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「専門性」と「生産性」の向上がカギ~減少続くMRの「働き方改革」

薬+読 編集部からのコメント

MR認定センターの「2023年版MR白書」によると、2022年のMR数は前年より2166人減の4万9682人と5万人を切り、9年連続で減少。各企業に取材を行った薬事日報では、MR活動支援サービスのキーワードは「専門性」と「生産性」の向上であり、「MRの働き方改革」が進みつつあると分析しています。

MR活動支援サービスのキーワードは「専門性」と「生産性」の向上で、今回取材した各企業は、概ねこれら二つを軸に展開している。それは「MRの働き方改革」とも言えそうだ。

 

MR認定センターの「2023年版MR白書」によると、22年のMR数は前年より2166人減の4万9682人と、5万人を切り、9年連続の減少となった(表)。一方、今年に入って相次ぐ大手・準大手製薬企業の早期退職ではMR数の削減も狙いの一つである。

MRは逆風に見舞われているのは確かだが、一方で新たな働き方が求められている局面とも言える。

 

MR減少の要因には、同種同効薬が多かった生活習慣病治療薬の競争を勝ち抜くため多数を動員して活動を展開した「シェア・オブ・ボイス(SOV)」の時代が終焉したためだ。近年は、専門医を中心にアプローチする癌や中枢神経など専門性の高いスペシャリティ薬が市場の中心となり、多数のMRが必要なくなった。加えて、MR以外のデジタルチャネルの導入もある。

 

12月にも500人程度(営業部門のみ)を想定し早期退職を行う予定のアステラス製薬は、実施理由に専門性が高まる主要製品群の変化とデジタル化の加速を挙げる。

 

岡村直樹社長は、「単純に人が減るということではなく、残った人たちがこれまでのようなMR活動ではない営業のスタイル、方法、スキルを持った人たちの少数精鋭の集団になっていくのがゴールだと思う」と説明する。同社は「顧客ニーズに基づいたオムニチャネルの活用とデータ分析を強化した新たな営業体制」の構築を目指す。

 

MRは減っても、適正使用のための情報提供と収集、薬物治療に伴う課題解決支援といった果たす役割は変わらない。むしろ高度化して「働き方が変わる」過渡期というのが本当のところだろう。

 

そこを今回取材した各社が支援している。

 

医学アカデミー YTLは、医療の潮流であるペイシェントセントリシティ(患者中心)を軸に症例ベースで面談し、提案できるMRを育成する教育研修コンテンツの開発、提供に注力する。また、より専門性の高い活動を支援するため、実際の臨床医との「Webロールプレイング」も推進する。

 

MR重視の姿勢を貫くアポプラスステーションも専門MRの育成を強化している。1日に新社名でスタートしたシミック・イニジオは、「CSOカンパニー」と「メディカルアフェアーズカンパニー」を新設して、コマーシャル領域と分けて事業展開をしていく。MRへの専門性ニーズの高まりに伴って、非営業のメディカル職と明確に分けてサービスを行う環境になったのも背景と考えられる。

 

アポプラス、シミックの幹部が揃ってこだわるのが生産性である。アポプラスステーション取締役CSO事業部長の小宮慎介氏は「成果を残せるMRの育成」を強調する。シミック・イニジオの木崎弘社長が目指すところは、生産性向上を実現するパートナーだ。

 

また、製薬企業のMR活動を評価して教育研修支援を行うサービスもある。リープは、MRの評価・学習支援を行うプログラムを用意する。個々の営業組織・MRが抱える課題に対し教育研修などのソリューションの提供につなげる。

 

製薬企業側からCSOには、ROI(投資利益率)への貢献を求める声が上がる時代だ。それがMR活動支援サービスの重要なポイントとなっている。

 

ほかにも、ここで紹介するサイネオス・ヘルス、シーエーシー、ベルシステム24、JTBの各サービスも生産性向上を支援するものとなっており、注目したい。

 

(企画「MR支援‐これからの時代に求められるMRとは」全文は薬事日報にてご覧ください)

 

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出典:薬事日報

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