医療

2割が欠品や出荷調整に~医療用薬の供給状況判明

薬+読 編集部からのコメント

日本製薬団体連合会が医療用医薬品の安定供給状況の全体像を把握するために、業界として初めて医療用医薬品の安定供給状況を調査したところ、8月末時点で製薬企業218社の自社製造販売承認取得品目1万5444品目のうち、3143品目(20.4%)と全体の2割が「欠品・出荷停止」「出荷調整」となっていることが判明。カテゴリー別では、後発品の欠品・出荷停止、出荷調整が全体の9割を占めています。出荷調整の要因は、自社の事情よりも他社による欠品や出荷調整等による影響が大きく、特に後発品では他社影響が自社事情の2倍となっています。

日薬連が初の調査‐データベース構築検討へ

日本製薬団体連合会が8月末時点の医療用医薬品の安定供給状況を調査したところ、製薬企業218社の自社製造販売承認取得品目1万5444品目のうち、3143品目(20.4%)と全体の2割が「欠品・出荷停止」「出荷調整」となっていることが明らかになった。カテゴリー別では、後発品の欠品・出荷停止、出荷調整が全体の9割を占めた。調査を行った安定確保委員会の土屋直和委員長(田辺三菱製薬医療政策部長)は、国に対し供給状況を一元的に把握できるデータベースの構築を求める声が多かったことから、「急がなければいけない課題だ。行政と連携しながら部会を設置して検討したい」と語った。

 

調査は、医療用医薬品の安定供給状況の全体像を把握するため、業界として初めて実態を調べたもの。医療用医薬品を取り扱う製薬企業に対し、8月末時点における自社で製造販売承認を取得している品目の出荷状況を尋ねた。

 

その結果、回答のあった218社の医療用医薬品1万5444品目のうち、「通常出荷」は1万2301品目(79.6%)と全体の8割を占めた一方、「欠品・出荷停止」は743品目(4.8%)、「出荷調整」は2400品目(15.5%)あった。

 

これら「欠品・出荷停止」「出荷調整」となった品目は合計で全体の20.4%と、2割に上ることが明らかになった。カテゴリー別で見ると、後発品の「欠品・出荷停止」の割合は92.3%、「出荷調整」の割合は91.8%と全体の9割以上を占めることが分かった。

 

出荷調整の要因を尋ねたところ、自社の事情よりも他社による欠品や出荷調整等による影響が大きく、特に後発品では他社影響が自社事情の2倍多かった。

 

欠品・出荷停止、出荷調整時の情報公表と連絡方法については、「欠品・出荷停止」時は197社が社外公表し、204社が卸、医療機関、保険薬局に連絡を行っていた。「出荷調整」時は同様に174社、199社との結果となった。社外公表の方法としては主に自社ウェブサイトやMRによる説明、お知らせ文書などが多かった。

 

調査で要望のあった内容としては、行政側に対し市場全体の供給状況等のデータベース構築・一元管理を求める声が強く、欠品・出荷停止や出荷調整発生時における他社との情報共有、協議を円滑に進めるためのルール化や独占禁止法の適用除外などの支援を求める声もあった。

 

ただ、今回の調査は各社によって「欠品・出荷停止」「出荷調整」の考え方に違いがあり、医薬品供給状況に関する用語の定義があいまいな中で実施されたことから、土屋氏は「医療関係者、製薬企業関係者などの様々な見方がある中で、どう表現するかはしっかり検討していきたい」と語った。

 

今後、同委員会では新たに二つの部会を設置し、安定確保に向けた有事と平時の対応を検討していく予定だ。特に、有事の対応として業界内から要望の多かった供給状況のデータベース構築・一元管理に向けて、行政と連携しながら検討を急ぐ。

 

現在、薬局薬剤師等の医療関係者が独自に供給状況のデータベースを構築する動きが見られているが、土屋氏は「国が公的なデータベースを構築し、一元管理できる形がベスト。われわれ業界として国に情報提供し、アップデートして活用していただく形が信頼確保の意味で良いのではないか」との私見を述べた。

 

その上で、「時間的には急がなければいけない課題」との認識を示し、「これだけ膨大な品目数なので、まず業界から何を提供するのか、どういう形で提供するのかを固めなければいけない。そこは、スピード感を持ってやりたい」と意欲を語った。

 

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出典:薬事日報

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