医療

実務実習後OSCEを試行~臨床能力の客観的な評価へ【日本薬学教育学会大会】

薬+読 編集部からのコメント

薬学実務実習をめぐり、一部項目で学生の到達度が低いのが課題となっています。そんな中、実務実習修了後における学生の臨床能力を大学が客観的に評価する「pccOSCE」(post-clinical clerkship OSCE)の試行的導入がスタート。指導薬剤師により同意を得た患者を対象に学生が対応し、指導薬剤師と大学教員が到達度の評価を行うものです。現場で成功事例を集積し、実習施設や指導薬剤師によってバラツキが生じる「到達度評価の標準化」など運用モデルを構築したい考えです。

実務実習修了後における学生の臨床能力を大学が客観的に評価する「pccOSCE」(post-clinical clerkship OSCE)の試行的導入が始まっている。指導薬剤師により同意を得た患者を対象に学生が対応し、指導薬剤師と大学教員が到達度の評価を行う。実務実習前段階で臨床能力を評価する「OSCE」「CBT」は実施されてきたが、実務実習を経験した学生のパフォーマンスの評価手法は未確立だった。現場で成功事例を集積し、実習施設や指導薬剤師でバラツキがある到達度評価の標準化など運用モデルを構築したい考え。

 

■一部施設でトライアル

薬学実務実習をめぐっては一部の項目で学生の到達度が低いのが課題となっている。文部科学省委託事業で2019年度に実施した全国の薬学部・薬科大学を対象に改訂モデル・コアカリキュラムに基づく実務実習実施に関するウェブ調査では、実務実習で概略評価の到達度が3以上の学生が6割未満である項目として、薬局・病院に共通して「処方設計と薬物療法の実践」が挙げられた。

 

こうした課題の解決策として提言されているのが、実務実習で学んだ内容が身に付けられたかを確認する実習施設完結型のpccOSCEという評価方法だ。既に医学部では実施されている取り組みだが、薬学部でも試行的に導入し、将来的には薬学独自のpccOSCEに発展させたい考えだ。

 

21日にオンライン開催された日本薬学教育学会大会のシンポジウムで、湯本哲郎氏(星薬科大学薬学部教授)がpccOSCEの実施概要案を説明した。具体的には、臨床現場における患者とのインタラクティブなコミュニケーションを基盤に、学生の「処方設計と薬物療法の実践」に関する個人単位の成長を評価者の客観的評価と学生の主観的評価で把握するとしている。

 

公平で標準的な試験を第一優先とせず、患者個々が有する背景の多様性や不確実性から学生の選択を重要視し、大学も柔軟に受け入れる姿勢が重要とした。

 

評価方法については、既に実務実習で用いられている学習到達度の評価基準を図表で示したルーブリックが指導薬剤師・学生・大学の共通ツールであることから推奨すべきとした。患者対応に限局せずに薬歴・トレーシングレポート、症例報告等を通じたパフォーマンスを対象に、指導薬剤師や大学教員が評価することも可能とした。実施時期は実習後半が適切との見解を示した。

 

湯本氏は、「薬学部で最終的なpccOSCEの実施方法を検討していくことは必要だが、薬学全体となる制度ありきのpccOSCEとしては考えていない。トライアルやブラッシュアップのPDCAサイクルを繰り返し、エビデンスを構築していくことで将来的に薬学独自のpccOSCEにしていきたい」と語った。

 

■同意を得た患者で実施

学生を受け入れる実習施設でもpccOSCEの導入事例が報告された。総合メディカルのそうごう薬局旭店では20年度第III期にトライアルを実施した。

 

対象患者は指導薬剤師が選択し、同意を得られた患者10人程度。実習9週目に開始し、最終11週目まで実施した。大学教員は日程調整が難しかったため、初回の患者対応後と実習最終週の対応について指導薬剤師がルーブリックにより評価した。

 

最初に指導薬剤師からは指示を与えず、学生自身が患者対応を行う。その後、患者対応後に対応を通じて得た気づきや考えを指導薬剤師と意見交換する。処方は適正であったか、判断した根拠は何か、併用薬を併用可能と判断した根拠は何かなどを確認する。

 

学生は振り返りに基づき次の患者対応を行い、その都度指導薬剤師と振り返りを行う。実習最終週に学生自身で再度患者対応を行い、指導薬剤師と意見交換を実施し、学生の到達度を指導薬剤師が評価する。

 

同社薬局事業本部の原正朝氏は、「実習生の到達度の相互確認ができ、実習生が自身の気づきや課題を明確化することが可能になった」との収穫点を語った。

 

一方で「処方設計と薬物療法の実践」の到達度が低い理由について、処方箋応需総数のうち薬学的疑義照会率は2.1%に限られることから、「薬学管理上問題のある患者に接する機会が少なく、疑義照会が必要な事例に対応する機会が少ない」と説明。その上で「(実務実習で)問題のない患者の対応を丁寧に振り返ることが必要」と語った。

 

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出典:薬事日報

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