医療

基幹病院から薬剤師出向~確保対策でモデル事業開始 広島県

薬+読 編集部からのコメント

薬剤師確保に関する厚生労働省の委託事業として、広島県が基幹病院の病院薬剤師を地方の病院に出向させるモデル事業をスタート。11月7日から、広島大学病院の30代男性薬剤師が公立みつぎ総合病院(尾道市)に約3カ月間出向し、病棟業務の体制整備を支援します。働きたいと思える魅力的な職場環境を整え、就職する薬剤師を呼び込むのが狙いです。

広島県は、薬剤師確保に関する厚生労働省の委託事業で、基幹病院の病院薬剤師を地方の病院に出向させるモデル事業を開始する。広島大学病院の30代男性薬剤師が今月7日から約3カ月間、尾道市の公立みつぎ総合病院に出向し、病棟業務の体制整備を支援する。働きたいと思える魅力的な職場環境を整えることで、就職する薬剤師を呼び込むのが狙い。県は来年度から始まる第8次医療計画で病院薬剤師出向の推進を検討しており、今回得た課題を来年度以降の事業に反映させる考えだ。

公立みつぎ総合病院は、病棟で薬剤師が業務に取り組んでいるが、マンパワー不足等の影響で病棟薬剤業務実施加算を算定できていない。若手薬剤師の教育に時間や人手を割けないといった課題もあった。

 

広島大学病院で経験を積んだ薬剤師が、同院に籍を置いたまま公立みつぎ総合病院に出向。実際の業務を見た上で、必要な課題と支援を考える。若手薬剤師を教育して意欲を高めたり、業務の改善点を伝えたりして、効率的で質の高い病棟業務を実施できる体制整備を支援する計画だ。

こうした関わりを通じて出向先病院での薬剤師確保につなげることを目指す。広島大学病院教授・薬剤部長の松尾裕彰氏(写真左端)は「出向した薬剤師が単に不足分の手足となって働くのではなく、病棟業務の基盤を整えて、若い薬剤師から見て魅力のある病院にすることが持続的な薬剤師確保につながると思う」と語る。

 

県健康福祉局薬務課長の岡田史恵氏(写真右端)も「病棟業務が確立されていない病院に薬剤師は就職したがらない。その結果、いつまで経っても薬剤師を確保できず、病棟業務も十分に行えない。こうした負の連鎖を絶ちたい」と話す。

 

県全体で見ると薬剤師数に大きな不足感はないが、県内の地域別に見ると偏在がある。今年度、県内の全病院を対象に実施した県の調査でも、特に中山間部の病院で薬剤師不足を訴える声が多かったという。

 

第8次医療計画の策定に向けて、県の薬剤師会や病院薬剤師会、薬系大学、病院、行政関係者ら8人で構成する協議会が発足し、薬剤師確保策の討議を開始。水面下での調整を経て1日に初会合を開いた。来年度以降、中山間部の病院を対象にした基幹病院からの薬剤師出向の推進を検討している。

 

今回のモデル事業で得た課題を来年度以降の展開に反映する考え。検討事項の一つは、出向する薬剤師の給与拠出先だ。松尾氏は、「来年度以降の継続を考えると、出向先の病院が負担する形になると見込まれるが、どういう設定にするのか。残業代などの減少分をどう手当てするのかも課題になる」と話す。

 

来年度以降、県下に取り組みを拡大する場合、出向元の基幹病院を増やす必要がある。基幹病院にもメリットのある形でなければ事業は続かない。

 

出向期間中のマンパワー減少をどう補うかも課題だ。出向先の病院が新規採用した薬剤師を、出向元病院が受け入れて研修を行う双方向の人事交流の実現も視野にあるという。

 

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出典:薬事日報

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