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薬剤師へのアプローチ強化~製薬各社、認定制度施行で

薬+読 編集部からのコメント

改正薬機法では調剤時に限らず、薬剤師が必要に応じて患者の薬剤使用状況を把握して服薬指導を行うことが義務となり、患者の薬剤使用情報を医師に提供する努力義務が課せられています。8月からの認定薬局制度施行を受けて、製薬各社が薬局薬剤師向けのアプローチを強化しています。専門医療機関連携薬局の認定取得をサポートする取り組みだけではなく、一部製品の包装に服薬指導のポイントを印刷し、継続的な服薬指導を支援する企業もあります。患者治療が病院から地域へとシフトする中、製薬企業にとっては薬局薬剤師への情報提供を含め、地域医療への対応が検討課題になりつつあります。

地域医療シフト対応急ぐ

 

改正医薬品医療機器等法で薬剤師による継続服薬指導が義務化され、8月から認定薬局制度が施行されるのを受け、製薬各社が薬局薬剤師向けのアプローチを強化している。専門医療機関連携薬局の認定取得をサポートする取り組みのほか、一部製品の包装に服薬指導のポイントを印刷し、継続的な服薬指導を支援する企業もある。患者の治療が病院から地域にシフトする中、製薬企業にとっては薬局薬剤師への情報提供を含め、地域医療への対応が検討課題になりつつある。

 

改正薬機法では、薬剤師が調剤時に限らず、必要に応じて患者の薬剤の使用状況を把握して服薬指導を行うことが義務となり、患者の薬剤使用情報を医師に提供する努力義務が課せられた。

 

さらに8月からは、患者が自分に適した薬局を選択できるよう、入退院時や在宅医療に他医療機関と連携して対応できる「地域連携薬局」と癌などの専門的な薬学管理に他の医療提供施設と連携して対応できる「専門医療機関連携薬局」の二つについて、都道府県知事の認定により名称表示が可能になる。

 

専門医療機関連携薬局は、厚労省の基準に適合した団体によって認定された薬剤師を配置することが要件。地域連携薬局に比べると高度な専門性が要求されるため、認定申請件数が少なくなるとの見通しもある。

 

こうした中、癌を重点領域とする中外製薬は、専門医療機関連携薬局の登録を目指す薬剤師を対象に、専門薬剤師認定取得に役立つコンテンツを自社医療関係者向けウェブサイト内に開発し、提供を始めた。

 

外来から入院、退院から外来と患者の切れ目のない治療が求められる中、病院薬剤師と薬局薬剤師の“薬薬連携モデルコンテンツ”を開発し、薬局薬剤師と経営者のエンゲージメント強化に取り組んでいる。

 

昨年末からは関係学会とタイアップし、「認定・専門薬剤師制度」のウェブセミナーを数回実施しており、今後も開催していく予定だ。これらのセミナーは、自社医療関係者向けウェブサイト会員コンテンツで必要に応じて視聴ができるようにした。

 

薬剤師から患者への服薬指導を支援する取り組みも進められている。武田薬品は、高脂血症治療剤「ロトリガ粒状カプセル」など一部製品について、組箱裏面に服薬指導内容を印刷し、服薬指導する薬剤師が組箱開封時に服薬指導のポイントを確認できるようにした。

 

大日本住友製薬は、薬局薬剤師に対するプロモーション活動について、従来から広域調剤薬局の本部担当者を配置し、調剤薬局の薬剤師向けに情報提供を実施してきた。現在は、オーゾライズドジェネリック(AG)を手がける子会社「DSファーマプロモ」のMRがAG製品を中心に全国の調剤薬局に情報提供し、大日本住友のMRとも連携してアプローチを行っている。

 

第一三共は、服薬指導に役立てる患者向け冊子の提供や薬剤師向け情報提供資材・ウェブセミナーの配信などを継続的に実施しているほか、協和キリンは第三者を活用した薬剤師への情報提供を行う。

 

そのほか、「現時点では具体的な取り組みを行っていないが、コロナ禍で薬剤師の位置づけが変わってきているのを感じているため、薬剤師向けのウェブセミナーを検討中」(ノボノルディスクファーマ)、「地域医療課題として捉え、立案検討途中」(内資準大手)と薬機法改正を機に、検討を急ぐ企業も出てきているようだ。

 

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出典:薬事日報

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