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25年までに年20億錠生産~来月から本格生産開始【トラストファーマテック】

薬+読 編集部からのコメント

3月7日、トラストファーマテックの蓮尾社長が4月から本格生産を始める同社の見通しについて、段階的に新規取得品目数を増やし「2025年3月末までに年間20億錠以上の生産ができる体制を整えたい」との見通しを提示しました。サワイグループHDの子会社となる同社は2021年12月、小林化工の製造施設等の資産譲受により設立。2022年4月に医薬品製造業の許可を取得しています。

トラストファーマテック(TP)の蓮尾俊也社長は7日、福井県あわら市の清間第二工場内で記者会見し、4月から本格生産を始める同社の見通しについて、段階的に新規取得品目数を増やし「2025年3月末までに年間20億錠以上の生産ができる体制を整えたい」との見通しを示した。

 

サワイグループホールディングス(サワイGHD)子会社であるTPは小林化工の製造施設等の資産譲受により21年12月に設立。22年4月に医薬品製造業の許可を取得している。既に1品目となるエソメプラゾールのGMP適合性調査は適合し、4月以降は現在、適合性調査受審中のアロプリノールを中心に本格生産を開始する。

 

生産品目はグループ会社の沢井製薬からの受託品で、生産数量は23年度に6億錠(9品目)、24年度に15億錠(8品目)、25年度は20億錠(5品目以上)となり、「25年度には月間で1.7~8億錠の生産ができる状態を作りたい」(蓮尾氏)と説明した。

 

TPの4工場(矢地工場、オンコロジー棟、清間第一工場、同第二工場)を合わせ製剤工程では39億錠、包装工程は59.8億錠の製造能力(2交替、1日17時間、週5日勤務がベース)を有する。「今後、清間第一工場、第二工場でまだ使用していない工程について順次承認を取得し、稼働工程を増やしていくのが当面の目標」とした。

 

25年3月までに目指す年間20億錠以上の生産体制に向けた整備では、「医薬品製造に対する意識の醸成、工場再稼働に向けた着実な取り組みを行うことを目標に進めている」と強調した。昨年4月以降、従業員に対するコンプライアンス意識の向上と合わせてクオリティカルチャーの醸成を進めてきた。

 

GMPシステムの再構築や従事者の教育を中心に定期研修を行い、企業理念や行動基準の浸透を図った。「通常の沢井製薬の工場で実施する年間教育の2~3倍の時間を費やした」(蓮尾氏)と紹介。TPは沢井製薬からの受託製造工場となるため、沢井製薬の信頼性保証本部から通常より多い4回の鑑査、指導も受けた。これらの結果、蓮尾氏は「GMP、コンプライアンス対応では一定の基準には到達している。予定以上に順調に進めることができたと自負している」と強調した。

 

 

予算以上の生産数量達成‐サワイGHD、木村常務

 

また、会見に同席したサワイGHD常務執行役員グループ生産統括役員の木村元彦氏は、グループとしての生産現状について「(22年度は)今年1月までの生産実績が製剤で2%増、包装で3%増と予算以上の生産数量を達成した。4月以降、営業と相談し、限定出荷品の解除を増やしたい」と語った。同日時点での限定出荷は214品目と1年前と比べて半減している。

 

一方で、木村氏は「既存品、限定出荷品を解除した矢先に、他社がわれわれの動きを見て限定出荷され、予想以上にわれわれのところに発注がかかり、再度、限定出荷したこともある」と延べ、限定出荷については市場混乱を避けるためにも慎重な姿勢が求められると指摘。

 

また、新製品上市5年後の安定供給についても「相当の安定在庫、生産キャパを持たないといけない。限定出荷対応の精査は、営業、戦略と生産の各部門で緊密に連携し、しっかり考えていく必要がある」と語った。

 

薬価改定に伴い、赤字品目が増えていることに対しても懸念を示した。23年度薬価改定では4割近くの品目が不採算となっていることを明かし、「毎年、薬価改定で赤字品目が増える。この対策が非常に難しいところだが、座して待っているわけにはいかないので、品目整理も時間をかけて、取り組んでいく必要がある」との認識を示した。

 

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出典:薬事日報

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