医療

国産コロナワクチン承認~第一三共製は今月供給へ

薬+読 編集部からのコメント

11月28日、新型コロナウイルスを対象とする国産mRNAワクチンが日本で承認されました。厚労省から承認されたのは、オミクロン株対応の第一三共製「ダイチロナ筋注」(DS-5670)と、世界初承認となる「レプリコン」タイプのMeijiSeikaファルマ製「コスタイベ筋注用」(ARCT-154)の2種類で、第一三共製は12月より供給開始予定です。

新型コロナウイルスを対象にした国産mRNAワクチンが11月28日、日本で承認された。厚生労働省から承認されたのは第一三共製とMeijiSeikaファルマ製の2種類で、それぞれ特徴がある。オミクロン株対応の第一三共製は今月からの供給開始を予定し、冷蔵(2~8℃)温度帯で流通・保管ができるなど現場での使いやすさを訴求する。MeijiSeikaファルマ製は、mRNAが投与後も一定期間複製される「レプリコン」と呼ばれる世界初承認のタイプで、既存ワクチンより高い中和抗体価が長期間持続することを謳う。ただ、起源株対応のため供給せず、新流行株に対応したワクチンを開発し、来年秋以降の供給を目指す。

第一三共のワクチンは、オミクロン株XBB.1.5対応の「ダイチロナ筋注=写真」(DS-5670)で、国産mRNAワクチンとしては初の実用化となる。ダイチロナは、起源株対応として8月に承認を取得していたが、同社は実際の接種に用いるオミクロン株対応ワクチンを9月に申請し、今回追加承認となった。

 

特例臨時接種に使われるワクチンとして位置づけられ次第、厚労省との供給合意に基づき今月から供給を開始。早い段階で140万回分を供給できるという。

 

同社は、冷蔵温度帯での流通・保管が可能で、同社の季節性インフルエンザワクチンと同様の包装形態であることを挙げ、現場での利便性を強調する。

 

承認された用法は追加免疫接種で、治験では既存ワクチンと非劣性、副反応など安全性面では臨床上の懸念は認められていない。

 

製造は埼玉県にある第一三共バイオテックで行う。同日、都内で記者会見した第一三共の奥澤宏幸社長は、「国産ワクチンを供給できる技術、製造能力を確立できたことは、公衆衛生、安全保障の面で非常に大きな意味がある」と話した。

 

MeijiSeikaファルマのワクチンは「コスタイベ筋注用」(ARCT-154)。レプリコンと呼ばれるタイプのワクチンは、海外大手企業も開発を進めている中で同社が世界で最初の承認を取得した。

 

抗原蛋白質をコードするmRNAを複製する酵素(レプリカーゼ)を作るよう設計されているため、既存ワクチンより少ない接種量で高い中和抗体価が半年間持続するのが特徴だ。mRNAを増やす酵素の働きは一過性のため、無限に増えることはないという。

 

同ワクチンは、初回免疫と追加免疫のいずれの用法も承認された。有効性は、初回免疫試験では重症化予防率は95.3%、発症予防効果は56.6%だった。

 

起源株を対象に行った接種3回目以降の追加免疫試験では、対照とした「コミナティ」(ファイザー製)よりも有意に中和抗体価が高く、接種から半年後も接種時より5倍以上高い値を示した。発熱など副反応では発現率、症状の日数は同程度だった。

 

製造はアルカリスと連携し、福島県に整備中の製造施設で原薬から製剤まで一貫製造体制を整える。保管温度はマイナス20±5℃。

 

Meiji Seika ファルマの小林大吉郎社長は同日、都内で開いた記者会見で、「持続的に国内生産ができることで、様々に変化するウイルスにも(迅速に)対応できる」と強調した。

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出典:薬事日報

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