【調査】入退院時の情報提供不十分~回復期病床、病院と薬局で【日本病院薬剤師会】
回復期病床における入退院時の病院と薬局間の情報提供は不十分であることが、日本病院薬剤師会学術小委員会の調査で明らかになった。アンケート調査を実施したところ、病院薬剤師と薬局薬剤師の約半数が「情報連携がない」と回答。薬局薬剤師の約8割が退院前カンファレンスに呼ばれたことがないと答えるなど、連携推進に向けて課題が浮き彫りになった。
地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟など回復期の病床には、急性期医療と在宅医療をつなぐ役割がある。入退院時の円滑な移行に情報連携は欠かせない。
岸本真氏(霧島市立医師会医療センター薬剤部)を委員長とする小委員会が昨年度まで3年間調査を実施したもの。ウェブ上で開かれた日病薬フューチャーファーマシストフォーラムで調査結果を発表した。
アンケート調査は2021年5月1日から6月30日に実施。薬局722施設、地域包括ケア病棟を持つ病院117施設、回復期リハ病棟を持つ病院107施設から回答があった。
薬局薬剤師に、病院との患者情報等に関する連携実施の有無を聞いたところ、57%が「連携がない」と回答。退院前カンファレンスの参加についても77%が「今まで出席の案内がない」と答えた。
病院薬剤師に入退院時の薬局との患者情報等に関する連携について聞いたところ、「ほとんど行っていない」と回答した割合は地域包括ケア病棟で46%、回復期リハ病棟で54%を占め、それぞれ約半数が未実施だった。
病院薬剤師による薬剤管理指導や退院時服薬指導は回復期病棟でも積極的に実施されていた。一方、退院時サマリーの作成を「ほとんど行っていない」と回答した割合は、地域包括ケア病棟で45%、回復期リハ病棟で49%を占めていた。
薬局薬剤師に、退院時に病院からの提供を希望する情報を聞いたところ、▽主病名▽禁忌薬▽アレルギー歴・副作用歴▽患者背景▽検査値▽服薬方法▽調剤方法▽入院中に服用していた主な薬剤▽入院中に変更された薬剤名▽入院中に変更された薬剤の処方理由▽退院時処方内容▽退院時指導内容▽退院後に増量・減量・再開が必要な薬剤情報――の13項目を要望する薬剤師が多かった。
病院薬剤師が入院時に薬局からの提供を希望する情報としては、▽禁忌薬▽アレルギー歴・副作用歴▽服薬管理方法▽服薬方法▽調剤方法▽服薬情報・アドヒアランス▽入院直近の処方内容――の7項目が上がった。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
日本病院薬剤師会学術小委員会が薬局722施設、地域包括ケア病棟を持つ病院117施設、回復期リハ病棟を持つ病院107施設に調査したところ、回復期病床における入退院時の病院と薬局間の情報提供は不十分であることが明らかになりました。病院薬剤師と薬局薬剤師の約半数が「情報連携がない」と回答し、薬局薬剤師の約8割が退院前カンファレンスに出席の案内がないと答えており、連携推進に向けて課題が浮き彫りになりました。