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調剤ロボットの販売権取得~新会社設立、低価格で攻勢

薬+読 編集部からのコメント

関西圏で薬局9店舗を展開している株式会社メディカルユアーズ(本社・神戸市灘区)がイタリアGPIが製造する調剤ロボット「リードル・ファシス」の日本独占販売権を取得。処方箋のデータに基づきロボットが医療用医薬品の箱を棚から出し入れするもので、調剤業務の効率化を支援します。7月以降に自社の水道筋薬局(神戸市)に導入して動作検証すると共に、具体的な国内販売体制の検討も進行。薬局や病院向けへの販売開始は年内をメドに計画しています。

「薬局の近代化」を加速へ

関西で薬局9店舗を展開するメディカルユアーズは、イタリアのGPIが製造する調剤ロボット「リードル・ファシス(写真左)」を日本で独占的に販売する権利を取得した。処方箋のデータに基づきロボットが医療用医薬品の箱を棚から出し入れするもので、調剤業務の効率化を支援する。「薬局の近代化が自分の使命」と話す同社社長で薬剤師の渡部正之氏(写真右下)がGPIに積極的にアプローチし、交渉をまとめ上げた。7月以降、自社薬局に導入して検証を重ね、年内をメドに薬局や病院向けに販売を開始する計画だ。

リードル・ファシスは、アームが動き回って棚から箱を出し入れする他社の類似ロボットに比べて高速で動くため、1件当たりの処理時間が短い上、故障しにくいことが特徴。

 

近年になって開発されたロボットで、無線通信可能なWi-Fi技術が搭載されている。有線で情報をやりとりするケーブルをアームにつなぐ必要がなく、電源をレールから得る形にしたことで、アームの大幅な軽量化を達成。アームが高速で動くことで、処理時間の短縮を実現した。

軽量でアームにかかる負荷が小さいため、故障は少ない。アームは回転せず、左右に手を伸ばして箱をつかむ方法を採用しており、回転運動の遠心力で軸にダメージが及ぶことを防いでいる。部品は少なく修理も容易。多くはオンラインで修理可能で、箱を掴むグリッパーが壊れた場合には、部品を簡単に交換するだけで済むという。

日本で使用するためには、調剤ロボットとレセプトコンピュータをつなぐソフトウェアが必要になる。同社はその開発も自社で進めており、プロトタイプは完成した。リードル・ファシスの販売価格は未定だが、ソフトウェア開発を外注せず、内製化することで費用が抑えられる見込み。日本でも複数の調剤ロボットが販売されているが、低価格で対抗する計画だ。

 

販売に向けて、まずは昨年オープンした自社の水道筋薬局(神戸市)に7月頃に導入し、動作を検証すると共に、具体的な国内販売体制の検討も進める。

 

準備が整った上で年内をメドに新会社を立ち上げ、調剤ロボットの販売や導入支援、保守サービスを開始する計画。月に2000枚以上の処方箋を応需する薬局のほか、病院もターゲットになると見ている。

 

同社は2019年、大阪市の梅田に開いた薬局に日本初となる調剤ロボットを設置した。導入したのは、箱出し調剤が主流の欧州で汎用されるベクトン・ディッキンソンの自動入庫払出装置「BDRowaシステム」。両社が連携して日本での調剤業務の効率化や精度向上に取り組んできた。

 

その後、両者はパートナーシップを解消したが、渡部氏は「ここで終わるのではなく、取り組みを続けたい」と様々な方法でロボットを探索。海外で使用されている高性能の調剤ロボットをユーチューブで見つけた。

 

製造するGPIに提携を持ちかけ、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて約1年間待機した後、現地で交渉をまとめ上げた。

 

渡部氏は「薬局を創業して11年目になる。経営が軌道に乗りつつある中、再び借金してもう一度新たな事業を起こすべきか悩んだが、日本の薬局を近代化させるとの使命にあと10年、自分の人生を燃やしたいと考え踏み切った」と語る。

 

薬局を経営するだけでなく、調剤機器の販売に乗り出す背景には、米アマゾンなどの大資本が巨大なインフラを生かして薬局事業に触手を伸ばすことへの危機感がある。

 

渡部氏は「日本の薬剤師が力を合わせてアマゾンに対抗しようというのがテーマ。今ある医療のインフラを残しながら、患者の利便性をどこまでアマゾンに近づけられるかが課題になる。付け入る隙がないよう各地でロボットやICTで武装して、自動化や効率化を果たす必要があるのではないか」と話している。

 

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出典:薬事日報

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