医療

品質目標達成の意識乖離~経営陣は人員不足認識せず

薬+読 編集部からのコメント

日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)は3月30日、相次ぐ後発品メーカーの製造不正を受け、会員企業向けに実施した信頼性や品質確保の取り組み状況に関するアンケート調査(39会員企業64製造所を対象に「役員」「管理職」「非管理職」にそれぞれ聞く形で実施)の結果を公表しました。その結果、現場のリソース不足を十分認識できていない経営陣がいることをうかがわせる結果が浮き彫りとなりました。同日に会見した澤井会長は、製造管理・品質管理の徹底、コンプライアンス・ガバナンスの徹底に向け、各社に自主点検を促していく考えを示しました。

後発品メーカーの相次ぐ製造不正を受け、日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)は3月30日、会員企業向けに実施した信頼性や品質確保の取り組み状況に関するアンケート調査結果を公表した。調査結果からは、品質方針と品質目標を達成するための必要な資源配分が不十分と考える管理職・非管理職が役員より多く、経営陣は現場での人的資源不足を把握できていない実態が浮かび上がった。

 

調査は、会員会社のGMP省令への対応に関する実態把握や安定確保に関する認識などについて把握するため、39会員企業64製造所を対象に実施。「役員」「管理職」「非管理職」にそれぞれ聞いた。

 

GMP省令への対応について、品質方針と品質目標を達成するため必要な資源が配分されているか役員に聞いたところ、「積極的に実施」が39.1%、「概ね実施」が40.6%、「一部実施」が20.3%、「実施していない」はゼロだった。

 

これに対し、管理職では「積極的に実施」が20.3%、非管理職では26.6%と役員に比べて低く、「積極的に実施」「概ね実施」と合わせた割合でも差が見られた。

 

現場のリソース不足を十分認識できていない経営陣がいることをうかがえる結果となった。

 

さらに、製造所ごとにマネジメントレビューを定期的に実施し、必要に応じて品質方針と品質目標を達成するための資源投入を行っているかを尋ねたところ、役員では「積極的に実施」が43.8%と回答したのに対し、管理職では29.7%、非管理職では27.0%と低く、経営陣と現場に温度差が見られた。

 

安定供給に問題が生じる案件について、「全て担当役員に諮り、会社として適切かつ早急に対応できているか」との質問に対し、「積極的に実施」と回答したのは役員が82.1%、管理職が71.8%、非管理職が53.8%となった。

 

供給調整や欠品を早期に解消するような措置を「積極的に実施」と回答した割合も役員、管理職、非管理職の順に低下していた。

 

同日、記者会見した澤井光郎会長は、「ジェネリック医薬品に対する信頼の回復に向け、製造管理・品質管理の徹底、コンプライアンス・ガバナンスの徹底を図る取り組みを不退転の決意で進め、その状況について適時公表していく」と述べ、協会外の後発品メーカーとも信頼回復に取り組む考えを示した。

 

製造管理・品質管理の徹底、コンプライアンス・ガバナンスの徹底に向けては各社に自主点検を促していく考えを示した。法令に違反した事実を察知した場合に、直ちに報告を行う内部通報制度の確立を各社に求める一方、協会内でも相談窓口を設ける方向だ。

 

澤井氏は、「会社には言いづらい場合があるときに協会に相談を投げかけてもらう。これを徹底すれば、各社の再点検も重みが出てくる」と語った。

 

厚生労働省から後発品メーカーの業界再編の必要性が指摘されたことに対しては、「われわれが再編うんぬんを話す立場にはない。品質や安定供給を医療従事者や患者さんが見て、メーカーを決めていくと思われる。その結果、再編が起きてくる」と述べた。

 

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出典:薬事日報

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