医療

献血推進に薬局が協力~検査結果で健康支援も視野

薬+読 編集部からのコメント

慢性的に不足している献血に対し、兵庫県川西市薬剤師会では独自の「献血サポート事業」を開始しています。会員薬局の店内に献血の実施日や場所を記したポスターを掲示し、血液検査結果を薬局に持参した献血協力者には、薬剤師が検査値の意味を説明したり、生活習慣改善のアドバイスを送るなどしているそう。地域住民をささえる取り組み事例として、参考にしてみてはいかがでしょうか。

兵庫県の川西市薬剤師会は今年度から、献血への協力を薬局薬剤師が呼びかける事業を展開している。川西市の越田謙治郎市長から依頼を受ける形で、会員薬局の店内に献血の実施日や場所を記したポスターを掲示。血液検査結果を薬局に持参した献血協力者には、薬剤師が検査値の意味を説明したり、生活習慣改善のアドバイスを送ったりして支える。献血を切り口に、地域住民の生活を幅広く支援する薬局の役割を強化したい考えだ。


献血は慢性的に不足している。川西市薬は、兵庫県薬剤師会の事業で約2年前に献血関連の研修会が実施されたことを契機に、今年度から独自の「献血サポート事業」を開始。昨春、越田市長や保健センター所長に対し、薬局薬剤師が献血啓発等の役割を担えると働きかけた結果、昨年6月に越田市長から川西市薬の各会員薬局に向けて2点の行動を依頼する文書が発出され、事業が具体的に動き始めた。

 

越田市長の依頼の一つは、市内で毎月2回ほど実施される献血の周知への協力。依頼を受けて会員薬局は、献血への協力を呼びかける兵庫県赤十字血液センターのポスターに献血の実施日や場所を書き込み、店内に掲示している。

 

川西市薬の会員は62薬局。昨年10月の薬と健康の週間でイベントを実施した38薬局を対象にした調査では、そのうち25薬局(66%)が店内にポスターを掲示し、献血の啓発活動に取り組んでいた。

 

実施薬局をさらに増やすため川西市薬は、昨年11月に献血サポート事業の研修会を開き、参加した約50人の薬剤師に献血啓発を推進するよう要請した。服薬継続中の患者でも条件によっては献血が可能で、それを薬剤師が伝える意義は大きいという。

 

越田市長のもう一つの依頼は、献血協力者に後日送付される血液検査結果をもとに、薬剤師が検査値の解説や生活習慣改善の支援を行ってほしいというもの。

 

献血協力者には、生化学検査7項目と血球計数検査8項目の結果が通知される。これらの結果は貧血や肝炎、糖尿病などの早期発見や、その前兆を把握する手がかりになる。検査値をもとに薬剤師が食事や運動など生活習慣の改善をアドバイスすることで、疾患の発症を防止できる可能性がある。

 

川西市薬の樋口淳一会長(ヒグチ薬局、写真)は「献血をする人の多くは自分は健康だと思っており、かかりつけの医師を持っていない人も少なくないのではないか。そんな人がまず気軽に相談できる場所に薬局がなれたら良いと思う」と語る。

 

事業開始後、実際に会員薬局が相談を受けた事例はあるが、全体の相談件数はまだ少ない。川西市薬の関係者は昨年12月、川西能勢口駅前の献血実施会場に出向いてビラを配布し、薬局で相談に応じる姿勢を積極的にアピールした。

 

来年度も引き続き献血サポート事業の実施を予定している。広報活動を展開し、相談応需の増加に取り組む考えだ。

 

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出典:薬事日報

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