創薬・臨床試験

CAR-Tの医師治験開始~世界初のGMRターゲット

薬+読 編集部からのコメント

急性骨髄性白血病と若年性骨髄単球性白血病の患者を対象に、信州大学医学部附属病院小児科の中沢洋三教授らの研究グループが世界初となるGM-CSF受容体を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法の医師主導第I/II相試験を開始したと発表。治験製品は同院で製造し、品質管理も手がけます。CAR-T細胞療法とは、癌患者のT細胞を体外に取り出し、癌細胞に対する特異性と攻撃力を高める遺伝子を組み込んで体内へと戻す治療法。「オールイン・ワン型創薬」モデルにより、開発を加速させたい考えです。

信州大学医学部附属病院小児科の中沢洋三教授らの研究グループは、急性骨髄性白血病と若年性骨髄単球性白血病の患者を対象に、世界初となるGM-CSF受容体を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法の医師主導第I/II相試験を開始したと発表した。治験製品は同院で製造し、品質管理も手がける。シーズ開発からヒト初回投与までアカデミアで行う「オールイン・ワン型創薬」モデルにより、CAR-T細胞療法の開発を加速させたい考えだ。

 

CAR-T細胞療法は、癌患者のT細胞を体外に取り出し、癌細胞に対する特異性と攻撃力を高める遺伝子を組み込み、体内に戻す治療法。癌免疫療法と遺伝子治療の長所を組み合わせているのが特徴で、腫瘍免疫回避機構を克服する次世代の癌治療法と考えられている。

 

ただ、血液腫瘍の一つであるリンパ系腫瘍を対象とするCAR-T細胞療法は、2019年以降に3製品が国内で承認されているものの、骨髄系腫瘍を対象としたCAR-T細胞療法は未だ承認されていないのが現状である。また、これまでのCAR-T細胞は、ウイルスベクターを用いた方法で作製されてきた。

 

中沢氏らの研究グループは、ピギーバックトランスポゾン酵素法と電気穿孔法を組み合わせることにより、ウイルスベクターを使わずに効率的、安価で安全にCAR-T細胞を作製できる手法を確立。世界で初めて若年性骨髄単球性白血病を対象としたGM-CSF受容体を標的とするGMR CAR-T細胞の開発に成功した。

 

GM-CSF受容体は、骨髄球系細胞の分化・増殖を刺激する顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子の受容体で、CD116蛋白とCD131蛋白から構成されている。これまでの研究でGMRは、急性骨髄性白血病の63~83%、若年性骨髄単球性白血病の全てに発現することが明らかにされている。

 

GMR CAR-T細胞は、GMRを標的とする世界初のCAR-T細胞。CARの設計において標的抗原結合領域に、従来の抗体ではなく、リガンドであるGM-CSFを用いていることが大きな特徴となっている。

 

研究グループは11年から研究に着手し、16年には若年性骨髄単球性白血病患者由来の白血病細胞の増殖を強力に抑制できることを報告した。この成果をもとに、17年から日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受け、急性骨髄性白血病、若年性骨髄単球性白血病などの骨髄系腫瘍を対象とするGMR CAR-T細胞療法の医師主導治験の準備を進めてきた。

 

3月22日付で治験届が受理されたことから、同院で医師主導第I/II相試験を開始することになった。

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出典:薬事日報

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