医療機器

“空飛ぶ軽トラ”で薬配送~遠隔服薬指導と統合DXへ

薬+読 編集部からのコメント

ドローン開発を手掛けるプロドローン(愛知県名古屋市)では国産ドローン初となる50kgもの医薬品を搭載して50kmの距離を航行可能とする「空飛ぶ軽トラ」の実用化に挑んでいます。これが実用化すれば医薬品や経口補水液もまとめて運べることとなり、まずは中山間地域や離島、災害発生時に外部とアクセスできない孤立集落などの配送に利活用したい考え。来年10月の商用開始を目指します。

ドローン開発を手がける愛知県名古屋市のプロドローンは、国産ドローンでは初となる50kgの医薬品を搭載して50kmの距離を航行できる「空飛ぶ軽トラ」の実用化に挑んでいる。他社が開発した国産ドローンは数kg程度しか輸送できないのに対し、医薬品や経口補水液もまとめて運べるのが特徴。まずは中山間地域や離島、災害発生時に外部とアクセスできない孤立集落などの配送に利活用したい考えで、来年10月の商用開始を目指す。戸谷俊介社長は「医療現場で1人でも多くの人に薬を届けたい。オンライン服薬指導と合わせてドローンの医薬品配送によって統合型医療DXを進め、医療のイノベーションを起こしていく」と意気込む。

来年秋の実用化目指す

愛知県は、リニア中央新幹線開通やレベル4の自動運転車、ドローン、空飛ぶクルマなど道と空がつながり、安全に制御された交通網を目指している。空飛ぶ軽トラプロジェクトは、官民共同による愛知県事業の一環。

 

空飛ぶ軽トラは平時のみならず、災害時でも航行でき、安全で扱いやすい操作性と頑丈な機体を目指して名付けられ、メンバーには愛知県企業でトヨタグループのジェイテクトや名古屋鉄道が参画している。

 

50kg積んで50kmの航続距離を飛行する50/50ドローンを開発し、平時・災害時における社会実装を目指している。国産の産業用ドローンは10kg以下の荷物しか積むことができず、経済産業省が2025年に商用開始を目指す空飛ぶクルマも積載重量30kg程度となり、国産では最高スペックになると見られる。

 

最高速度は時速150km、巡航速度は時速100km。50kg搭載時にも30分間滞空できる。機体には専用コンテナが搭載されており、指定温度で配送できる医薬品配送用保冷ボックスを積むことができる。

 

目視外飛行が可能な自律航行型の国産産業用ドローン事業者は2~3社に限られ、同社は数少ない1社という。これまでの実証実験で50kgを積んで10km航行できることは確かめた。耐久試験を重ね、来年10月の商用開始を計画する。

 

昨年12月に、市街地を含む有人地帯で目視外飛行(レベル4)が解禁となったが、医薬品配送では中山間部や離島、災害時にドローン利活用を進めていく。特に中山間部が多く、河川や標高差があり、オンライン診療も進む長野県などは、空飛ぶ軽トラの運用を開始する際のターゲット地域として期待する。

 

空飛ぶ軽トラが運べる重量50kgについて、戸谷氏は「経口補水液25本分に相当する量になる。熱中症が起こりやすい夏にドローンで運んでほしいとのニーズがある」と語る。3月に厚生労働省と国土交通省がドローンによる医薬品配送に関するガイドラインを改正したことを受け、劇薬の配送も視野に入れる。

 

また、同社は5kgの荷物を積んで100km飛行可能な「無人ヘリコプター」や、空を飛行して潜水もできる「水空合体ドローン」など幅広いラインナップを揃えている。

 

戸谷氏は「われわれはドローンというシーズを持っているので、医療機関や薬局の人たちからニーズを教えてもらい、相互理解のもと一緒に進めていきたい」と話している。

 

  • 薬剤師のための休日転職相談会
  • 薬剤師の転職・求人・募集はマイナビ薬剤師/5年連続満足度NO.1

<完全無料>転職やキャリアのご相談はマイナビ薬剤師へ

出典:薬事日報

ページトップへ