医療

富山大「地域枠生」に奨学金~6年間で総額710万円を貸与

薬+読 編集部からのコメント

製薬企業や行政でも病院薬剤師が不足する富山県の薬剤師確保対策推進協議会が7月24日に、2024年度入学予定となる富山大学薬学部薬学科の「地域枠生」を対象とした「地域薬剤師確保のための奨学金制度」を取りまとめました。募集人数は10人。在学中6年間で総額約710万円を貸与し、公的病院、富山県内の製薬企業、富山県職員のいずれかに9年間勤務することで全額返還免除とする全国初の方式を採用しています。

富山県の薬剤師確保対策推進協議会は24日、2024年度入学予定となる富山大学薬学部薬学科の「地域枠生」を対象とした「地域薬剤師確保のための奨学金制度」を取りまとめた。募集人数は10人。在学中6年間で総額約710万円を貸与し、公的病院、県内の製薬企業、県職員のいずれかに9年間勤務することで全額返還免除とする全国初の方式を採用した。県は、貸与開始に必要な条例案を取りまとめた上で、9月の県議会に提出する予定。

 

富山県は、病院薬剤師の偏在指標が0.75と低く、製薬企業や行政でも不足している。その対策として県唯一の薬剤師養成機関である富山大薬学部薬学科に来年度入学生から地域枠が設けられることを受け、奨学金制度を全国初の地域枠と連動した方式で運用する。

 

県は地域医療総合確保基金(確保基金)を利用し、個々の経済的事情によらず、地域枠生全員に在学中に修学資金(入学金、授業料の相当額、修学費)を貸与する。地域枠生は、薬剤師免許取得後に県に対して返還義務を負うものの、県内で薬剤師として勤務することで返還免除とする制度設計としている。

 

県内で求められる職域を考慮し、地域枠生の就職先として、「地域医療」「製薬企業」「行政」の3コースを設ける。卒業時に本人の希望に基づき、就職先としてコースを選択させるが、どのコースに進むかは入学時点で決められず卒業時点で分かるものとして、在学中に貸与される金額、貸与を受けられる期間、義務年限期間等は各コース共通とした。いずれかのコースで義務年限の9年間を満了すれば返還免除となる。

 

地域医療コースでは確保基金を活用し、規模や機能等が異なる公的病院を3施設程度ローテーションで勤務するプログラムを満了すれば返還免除とした。従事する医療機関は県が指定し、配属ローテーションの調整は県病院薬剤師会と連携して行う。具体的な構成は地域枠生が卒業する30年度に向けて引き続き、検討することとした。

 

製薬企業コースに関しては、県の医薬品産業を担う人材輩出を目的に、県内の対象企業で従事することを返還免除の要件とした。受益者の応分負担を求めるため、費用は地域枠生を採用した企業と県が半分ずつ負担する。地域枠生の採用を希望する企業が登録を行い、県が対象企業のリストを公開。地域枠生は薬剤師免許取得後に対象企業に就職すれば、同コースに所属となる。

 

行政コースでは、県の採用試験を経て薬剤師として県職員、具体的には本庁、厚生センター、県研究所等の職員として勤務した場合に返還免除となる。

 

貸与額については、卒業後9年間の義務年限に見合った経済的インセンティブとなることを考慮。具体的な貸与予定額として、入学金相当額28万2000円、授業料相当額年額53万6000円(6年計321万6000円)、修学費月額5万円(6年計360万円)で、総額709万8000円とした。

 

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出典:薬事日報

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