開発された長時間作用型遺伝子組み換えヒト成長ホルモン(hGH)アナログで、成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)の効能・効果を取得した。
内因性アルブミンとの可逆的な非共有結合により血中からの消失が遅延することで、作用持続時間を延長する。
■アルンブリグ錠-武田薬品
「アルンブリグ錠30mg、90mg」(一般名:ブリグチニブ)は、ALKを選択的に阻害する次世代チロシンキナーゼ阻害剤。ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を適応とする1次および2次以降の治療薬として承認を取得した。
■ジムソ膀胱内注入液-杏林製薬
「ジムソ膀胱内注入液50%」(一般名:ジメチルスルホキシド)は、50%のジメチルスルホキシドを含む膀胱内注入液で、間質性膀胱炎(ハンナ型)の諸症状の改善の効能・効果で承認を取得した。
2017年9月に希少疾病用医薬品の指定を受けている。
■ヒュンタラーゼ脳室内注射液-クリニジェン
「ヒュンタラーゼ脳室内注射液15mg」(一般名:イデュルスルファーゼ・ベータ)は、世界初となるムコ多糖症II型の中枢神経症状治療薬。ムコ多糖症II型の効果・効能を取得した。日本が最初の承認国となる。
■イエスカルタ点滴静注-第一三共
「イエスカルタ点滴静注」(一般名:アキシカブタゲンシロルユーセル)は、CAR-T療法を採用したヒト体細胞加工製品。再発・難治性の大細胞型B細胞リンパ種の治療を目的とした再生医療等製品として承認を取得した。
同社は、ギリアド・サイエンシズ米子会社「カイト・ファーマ」から同剤の国内での独占的権利を取得している。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
厚労省が1月22日に承認した新医薬品等で、小野薬品の「エドルミズ錠」(一般名:アナモレリン)が世界で初めて癌悪液質に対する治療薬として世界で初めて承認を取得しました。承認は非小細胞肺癌、胃癌、膵癌、大腸癌における癌悪液質に対する効能・効果によるものです。また、クリニジェンの世界初のムコ多糖症II型の中枢神経症状治療薬「ヒュンタラーゼ脳室内注射液15mg」(一般名:イデュルスルファーゼ・ベータ)が、ムコ多糖症II型の効果・効能により取得。日本が最初の承認国となっています。