バイオ関連企業1000社突破~大学発ベンチャーが過去最高
経済産業省は17日、大学発ベンチャーに関する2021年度調査結果を公表した。業種別ではバイオ・ヘルスケア・医療機器が前年度から115社増加し、1022社と1000社を突破した(表)。ただ、上場企業数は20年度から2社少ない64社で、時価総額の合計が大幅に下落。昨年度にバイオ・ヘルスケアで上場した大学発ベンチャーはなかった。
21年度調査結果では、国内の大学発ベンチャーは前年度から401社増加した3306社と、過去最高の伸びを記録した。大学別では東京大学329社、京都大学242社、大阪大学180社、筑波大学178社の順で、上位の顔ぶれは変わらなかった。5位以下は慶應義塾大学、東北大学、東京理科大学、九州大学、名古屋大学、東京工業大学と続き、上位20校では慶大と岐阜大学の伸びが目立った。
業種別では、バイオ・ヘルスケア・医療機器が1022社となった。17年度は659社、18年度は702社、19年度は769社、20年度は907社と伸び続け、21年度に1000社を突破した。その他サービスが1086社と最多を占め、IT(アプリケーション・ソフトウエア)は982社となった。
株式公開している大学発ベンチャー企業は64社で、時価総額合計は1兆7000億円と前年から1兆4129億円減少し、大幅に下落した。16年以降から毎年バイオ・ヘルスケアで上場した大学発ベンチャーが現れていたが、21年度はゼロだった。2月17日時点で時価総額トップはペプチドリームの2682億円となっている。
大学発ベンチャーで博士人材の活躍状況に関する分析を行った結果、「バイオ・ヘルスケア」が博士人材全体の28%を占めるなど最も活用しており、次に「環境・エネルギー」が23%と続いた。
新型コロナウイルスの影響を見ると、「調達先候補との接触が難しくなった」企業が26%、「予定調達額が下がった」「調達予定が見送られた」企業が18%ほどに上り、「新規調達が決まった」11%、「予定通りの調達を行った(コロナ禍の影響はなかった)」15%を上回った。ポジティブな影響を受けた企業に比べると、ネガティブな影響を受けた企業が多かったようだ。
一方で人材採用については、「新規採用が決定した」17%、「採用予定人数を増やした」8%、「予定通り採用した(コロナ禍の影響はなかった)」26%と資金調達に比べるとポジティブな影響が目立つ結果となった。
他者連携では、「勉強会や相談会などの情報交換イベントが減った」36%、「施設の利用が制限された」41%と人との対面接触の機会の減少により、ネガティブな影響が多かった。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
5月17日、経産省が大学発ベンチャーに関する2021年度調査結果を公表。国内の大学発ベンチャーは前年度から401社増加した3306社と、過去最高の伸びを記録しています。業種別ではバイオ・ヘルスケア・医療機器が前年度から115社増加し、1022社と1000社を突破。ただし、上場企業数は20年度から2社少ない64社で、時価総額の合計が大幅に下落しています。昨年度にバイオ・ヘルスケアで上場した大学発ベンチャーはありませんでした。